45 いでよ、小人ども!
「昼寝の邪魔すんなよ」「絶対に部屋に入ってくんなよ」という強い意思を込めてアルフレッドとキースを睨んでから自室に戻った。
小人たちにオーダーするのは、ファミレスで見かけた配膳ロボットの改良型だ。
といっても私が作れるのは『マンションがらみ』という制約がありそうなので、ファミレスのロボットをイメージすると失敗する気がする。
ふふふ。でも大丈夫。
大規模マンションで実験的に運用されている集配ロボットを知っているもんね!
転生前にニュースを見ていてよかったよ。
ファミレスのロボットも大規模マンションのロボットも、小型でどこか愛くるしいデザインだったけど、それじゃあ間に合わない。
ここでは軽トラ並みに運んでもらう必要があるからね。
うーん、でもやっぱり、動力は太陽光パネルで得るしかなさそうだから、あまり欲張らない方がいいか。
軽トラの荷台の三分の一程度でも、その分は数でカバーして往復すればいいもんね。
デザインも軽トラモデルでいいんじゃない?
子どもでも積み込めるように荷台の高さを低めに調整して。
あ! 収穫に使うコンテナのサイズを統一して、ロボットに四個ぴったり置けるようにしようか。
コンテナは収穫する物によって浅底タイプ、深底タイプと使い分けできるようにして、うまく重ねられるような外枠にして……。
――となると。
ロボットが夜休む基地を作るべきかも。大型蓄電器付きの。
屋根一面に太陽光パネルを敷いて、日中の発電を溜めておけるような。
バスも充電できるし、防災時に何かの役に立つかもしれないしね。
あとはロボットの操作だけど……。
うちの領民にパネル操作は難しいかな?
若者が多いから最初はギョッとしても慣れるかな?
ロボットには、畑の位置と集荷所を記憶させておいて、『畑①きゅうり』〜『集荷所』みたいにセットして往復させたいんだよね。
ああ、その前に領地内を走行させてマップを記憶させる必要もあるか。
となると、どっちみち全員を集めて解説する必要があるから、私の号令一つだな。
よしっ。やろう。
さあっ! 小人ども! 出番だぞ!
高性能の運搬ロボットを五十体ほどよろしくっ‼︎
それに見合うコンテナもな‼︎
基地は――ロボットステーションとでも名付けようかな。いや、ドックの方がそれっぽいかな。まあそれはおいおいでいい。
よぉし、お前ら!
基地は明日でいいから、今日のところは、まずはロボットに注力しろよな!
じゃあ、後は寝るだけ。
うほぉ‼︎
ベッドに勢いよくダイブして、薄目で寝たふりを始める。
…………?
…………?
…………は?
いつもなら、ぽすんぽすんと小人が連なって現れるのに、うんともすんともいわない。
どゆこと?
何? 何のエラー? 小人とうまく接続できていないの?
あ!
うっすらと小人のシルエットが見えた!
何してんの!
早くしなさいよ!
たまらずベッドから下りて、小人を掴もうとするけど触れない!
ムッキー‼︎
この前は触れたのに‼︎
あ、目が合った。
――ってことは、私の意思は伝わっているんだよね?
ちょっ、早く来いって!
これ、どうやったら引き摺り出せるんだろ?
腕組みをしながら睨みつけていたら、ぽすっと一人、空間からこぼれるように出て来た!
「お前!」
リーダーか? 先頭にいたってことはリーダーか?
「何で仕事にお取り掛からないの! 早く仲間を呼びなさいよ! こっ、この!」
目を逸らしやがったー‼︎
はぁん?
反抗しているの? この私に反抗できるの?
小人の喉元目がけて右手を突き出したけど、そのまま突き抜けてしまった。
くぅぅ。悔しい!
「うぉーいっ!」
八歳の体が欲してしまったのか、地団駄を踏んでしまった。恥ず。
ん?
ドンドンドンと床を鳴らしたのが功を奏したのか、目詰まりが解消したように小人たちが出て来た!
だけど、いつものように部屋を出て行かず、私の前にもこもこと集合している。
「だから、お前! 説明しなさいよ! 何なのよ、これ!」
もう、脅すように、ドスッドスッと床を踏んで大きな音を立てたら、ようやく最初の小人が反応した。
首を傾げただけだけど。
「……は? ジェスチャーゲームじゃないんだから! ちゃんと言葉で伝えなさいよ!」
今度は溜まっていた小人どもが全員同じタイミングで一斉に首を傾げた。
キィィィィィィィ‼︎
ムカつくー‼︎
「『はてな?』って何よ! おまっ、え? もしかして、私の発注が通ってないの? ロボットが分かんないの?」
あ! 全員と目が合った。
もう!
だから会話が必要なんだってば!
「どこが分かんないの? ちゃんと質問しなさいよ」
「……」
全員黙ったまま私を凝視している。
ちっ! お前ら!
「しょうがないわね」
ムカつくけど、前世で見たタワマンの集配ロボットのニュース映像を脳内に再生してみた。
パネルのメニューは、こんな感じかな? というのを想像してみる。
「もちろん場所の選択肢は追加・変更できる仕様だぞ」と強く念じる。
コンテナについても映像を探してみる。
あった。みかん農家の収穫作業を何かで見ていたらしい。こんくらいだぞ、と。
「どう? 作れそう?」
あっ、動き出した。
返事しないことを責めたところで、聞いちゃいないだろうから、私が折れてやるけれども!
このストレスを女神にぶつけずにはいられない!




