18 絶対君主ではあるけれど暴君ではない
……は?
「アルフレッド。あなた、家族の代表に来るように言ったの? 私は『全員集合させろ』って言ったのよ?」
エントランスの前に集まった領民は、一目見て偏ってることが分かった。ほぼ男。そしてほぼ年寄り。
子どもは皆無。若者もいない。それもわずか数十人。
「もちろん、一人残らず集まるように言って回りましたよ?」
「じゃあ、これが――ここにいるのが正真正銘、領民たちなの?」
「はい」
はぁん? ここって姥捨山か何かだったの?
消滅自治体かよ。子育て世代を誘致しなきゃ。
「ここに住む者たちは、どうやら最低限の暮らしができるよう国費で生かされていたみたいです」
何それ?
「まあ、そういう話は後にしましょう。さあ、お嬢! 領主として最初のお言葉をかけてやってください」
オッケー。
「よく集まってくれたわね。私が今日からここの領主となったシャーロッテ・フィッツジェラルドよ。あなたたちには特別に、『シャーロッテ様』と呼ぶことを許してあげるわ。安心してちょうだい。私は絶対君主ではあるけれど、暴君ではないから。そこは断じてそうだから誤解しないでね」
アルフレッドが「あちゃー」とか、キースが「はあ?」とか、後ろがうるさい。
「厳しい顔で立ってろ」っつったろうが!
権力を手にした以上、領民の面倒は見る。
もちろん私が法律な訳だから、「私が白」と言えば、どんな色でもそれは白なんだけど、だからってなにも残虐の限りを尽くす人間だと誤解してほしくない。
私はそんな人間ではないのだ。
あれ? 領民たちはノーリアクション。ちょっとムカつくんだけど。
「言葉が難しかったかしら? 私は地主であり家主であり債権者でもあり主人でもあるのです。つまり皆さんは、ここで暮らす以上、私に絶対服従するほかないのです。いいですね。『否や』はありません!」
ん? なんかゴツンと衝撃が走った。なんだ?
「くっ」
「うぅぅ」
目の前で、領民たちがいきなり苦しそうにもがきながらその場にうずくまり始めた。
ちょっと、ちょっと! 何なの? ゾンビにでも変身しそうな雰囲気じゃん!
「ちょっと――‼︎」
…………‼︎
何? 私の中で何かがぐわんぐわん揺れている。
経験したことのない気持ち悪さ。
…………?
何というか――ぼんやりと私に反抗している何者かの意思を感じる。
それってどういうこと? 自分でも意味不明なんだけど。
いやでも。このムカつく感じは……私に反発している?
ん? 目の前の領民たちが私を領主と認めず反抗しようとしているの?
やっぱりさっき私が言ったことを理解していないのかな?
子どもだと思って舐めてる?
領主のこの私に逆らうなんて‼︎
……あ、なんか体の内側から込み上げてくる……『使役』。
使役?
何? その偉そうなのは?
「言うことを聞け」とは言ったけどさ、なんか鞭打って「オラオラ!」みたいなのとは違うよ?
『使役』って、有無を言わさず無理やり命令を聞かせるみたいで嫌だなー。
そりゃあ領地のために、どうしてもこれだけは私の言うとおりにしろっていう場面はあるかもしれないけどさー。
なんかこう、もっとマイルドに、『フレンドシップ』とか、緩い言葉にしてほしい。
でも今は……とりあえず私を領主と認めて「従います」って言ってほしいんだけど?
ま、しょうがない。最初が肝心だから。
命令するしかないみたい……。
「全員、私に従え‼︎」
言葉にした途端、ズシンと何かが降ってきた。
あ、あ、あ、あぁ、これついさっき体験したやつ……。
またしても意に反して瞼が閉じていく。どうあっても逆らえない感じ。
あー、駄目だこりゃ。
ブクマや下にある☆☆☆☆☆評価をよろしくお願いします!




