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第3話 間延びした影

今回もよろしくお願いします。


気に入っていただけましたら、フォロー等、何卒!何卒お願いします!


 聡真はバイクを駐車し、ヘルメットを外して金属工場の前に立つ。

 工場の大きな扉は半開きになっていて、外からもコンベアが動く音や機械の稼働音が響いている。ここまでは如何にも工場って感じの風体だ。

 しかし、その一方で人の気配がまったく感じられなかった。

 不審に思いながら、彼は慎重に歩みを進める。周囲を警戒しつつ、バッグの中に収めた父の戦術刀に手を伸ばし、いつでも取り出せるようにしている。


「…誰もいないのか?」


 普段であれば、この時間帯には工場の作業員が働いているはずだ。

 だが今日は、金属がコンベアで運ばれ、機械のアームが忙しく動いている音だけが響き渡り、まるでそこに人間がいる気配はない。金属が成形される「ガシャン」という音や、溶接の際の「シュウウウ」という音が工場内に反響している。大きな機械のアームが動くたびに、重たい音が響き、その振動が足元に伝わってくる。

 聡真はその音の中をゆっくりと進んでいった。

 工場内に足を踏み入れると、さらに異様な雰囲気が漂っていることに気づく。

まるで何かが「待っている」かのような、緊張感が肌に張りつく。機械は正常に動いているにもかかわらず、人がいないという不自然さがますます不気味に感じられた。

「…おかしい。本当に誰もいないなんてことがあるのか?」

 普段なら作業の合間に笑い声や会話が聞こえるはずの工場だが、今日はそのような音がまるで存在しない。

 聡真は辺りを見回しながら、預かった戦術刀の鞘をゆっくりと手に取る。父親の形見とも言えるこの刀が、いつでも使えるよう準備を整えた。

「…何かが、いる?」

直感的に感じる不穏な空気。

 コンベアで次々と運ばれてくる金属は、淡々と形成され、別のコンベアに移し替えられていく。工場内の大きな機械が鳴り響き、様々な種類の音が複雑に重なり合い、聡真の耳に届いてくる。

 だが、その音たちの間に、微かな違和感を感じた。

「…機械の音だけじゃない…他にも何か…」

聡真は耳を澄ませ、機械の騒音の中に隠れている小さな異音を探り始める。その音は、まるで工場の奥深くで何かが蠢いているかのような、かすかな金属の擦れた音だった。

 まるで何かがこちらに近づいてきているかのような感覚が、背筋を冷たくさせた。

「…これは、ただ事じゃないな」

 戦術刀を手に取ると、鞘からゆっくりとその刃を引き抜く。光が当たった瞬間に、鋭い音を立てて輝くその刃。かつて父が手にしていたこの刀が、今、自分の手にある。その感覚に、少しだけ不安を覚えながらも、聡真は刀を構えて、さらに奥へと進むことを決意した。

 彼の耳に届くのは、機械の音と微かな金属の異音だけ。

その異様な静けさが、まるでこの先に何か恐ろしい存在が潜んでいるかのような予感を抱かせる。

 その最奥の制御室。ここが最後の場所だ。

 主人公は緊張を押し殺すように、小さく息を吐いた。

 扉にはロックがかかっていない。

 無防備なこの状況に不安を覚えながらも、彼はゆっくりと扉を開け放つ。しかし、その瞬間、部屋の奥から何かが勢いよく飛び出してきた。

「なんだ!?」

 驚きに反応する間もなく、巨大な影が目の前に迫る。両腕に大型の杭を4本も装着した大男――その腕の姿は、まるで機械と融合したかのような異形だった。鋭い金属音を立てながら、その腕の杭が威圧的に動いている。

「なんだよ、また人間か」

 大男は主人公をじっと睨みつけ、不満げに吠えた。

「徒人はどこだ!さっさと戦わせろ!」

 彼の声には、怒りと苛立ちが滲んでいる。その目は、戦いを求める狂気で光っていた。

 主人公は咄嗟に戦術刀を握りしめ、警戒態勢を取る。

「なあ、あんた、徒人って奴を探してるのか?」

「お前、ただの人間か。つまらねえ。俺は徒人と戦うためにここにいるんだ!」

 大男は、狂気じみた笑みを浮かべながら、腕の杭を一気に構えた。その腕を振るうたび、金属の杭がまるで槍のように閃き、空を切る音が鳴り響く。

「わかった。あんたを手伝う。その徒人って奴俺も探す。だから、ここはお互い武器を収めないか?」

 聡真は内心恐怖しながらもなんとか脱出のチャンスを伺っていた。ここまで来るのにかなり歩いた。工場の外まで逃げても、バイクに乗る前に攻撃される。

「はっはっはっ。おもしれえこと言いやがる。だが…俺はやると決めたら止まらない質でな。お前で十分楽しませてもらおうか!」

 大男は重々しい一歩を踏み出し、杭を主人公に向けて振りかぶる。その圧倒的な質量と速度に、主人公は一瞬身を引いたが、すぐに冷静さを取り戻す。

「くそ…やるしかない…!」

 戦術刀をしっかりと構え、主人公は相手の動きを見定める。相手の巨体に比べて、自分の速度と技術でどれだけ渡り合えるか。それが鍵となる。場所は工場。それも金属を加工するためにどれも大型の機械で動いている。この中でどう動いて、何を使うか、考える事はたくさんある。

「行くぞ…!」

 静かな決意と共に、工場での戦いの幕が上がった。

読んでいただきありがとうございました。

今後も頑張って活動していきます!

感想、応援等励みになりますので、お願いいたします!


また、読みキュン、Twitter等でも、活動報告の方させていただいております!

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お楽しみに!



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