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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜  作者: もーりんもも
第二部

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55 用は済んだ。帰ろう

 部屋から出ると、アルフレッドが待ち構えていた。

 さすがに貴族なだけはあって、押し入るようなことはせずに私が出てくるのを待ってくれていたみたい。


「待たせたわね。私の用は済んだから帰りましょう」


 あら?

 神官が憮然としているのは、小袋の中を確かめたから?

 それとも私が案内を待たずに特別な部屋に入ったから?

 ま、どっちでもいいけど。

 もう来ることはないと思うし。



「ふぅ。……お嬢。あの部屋に二度も入ったのは、おそらくお嬢が初めてなんじゃないですかね? 前代未聞ですよ」

「別に不都合はないでしょう? そもそも教会って神と対話する場所なんじゃない?」

「対話って……それでは神と対等みたいに聞こえますよ? せめてお願いくらいにしてくださいよ」

「お願いね。まぁそうね。私もちゃんと要望を伝えたから、お願いしてきたって言えるわね」

「お嬢……はぁ」

「とにかく、これでもう教会に来ることはないから安心してちょうだい。二人と合流しましょう」



   ◇◇◇   ◇◇◇



 外に出ると、大変な騒ぎになっていた。

 初詣の参道みたいに、人が密集していて道路を塞いでいる。


「え? 何これ」

「お嬢。これはちょっとまずいかもしれません」

「は?」

「どうやらこの人混みの先にはキースとメイスンがいるみたいです」

「えぇぇっ!?」


 アルフレッドの視線の先を辿って見たけれど、私の身長では見えない。

「よく見えるように高く抱き上げて」なんて、恥ずかしいし屈辱だから絶対に言えないし。



「食料を持っていることが広まって、人が集まってしまったんでしょうね」


 うわぁ。

 それはなんかまずい気がする。


「でも店先にも商品は並んでいたのに、どうしてあの二人の元にこんなに集まるのかしら」

「値付けを間違えたのかもしれません。相場よりかなり安くしてしまったのか、あるいは間違ってそのような話が広まったのか」

「かなりまずいんじゃないの?」

「ええ。それにしてもどうやって二人のところに行けばいいのか……」


 あの人混みの中に飛び込むなんて無謀なまねはしたくない。というかできない。私には絶対に無理。

 転びでもしたら圧死が待っていそうだもの。

 うーん……。

 二人めがけて群衆をかき分けて近づくよりも、この人たちに立ち止まってもらった方が歩きやすいか?


「アルフレッド。私がみんなの注目を別のところに移すから、隙を見て私を抱いたまま動いてちょうだい」

「は? 注目を移すって、どうやって?」

「いいから。動く準備をしていなさい」

「はぁ」


 もう! その疑わしい目は何よ!

 さっさとしなきゃね。これ以上あの二人に目立ってもらっても困るので。

 今、私たちは教会の前に立っているんだし。

 みんな神様のことは信じているんだよね?

 じゃあ、こんな感じで。



 まずは瞳を閉じて寝たふりをして、住宅展示場の夏のイベントCMを思い出す。

 アレが大きく開いて輝く様子を思い浮かべると、手応えを感じた。


「神様からの御神託よぉっ‼︎」


 力の限り大声で叫ぶと、間髪を容れずに教会の尖塔の上に特大花火を打ち上げてやった。

 

 ヒューーーーパパン!

 ドドン!


 数発が重なるように開き、あるものは垂れて、あるものはチカチカ輝きながら消えていく。

 間近で聞こえる轟音と眩しさに、みんな驚きの表情で空を見上げていた。


「ほらっ! 今よ!」

「はい!」


 アルフレッドは私を小脇に抱えると、人々の間を縫うようにして、あっという間に荷馬車まで辿り着いた。

 緊急時だから、お姫様抱っこじゃなかったのは不問にふすけど、ちょっとムカつく。



「シャーロッテ様!」


 メイスンは顔色が真っ青だ。

 キースは騎士なのに平民にもみくちゃにされてプライドが傷ついてるみたい。


「二人とも! とにかくここを脱出するわよ!」



 もういっちょ、火力多めで特大のナイアガラをお見舞いしてやる。


 あちこちから「うぉぉ」という歓声が上がる。

 みんなが花火の虜になっている間に、なんとか馬と馬車を動かして、無事に門まで辿り着いた。

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