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追放された悪辣幼女の辺境生活 〜チート魔法と小人さんのお陰で健康で文化的な最高レベルの生活を営んでいます〜  作者: もーりんもも


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13/43

13 最後の町

 教会を出てからずっと、誰も私に儀式のことを聞いてこない。

 お前たち全員命拾いしたな!

 ――なんて強がったところで、全員を吹っ飛ばすような火魔法を使えないシャーロッテ改め私なんだけど。


 これって何かの罰ですか?

 ファンタジー異世界に飛ばされたのに、魔法が使えないなんて‼︎

 そんなぁー‼︎


 いやいや。子どもの頃から、「魔力が多い」って言われていたんだから、魔法が使えないなんて、そんなことあるはずがないよね。

 うーん。教会へ行く前と行った後と、私自身は何の変化も感じていない。

 普通はどんな感じなんだろう?




 馬車の中で一人悶々としていたら馬車が止まった。

 昼食を取るためのレストランに着いたのかな。


 馬車のドアが開き、アルフレッドの顔が見えた。


「少しは機嫌が直りましたか?」


 そう言いつつ、私の手を取る。

 ムカついたのでステップの上に立ち、ムッと睨みつけてやった。

 それなのに、何故かアルフレッドは破顔し、私の両脇に手を入れて持ち上げると、ふわりと地面に下ろした。

 ステップを降りる手間が省けたけれども!


「ねえ。教会で魔法属性が決まると、その魔法が使えるようになるんでしょ? それって誰かに教わらなくても自然と使い方が分かるものなの?」

「ははは。なんだ。そんなことで悩んでいたんですか。まあ、普通は両親なり、侍女なりが説明するんですが、お嬢にはそういう人がいないんでしたね」


 コイツ……人が気にしていることを。

 そりゃあシャーロッテはちょっとばかし意地悪の度が過ぎていたけれど、子どもだよ?

 周りの大人がもうちょっと温情をかけてやってもいいと思うんだけどねー。


「『見極めの儀』で属性が定まれば、魔法は使えるようになります。ですが、普通はその使い方を同じ属性の教師から学びますね。まあ教師が雇えない家は親兄弟が教えるみたいですけどね」

「そうなの? じゃあ、今、私が全くピンときていないのは普通なのね!」

「は? 全くピンときていない?」

「よかったー。もう魔法が使えないんじゃないかって心配したわ!」

「ええと。お嬢は旦那様と同じ火属性を希望されていたんですよね? それなのに違う属性だったから癇癪を起こしていたんですよね? ちなみにどの属性だったんですか?」


 そんな真正面からいきなり聞く? それこそ癇癪を起こすほどの出来事のすぐ後に。

 せめて、もうちょっと探り探りきてほしいんだけど。

 それに言いたくない。言える訳ないでしょ!

 この私が無属性だなんて‼︎


「……」

「よくあることですよ? 望む属性と授かった属性が違うことは。それでも体の中から突き上げるように感じる力に身を委ねたくなるはずです。なあに、すぐに属性に馴染みますよ」


 アルフレッドは勝手に納得して歩き出した。


「……?! ちょ、ちょっと、そこんところ、もう少し詳しく!」

「は? とりあえず食事を済ませましょう」


 いや、こんな生殺しの状態で食事が喉を通る訳ないでしょ!




 全然期待していなかったけれど、ビーフシチューのような煮込み料理が絶品だった。

 大変美味しく昼食をいただいた後、どうやってさっきの話を切り出そうかと考えていたのに、「予定より遅れているので、今日は多めに進みます」と言われて馬車に押し込められてしまった。

 アルフレッドめ!


 結局、午後は一度休憩を取っただけで、日が沈むまで走り続けた。




 翌朝。

 薄暗がりの中でも、明らかに安宿だなーと思って泊まった宿は、日が登ってよく見ると、本当に小さくてボロっちい宿だった。

 これシャーロッテちゃんのままだったら大暴れしていたかもね。

 まあ辺境に近い最後の町だから、こんなもんだとは思うけどね。


「お嬢。この町が最後に買い物ができるところですので、必要な物があれば買い忘れないよう注意してくださいね」

「私が買う物は特にないわ。家畜の引き取りだけよろしくね」

「じゃあ俺が引き取ってきますから、お嬢たちはここで待っていてください」

「そうね。じゃあそうさせてもらうわ」


 アルフレッドは自分の従者のキースを連れて行った。


『鶏は必須で、できれば豚も。可能なら牛もお願い』


 そう執事に要望したけど、どれくらい用意できたのかな。

 受注確認の手紙をアルフレッドに渡したので、家畜を受け取ってサインすれば、公爵宛に請求がいく仕組みらしい。




 小一時間ほどでアルフレッドが()()で戻って来た。しかも二台!

 ちゃんと運搬用の馬車も馬付きで用意してくれていたみたい。よかった。

 二人とも愛馬は手綱を持って馬車と並走させている。


 動物の鳴き声より先に匂いで分かった。

 結構な数の動物を引き取ってきたね!



「お嬢! また、ものすごい数を注文されたのですね。まあ、自給自足になるかもしれないんですから多いに越したことはありませんが」


 なんか見に行きたいような行きたくないような……。


「えーと確認だけど。鶏と豚と――牛もかしら?」


 あ。言ってるそばから、「モ〜」っていう鳴き声が聞こえてきた。


「はい。鶏は木箱に入っていたので、俺の方に箱ごと豚と一緒に積んでいます。子牛はキースの方に積んでいます。三頭でよかったですよ。荷台にギリギリですね」

「そう。受け渡しが無事に済んでよかったわ。あとはひたすら目的地を目指すだけね」

「はい。受け渡しついでに聞いたのですが、元ベンベルク領まではあと半日もかからないみたいです。休憩なしで進んでいいですよね?」

「ええ。そうしましょう」


 アルフレッドとキースの愛馬は、護衛騎士が引いて行くらしい。

 さあ。いよいよね。

 私の流刑地はどんなところなのかな。

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