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恋と嘘  作者: yukko
89/92

結婚

悠は富田優一に、そして沙希子は佐伯陽菜に結婚することと一般的な式を挙げないことを話した。


「結婚式を挙げないぃ? なんでだよ!」

「沙希子が望んだんだ。」

「沙希ちゃんが?」

「うん。」

「俺は二度目だろう……。」

「理由はそれだけ?」

「分からないんだ。ただ、沙希子にとって初めてでも俺は二度目だから……。」

「麻美さんとお前の結婚式に参列してないよな。」

「うん、してない。」

「あ……二次会には来てたな。」

「そうだったな。」

「見たもんな。麻美さんの姿を……

 輝いてたよ。美しかった。

 ……そうだった。見たんだ。

 仕方ないよな。あの美しさを見たら……沙希ちゃん、美人でも可愛くも無いから

 なぁ。」

「今、なんって言った?」

「美しい麻美さんの姿を見たら仕方ないなぁ、って言った。

 お前の脳裏にもしっかり残ってるんじゃないか?」

「麻美……の姿……。」

「うん。二次会と新婚旅行に行く時、見送ったぞ。俺と沙希ちゃん。」

「想い出補正もあるかもしれないけれど、ドキッとする美しさだった。

 沙希ちゃんは、遠いよな。麻美さんとは……。」

「それなのかな?」

「そうじゃないの? 沙希ちゃん、絶対に勝てないもんな。」

「そんな風に言うな!」

「沙希ちゃんが感じてることかもしれないから言っただけだ。

 なぁ、沙希ちゃん、俺達が思うよりも苦しいのかもしれないぞ。

 どうしても、後妻は比較されるから……。」

「なんで、そう思うんだ。」

「俺のばあちゃんが後妻だったんだ。

 よく言ってたよ。死んだ人には勝てないって……。

 なぁ、せめて沙希ちゃんが映えるような服で……な。」

「うん。」


♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡


「ごめんね。普通の結婚式挙げないの。」

「……なんで?」

「私が……お願いしたの…。」

「そうなんだ。」

「うん。」

「分かった。」


♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡


悠は会社の帰りのデートの時に沙希子に聞いた。


「俺たちにとって大切な日だから……人数を少なくしてホテルとかじゃない場所

 で……駄目かな?

 何も無しは嫌なんだ……沙希子のご両親にも申し訳ないし……。

 だから……カフェでウエディングするのはどうかな?」

「うちの親のこと考えてくれて本当にありがとう。」

「お礼を言って貰えるようなことじゃないから……当たり前だから……。」

「でも、やっぱり……ありがとう。」

「どういたしまして。カフェウエディングでいい?」

「ありがとう。……素敵だと思う。」

「うん。素敵な式にしよう!

 それで、どんな風にしようか?」

「あのね……。」

「うん。何?」

「あの……婚姻届にその日、皆さんの前で署名するのはどうかな?」

「いいねっ! そうしよう。」

「友田君……知ってるもんね。婚姻届の様式……

 私のために私が提案出来るようにしてくれたのよね。ごめんね。ありがとう。」

「沙希子……ごめんね、は止めよう。止めよう、な。」

「……うん。」

「それから……服はどうする?」

「平服でどうぞ……では駄目?」

「あぁ、来て貰う方……そうだね。平服でもどうぞ…か……。」

「やっぱり、駄目かな?」

「いや、別にいいと思うけど……スーツくらいは着て来るかも……。」

「それで、充分ね。」

「うん。……で、俺達は?」

「スーツは?」

「会社に行くみたいだけど……。」

「友田君、スーツ姿カッコいいから……いいと思う…けど…。」

「カッコいい……そう? カッコいい……。」

「うん。」

「沙希子は?」

「私もスーツにするの。」

「えっ? スーツ?」

「うん。父がね。就職の時に作ってくれたスーツなの。

 大切なの。」

「そうか……じゃあ、それで…ね。」

「うん。」


♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡


「【平服でお越しください。 僕たちもスーツです。】かぁ~っ。

 沙希子……スーツ……お父さんが就職のお祝いに作ってくれたスーツだから着た

 いんだよな。

 サイズが分からないから、勝手に服買えないからなぁ……。

 けど、沙希子は花嫁なんだから着飾って欲しい。

 俺の花嫁なんだから、俺も見たい……。

 佐伯に相談してみるか……。」


♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡


「じゃあ、沙希子はスーツなのね。」

「うん。」

「そうか……。」

「サプライズでさ。俺が用意したいんだよ。

 式を挙げないっていっても二人にとって大切な記念日なのに……

 沙希子に出来たら花嫁衣裳を……。」

「駄目でしょう。」

「うん。だから、相談してるんだ。」

「スーツでいいんじゃないの。」

「どうして……。」

「着飾って貰いたいって友田君の気持ちも分かるけどね。

 沙希子の気持ちは違うんだから、仕方ないと思うけど………。

 沙希子の気持ちに寄り添てあげた方がいいわよ。」

「それでいいんだろうか?」

「いいのよ。沙希子の気持ち、分かってあげて欲しいの。」

「佐伯……。」

「友田君の脳裏に亡くなった奥様の花嫁姿、残ってるんでしょう?

 沙希子は上書きできないって分かってるのよ。

 そのままにしてあげて。」

「……麻美の花嫁姿……。

 沙希子に俺が出来ること、無いのかな?」

「無いわ。」

「何も?」

「うん。あるのは一つだけ……。」

「何?」

「捨てないであげて! それだけよ。」

「俺が沙希子を捨てる? そう思われてるってこと?」

「あの子、そんなに自信ある子だと思う?

 全く無い子よ。」

「俺は……大切にしたいと思ってる。」

「うん。分かってるよ。でも、この我儘は許してあげて、ねっ。」

「分かった。」


♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡―――♡


挙式が出来るカフェで行うことにした。

両家だけではなく、会社の上司と友人も招くことにした。

新婚旅行は麻美との時、国内だった。

沙希子とは海外に行きたいと思った。

沙希子に「どこに行きたい?」と聞いたら、「行かなくてもいい。」という返事だった。

何度話し合っても、沙希子は「行かない方がいい。」としか言わなかった。

沙希子の気持ちを優先して、新婚旅行は無しにした。

沙希子が要らないと言っても結婚指輪だけは譲れなかった。

沙希子を連れて行き、指輪を買った。

カフェの挙式で指輪の交換もをする。

ケーキの入刀も行う。


「そんなにして貰わなくても……。」

「何言って………俺がしたいんだ。

 沙希子の心の中に、しっかり残しておきたい。

 俺にとっても大切な日なんだよ。

 二人の記念日になる日だよ。

 それを忘れないで欲しい。いいね!」


沙希子は頷いた。

直ぐに結婚したい悠は、一番早く予約が取れる日を押さえた。

沙希子は頑なになってしまっていることを分かっていたから、「何もしないこと」を選んでしまった。


「麻美さんとの結婚の記憶……大切な記憶だから……

 私とは何も無くていい………。」


そう言えたら楽だけれども、そう言えば悠は……嫌な思いをするだろう。

だから……何も言わない、ただ、何もしたくないとだけ伝えたい!と決めた瞬間から、頑なになるしかなかったのかもしれない。

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