家
悠は沙希子を今の家に招かなくて良かったと思った。
麻美の写真が飾られている。
きっと自分お気持ちを押し殺してでも、麻美の全てを受け入れようと努力するであろう沙希子。
そんな沙希子だから好きになった。
そんな沙希子だから新しく作っていきたい。
沙希子を誘って不動産を見た。
先に幾つか候補をネットで調べてプリントアウトした。
「この中でなくてもいいんだよ。 どの沿線がいいとかある?」
「私、実家を出たことが無いから分からないの。」
「仕事は続けるんだろ?」
「うん。続けたい。」
「夢を描けるよな。こうして住む家を探すって……。」
「うん。そうね。」
「家が決まったら、家具を探そうな。」
「うん。」
「カーテンは沙希子が選んで!」
「いいの?」
「色とか俺は苦手。」
「うん。分かった。」
「あのさぁ……結婚式だけどな。式を挙げなくても記憶に残るような何かしたいん
だけど……。
俺は再婚だけど、沙希子は初婚だろう?
ご両親のお気持ちも考えたら、どんな形式でも二人が結婚しますって宣言する
ような何かをしたいんだ。
それも、嫌?」
「ううん。……私、両親のこと考えて無かったわ。
友田君、考えてくれて本当にありがとう。」
「良かったよ。じゃあ、両家の顔合わせの時に相談しようか?」
「両家の顔合わせ?」
「うん。出来る限り早い方がいいんだけど……どうかな?」
「早い方がいいの。」
「早く決めないと結婚出来る日が先になるから……俺は一日も早く沙希子と結婚し
たいんだ。
一日も早く、友田沙希子になって欲しいんだ。
あ……友田沙希子じゃなくて、橋本沙希子のままがいい?
俺は友田のままでも橋本に変わってもいいよ。」
「結婚って大変なのね。決めること多くてビックリ。」
「うん。俺は二度目だけど、これが最後だから……。
沙希子もこれが最後だよな。」
「うん。最初で最後。」
「よし! 早く家、決めよう。 先に進めないや。」
「うん。」
無事に翌週には住む家が決まり、先に悠が一人で住むことになった。
新築の賃貸マンションの3LDKである。
二人の家。
悠は一日も早く一緒に住みたいと思った。




