54 【閑話 女神視点】私のことを僕(しもべ)と思ってる?
まさか、あの乱暴な人間と再び話をすることになるなんて想像していなかった。
ずっと私のことを呼び続けていたことは知っていたけれど、人間なんてみんなそんなものだし、気には留めていなかった。
ただ、どうも教会のあの空間とは親和性が高く、うっかり返事をしてしまった。
あぁぁ。本当に悔やまれる。
それにしても、普通の人間ならば、神に対しては、「○○してください」と祈るものだ。
それなのに、あの人間ときたら、なぜか私のことを下に見て、常に命令口調なのだ。
『おいっ、こらっ、女神!』などと、平民でも口にしないようなことを平気で叫ぶ人間……。
神の怒りに触れるという概念はないのだろうか。
もし火を司る女神様があの人間の担当だったなら、どんな風に対応されたのだろう。
私が未熟なのは本当だ。そこを見抜かれたのかなぁ。
でも、だからといって、『次からは私が呼んだらすぐに返事しなさいよ!』はないだろう。
いつだったか、自分のことを、『暴君ではないから安心するように』と言っていたけれど。
十分、暴君になれる資質があると思う。
その時がきたら、神であるこの私をも配下に加えるつもりだろうか?
そもそも、魔法を使うのに、わざわざ小人とやらを介するという訳の分からない希望を実現してやったのに、その小人について文句を言ってきた。
細部まで完璧に要望に沿ったものでなければ気に入らないらしく、しょっちゅう文句を言っていた。正しくは、喚き散らしていた。
はぁ。
とりあえず会話ができればいいみたいなので、その願いは叶えたけれど。
私に訴えなくても、あの人間の魔法の成熟度なら自力でそれくらいできたはず。
私に手間をかけさたかった……?
はぁ。憂鬱。
この先、どんな要求をされるのだろう。
もし私に叶えられないような内容だったら、あの人間はどれほどの怒りを爆発させるだろうか?
なまじ魔力があるせいで、私以外の神様にもあの人間の憤怒が伝わってしまうかもしれない。
いやいや。
そんなことはあってはならない。
やっぱり、光を司る女神様にあの人間の浄化を頼むべきかもしれない。
あの方がお力を授けた王女と、私が力を授けたあの人間との間に、とても深い因縁が見えた。
この先も関わることになりそうなので、王女のためにも、あの激昂しやすい人間を鎮めておいた方がいいと思う。
でもなぁ。
私みたいなのが尊いお方に声をおかけするなんて……捉え方次第では、私の尻拭いをお願いするみたいにも見える……うーん。
どうしたものかなぁ。
はぁ。
しばらくはこの部屋の壁と一体化していようか。
誰の声も聞こえなくなればいいのに。
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