表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪いの剣を持つ子どもと旅をした僕の話ーーファリン救記ーー  作者: シキ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/3

教会

 配達の仕事を終えたサーディは、教会の前で足を止めた。

 この時間はいつも聖堂の中にいるはずの修導女が、所在なげにポーチの前に立っている。手には箒を持っているが、それで掃除をしている様子はない。


「マーサさん」


 なんとなく気になって、サーディは声をかけた。


「なにかあったの?」


 マーサはサーディの顔を見て少しほっとした顔をしたが、まだ落ち着かない様子だ。皺の目立つ頬に手を当てて、困ったように笑う。


「いえね、監察官様が来ていらっしゃるのだけど、どうにも落ち着かなくてねぇ」


 言ってマーサは閉じられた背後の扉を振り返る。


「だって、ねぇ、……あの髪でしょう?今年はなんだか気味の悪い子どもも連れているし……」

「ふうん?……ねえ、監察官様って?教会の人?」


 サーディが聞き返すと、マーサはハッとしたように口元に手を当てた。


「あなたにはつい話すぎてしまうわね。……奥に安置された箱を見せたことがあるでしょう?」


 言いながら、マーサは話をやめない。サーディは記憶を探って、箱のことを思い出す。たしか、掃除の手伝いに来た時に見たものだ。何重にも布がかけられていて……なんだか嫌な気配がした。

 みんなには内緒よ、とマーサは続ける。


「あれ『穢れ物』なのよ。嫌なのだけど、動かすのも良くないからって。何年かに一度、監察官様が様子を見にいらっしゃるのだけど。……お帰りになると、必ず寝込んでしまうのよね」


 なんだか恐ろしくて、とマーサは溜息を吐いた。サーディはもう一度閉ざされた扉を見る。


「……大丈夫じゃないかな。なんとなくだけど」


“箱は”大丈夫。そんな気がする。マーサの心配も、杞憂に終わるような気がした。

 マーサは眉を寄せつつ、それでもどこか安堵の表情を見せた。


「そう?……あなたが言うなら、そうなのかしら」


 それよりもなにか、なんだろう。扉の向こうがやけに気になる。


「……中に入ったら、邪魔になるかな」


 ほとんど無意識にこぼれ落ちたサーディの言葉に、マーサが慌てた。


「だめ、駄目よ。あなたはもう、おかえりなさい。入ってはいけないと言われているの」


 ほら早く、とまくし立てるマーサに押されて、踵を返そうとしたところで、扉が開く音がした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ