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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜  作者: もーりんもも
第二部

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49 豊作

 夕食後、自室に戻ろうとしたところをアルフレッドに呼び止められた。

 は? 早速ロボットに問題でも?


「お嬢。ちょっといいですか。早い方がいいので」


 えぇぇ。

 稼働時間はしっかり区切ってほしいんですけど。

 夕食後の夜に聞くのと明日の朝食後に聞くのって、おんなじじゃない?


「まぁ……いいけど」

「露骨に嫌がるのは俺への当て付けですか? どうせやることなんかないんだし、いくら八歳でもまだ眠くはないでしょう?」


 ムカつく。

 幼児に対して、いや、領主に対して正論をぶつけてくんなよ。


「ふん。聞いてあげないこともないけど?」

「やれやれ。ええと。とりあえず座って話しましょう」


 結局ダイニングルームに戻って話をすることになってしまった。



   ◇◇◇   ◇◇◇



 お腹がタプタプになりそうなので、お茶なしでアルフレッドの話を聞く。


「お嬢。あのヘンテコな荷馬車? なら、ちゃんと役に立っていますよ。最初こそ五、六人で四角いところを押して、みんなで『セット』って言い合っていたみたいですけど」


 はあ?

 一人じゃ怖いけど、みんなと一緒なら「セット」って言えるってこと?

 まあ使えるようになったのなら、別にいいんだけど。


「お嬢のお陰で収穫は問題なく行えそうなのですが、問題はその量です」

「ん? 量?」


 え? 豊作なんじゃないの?


「うちの領民の数なんてしれているでしょう? それでも足りないの?」

「いえいえ。逆です。領内では消費しきれないほどの量なのです」

「あぁ。野菜は保存できないものね」


 大根や白菜とかなら漬物にできるけどね。

 夏野菜は無理だな。


「ええ、そうなのです。ヒッチは驚愕していましたよ? 他の者たちも、何十年と農業をやっていて、これほどの豊作は経験したことも、噂に聞いたこともないと言っています。お嬢の魔法はすごいですね」

「まあね!」


 アルフレッドは私をちびっ子だと思って侮っていたようだけど、ようやく私の力を理解したみたいね。

 ふふふ。シャーロッテちゃんは、国をも滅ぼすほどの魔力を持っているんだからね。


「それで――なんですけど」

「何?」


 え? 何で言いにくそうにしているの?


「一番いいのは、領内で消費できなかった分は廃棄することなんですが――」


 はぁん?


「ちょっと待って! 何でそんな勿体無いことすんのよ! みんなが汗水垂らして作った野菜でしょう!」

「ええ。領民の感情も考慮して、私なりに考えました。廃棄するのが無難というのは、一番労力をかけないで済むからです」

「労力?」

「はい。近隣の町や村の状況調査をする必要がないという意味です。ここの豊作は桁違いだとしても、他の領地でも天候に恵まれて豊作なら特に問題はないのですが、もしそうでない場合、ここだけ豊作だったと噂が流れるのは避けたいので」


 なるほどね。

 後ろ盾もない、追放された八歳の悪辣幼女が領主の土地だもの。旨みがあればみんな欲しいに決まっている。

 父親が知ったら私を排除して、適当な行政官を送り込むかもね。

 せっかく徴税官のヴィンスを送り返して、『貧相な荒れ地』だと証言してもらったのに、豊かな領地だとバレるのは避けたい。


「激しく同意するわ」

「激しく……?」

「コホン。いいから、その、労力をかける方の話を聞かせてちょうだい」

「はい。手始めに一番近いゲルツ伯爵領に――」

「待って‼︎」


 忘れてた‼︎

 ロボットの改修のことばかり考えていて、大事なことを忘れていた!

 めぇーがーみぃー‼︎

 あんのヤロー‼︎

 言いたいことと聞きたいことが山ほどあるんだった‼︎


「ねえ。私が『見極めの儀』をやった教会があるでしょ。明日あそこに行くわ。もう一度行かなきゃって思っていたところよ。ゲルツ伯爵領じゃなくて、あの街に行きましょう! あなたは私が教会に行っている間に調査してきなさい」

「は? 何でまた教会に? ゲルツ伯爵領の様子が分かってから、調査範囲を広げるなら分かりますけど、いきなりそんな遠い街に行く必要はないですよ。ゲルツ伯爵領ならお嬢のあのバスとかいう乗り物でサクッと行って帰れるじゃありませんか」


「教会に用があるの!」

「えぇぇ」

「明日行くわよ!」

「は? ちょっ、急過ぎますって。それに教会のある街には日帰りは無理ですよ」


 あーもう。

 ……!

 今晩作ろうと思っていた私専用のモビリティだけど。

 いっそ、時速百キロくらい出せるバイク仕様にする?

 そうだよ。スクーターでいいじゃん!

 前カゴもつけて、座面の下の荷物入れもそのままで。

 そうしたら、馬も馬車も必要ない。アルフレッドに頼らなくても一人で行ける!


「それは馬車で移動した場合の話でしょう? ねえ……ここに来る前に最後に泊まった町があるでしょう? あそこまで、あなたが全力で馬を飛ばせば、馬車でかかった時間の半分くらいで着くんじゃない?」

「まあ、早駆けなら三分の一くらいで着きますね」


 何でドヤ顔?

 ん? じゃあ、ざっくり三分の一の時間で計算すればいいのか。

 ここからあの町までなら一時間もかからないじゃないの。


「じゃあ、あの安宿に泊まった町から教会のある街までは、昼食を食べた後に出発しても夕方になる前に着くんじゃない?」

「まあ……それほど休憩を挟まなければ――」


 三時間くらいじゃないの‼︎

 日帰りできるじゃん‼︎

 昼食なんて途中でパンでもかじればいいわ。


「ふふふ。じゃあ明日は別行動にしましょう。私はバスで教会を目指すわ。あなたはゲルツ伯爵領まで馬で行くといいわ」

「お嬢と別行動なんて、そんなことできる訳ないじゃないですか!」

「じゃあ、どうするの?」

「……く。仕方ありません。お嬢がどうしてもと言うなら、あの街まで行きましょう」

「じゃあ決まりね。でもさすがにバスで乗り付ける訳には行かないわね。でも馬車じゃスピードが出ないし……」


 うーん。うーーん。

 街の近くまではバスで行って、街に入る時は荷馬車スタイルで入れるいい方法はないかな……?


 うーーーーん。うーん? うん?


「あああ‼︎」

「なっ、何です?」


 私……できるんじゃないかなぁ。

 できそうな感触があるんだよね。

 人間が想像できることは実現可能なことだって誰か言ってなかった?

 バスっていう物自体はもう出来上がっているから、それの改良ならある程度自由がきく感触があるんだよね。


 えっへっへっ。

 今晩、一か八かやってみよう!


「何でもないわ。あなたは明日馬で移動ね。私はバスで行くわ。ついでに余っている野菜も少しだけ持って行きましょう。売れるかもしれないし」

「まあ、そうですね。旅をしていることにでもしますかね。食料を買い込み過ぎたとでも言って、小分けにして売るのは大丈夫でしょう」


「じゃあ、明朝までに野菜を領主館に運ばせておいてね」

「はい。それと、相場感を探るにも、話を聞くにも、私より領民の方がいいでしょうから、ゲルツ伯爵領で商人をしていたメイスンを連れて行きましょう」

「分かったわ。メイスンは私が運ぶわ」

「そうすると、町へ入る際は、私とキースがお嬢とメイスンを馬に乗せることになりますね」


「いやあ。まあ。それは明日の朝決めるわ」

「……?」

「じゃあ、話はここまで! 私は寝るわ」

「はい。私は急ぎ、ヒッチやメイスンに話をして準備をしてきます」

 


   ◇◇◇   ◇◇◇



 さあ、物作りの時間だよ。


「小人たち! 聞こえる? 今日は大忙しよ! まずはロボットの黄色LEDライトね。それから私専用のモビリティ。最後にバスの改良よ! さあ、取り掛かれっ‼︎」


 床に寝落ちは勘弁なので、ちゃんとベッドの上で完成形をあれこれ想像してから小人を呼び出す。


 今日は素直に出てきた。


 ぽすん。ぽすん。ぽすん。


 ほんと、どっから来るんだろう?

 ぽすん、と現れては綺麗な列を作って、シュッシュッと部屋の外へ順番に消えていく。


 下手にベッドから下りて小人を捕獲しようとすると、床寝が待っているので、今日は私の方へ引き寄せてみる。


「作業に取り掛かる前に、まずは私の前に整列ー‼︎」


 ぽすん。ぽすん。ぽすん。シュッ。シュッ。

 ぽすん。ぽすん。ぽすん。シュッ。シュッ。


「来やしねー‼︎ あっ」

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