陽菜への報告
友田悠からの電話で佐伯陽菜が交際の報告を受けた時の言葉は………
「おめでとう! でも、沙希子から聞きたかったな。」
「俺からだったら駄目だったのかな?」
「そりゃあ沙希子から聞きたいわよ。」
「それは、今からでも聞けばいいんじゃないかな?」
「今日、聞くわ!」
電話を切って陽菜は呟いた。
「ほんと、沙希子から聞きたかったわ。」
昼休みに陽菜は沙希子を屋上庭園に誘った。
「ここ、屋上庭園って名前だけど、庭園じゃないよね。」
「うん。そう思う。ショボいね。」
「あのさ、何か変化あった?」
「へ……んか?」
「うん。昨日、変化あった?」
「…………。」
頬を染めて手を当てている沙希子。
「あったのね。」
「でもね! 夢かもしれないの。」
「へっ?」
「夢だと思うのよね。白日夢ってやつかな?」
「違うでしょ………。事実だったのよ!
友田君から電話が架かって来たよ。
わざわざ社内電話を使ってね。」
「本当のこと?」
「そうよ! あぁ~~っ。だから、私に電話してきたんだ!」
「?」
「あのね、自己肯定感が低すぎる沙希子が無かったと思うって………
友田君は思っちゃったんだな。
で、私に電話を架けて知らせてくれたって訳よね。きっと!」
「じゃあ、本当に? 私……。」
「もうちょっと自信持とうね。……おねでとう!
片思いが両想いになったね。良かったね。」
「……うん。」
「今日はデート?」
「うん?」
「何? 疑問形なのよ。」
「しっかり覚えて無くて……。」
「その薄い記憶でも、待ち合わせ場所に行った方がいいわよ。
たぶん、薄い記憶が間違ってないと思うから……。」
「うん。行って来るね。」
「報告を待ってます。」
「はい。」
頬を染めた沙希子と陽菜が笑顔で居る時に課長に声を掛けられた。
「橋本さん、友田君とお付き合いするのね。
良かったわね。」
「えっ? どうしてご存じなんですか?」
「友田君からわざわざご報告を頂いたのよ。
昨日は挨拶もせずに走り出して申し訳ありませんでした。って……
その時に、橋本さんと付き合えた!って……
感謝されちゃったわ。ふふ………可愛いわね。
幸せにね。」
「はい。ありがとうございます。」
課長が優しい笑顔を向け、他のベンチへ向かって行った。
その姿を見送って陽菜が話した。
「へぇ~~っ。めっちゃ律儀っていうか……
周囲に沙希子と恋人になったって告知したいのかな?
意外と焼きもち焼きだったりして……。」
「そうなの?」
「まぁ、沙希子が相手だから……ね。
自己肯定感が低くて、男性への免疫が無くて………
恋愛経験皆無だもんね……友田君も大変だ。」
「そうなの。私………。」
「ああああ! 大丈夫よ!大丈夫! 友田君と一緒なら!」
「そう?」
「そうそう!
沙希子、何かあっても直ぐに私が居なくなれば……って、思っちゃ駄目だよ。
いい? 何かあったら二人で乗り越えるのが正解なんだからね。」
「うん。」
「まぁ、取り敢えずは今日のデート、楽しんでおいで!」
「うん。」
頬を染めている沙希子が可愛かった。
陽菜は嬉しかった。




