44 初めての収穫にはアレを使おう!
シャーロッテは相変わらず(前よりももっと?)悪態をつきまくっていますが、ついてきてくださいね。
私がシャーロッテになってから、怒涛の三ヶ月が過ぎた。
辺境の村にもかかわらず千客万来で忙しかった。
初夏を迎えた今、春に植えた野菜の収穫時期を迎えている。
キャベツ。カボチャ。ナス。キュウリ。ほうれん草などなど。
私はハード面を整えただけど、農業経験者の領民たちがよく働いてくれた。
まあ、収穫できるまでの食料は「保証する」と言った通り責任をもって配給しているからね。
そんなこんなで『聖人』だの『女神』だのと崇め奉られている私。
好感度が上がりきっているのはちょっと心配だけど、まぁ悪い気はしない。
だからヒッチが困り顔で相談に来ている今、「おう! 任せとけ!」とばかりに胸をパンッと叩いて安請け合いしてしまいそうになっている。
もちろんしないけどね。
「……は? 人手が足りない?」
「はい。最初のうちは早くできた物を――数はしれていましたので、手分けして収穫できていたのですが、最盛期を迎えた今、あまりの収穫量に手が回らなくなっているのです」
――そう。
痩せ衰えた土地で、汗水垂らして頑張っても微々たる物しか収穫できなかった領民たちは、想定以上の収穫量に嬉しさを通り越して、驚愕し慌てているというのだ。
うーん。どうしよっかなー。
確かに収穫しないで腐らせるのはもったいない。
私も初めてのことで適量が分かんなかったからね。
勢いでホイホイ畑を作っちゃったんだよね。
目の前のヒッチは、ただただ平伏して私の言葉を待っている。
もしかして、「なんだと? 一つでも収穫できずに腐らせたらただじゃおかないぞ」とでも言われると思ってる?
正直に報告して相談しに来ているんだから、悪いようにはしないのにね。
応接室で一緒に話を聞いているアルフレッドの顔には、「日頃の言動のせいでしょう?」と書いてあるように思うんだけど、声をかけると碌なことを言わないので無視しておく。
でも、人手かぁ。うーん。労働力が足りないって言われてもなー。
足りないのは収穫の最盛期だけっていう一時的なものでしょ?
そうなると安易に人を連れてくる訳にもいかないしねー。
連れてくるにしても、ゲルツ伯爵領で物色していたら問題になるかもしれないしねー。
うーん……前世だと人手不足の解消ってどうしてたっけ?
…………。
…………。
私、そこまで社会人経験無かった。
…………。
…………‼︎
だけどバイト先のファミレスで――‼︎
そうだ‼︎ そうだよ‼︎ アレだ‼︎ アレが使えるじゃん‼︎
「人手が足りない分を補えるだけの労働力は私が確保するわ」
「ふぇ?」
まさか私が即答するとは思っていなかったようで、ヒッチは変な声を出した。
「は? どうやって? お嬢には伝手なんかありませんよね?」
うっせー。
アルフレッドは、完全に私が適当なことを言っていると決めつけて、ため息をつきそうな顔でやれやれと両手の手のひらを上に向けた。
欧米か!
「やると言ったらやるわよ! ヒッチ! みんなには明日から新しい労働力が増えると知らせなさい」
「は、はい!」
「ほら、行って!」
「はい!」
アルフレッドはまだ何か言い足りなかったようで、ヒッチが応接室を出て行くと私の顔をまじまじと見つめた。
どうせ、「安請け合いはするな」とか、「できもしない約束はしてないけない」とか、そういう類のことを言いたいんでしょ?
この後私が作る物を見てから言えっつーの!
「あのね、アルフレッド――」
「お嬢。もしかして、また何か魔法で作るんですか?」
ようやく私の力に思い至ったらしい。
「そうよ、だから邪魔しないでね。じゃあお昼寝するから、私が起きるまで部屋には入ってこないでよ!」
キラリン?
え?
私を見ているアルフレッドの瞳がキラキラと輝いているんだけど、何?
気持ち悪いな。
ん?
キース、お前もいたのか。そしてお前まで瞳をキラキラさせてんのか!
二人して勝手にワクワクしているみたいだけど、何を期待しているの?
まぁ想像できっこないけどね。
うっふっふっ。
アレなら収穫だけじゃなくて、今後も色々と役に立つはず。
カドコミで「転生した私は幼い女伯爵」の第6話③が更新されています。
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