元夫婦の会話
悠が帰った後、課長と元夫の二人になった。
「今日はごめんなさい。部下だった子を連れて来て……。」
「いいよ。」
「で、話って何? 再婚相手見つかったとか?」
「再婚は……今すぐにでもしたいけど、同意が居るからね。」
「そう……そういう人が居るなら、もう会わないでおきましょう。」
結婚届を差し出された。
「何? これ……。」
「やり直したい。もう一度、夫婦になりたい。」
「でも……。私と居たら、子ども……無理よ。」
「居なくてもいい。何度も、そう言っただろう?」
「でも、欲しいんでしょう。
だから、もっと若い子と結婚して!」
「君がいい。離婚して、もっと分かった。」
「私は無理よ。」
「嘘は止めろよな。」
「えっ?」
「聞いたよ。お義父さんから、手術のこと……。
僕が長期出張に行っている間に手術して、卵巣を取ったって!」
「お父さん…!」
「卵巣癌じゃなくて良かったよ。」
「そうね。破裂が一つと破裂寸前が一つだっただけよ。」
「急な腹痛で救急搬送されて、そのままオペだったんだってね。」
「ええ。」
「大きく腫れてたんだってね。」
「ええ。もう、いいでしょう。帰るわ。」
「帰さないよ。署名して貰えるまで……。」
「あなた……。」
「僕は離婚したくなかった。だから、君の理由など却下だ。
僕は君と暮らしたい。もう一度……。」
もう終わったはずの夫婦が元の鞘に収まる時が来たようだ。




