再会
息を切らせて友田悠が走って来る。
何故、何があって走って来るのか分からない。
頭の中は真っ白で、ただ、向かってくる友田悠から目が離せなかった。
「橋本………。」
「ど…うしたの?」
「……ごめん。ちょっと待って……息が上がってるから…。」
「うん。」
少し待った。
ゆっくりと友田悠が話し始めた。
「橋本………俺……。」⦅くそっ! 落ち着け! 俺っ!⦆
「あのな……橋本……どうしても話したいことがあるんだ。」
「仕事?……違うよね。部署が違うから……。」
「橋本、俺……ここでは……ちょっと……。
どこか、店に入らないか?」
「店?」
「おう、近くの店に……。」
「でも……。」
「頼む! お願いだ!」
「分かったわ。」⦅何? 友田君……怖いな? なんだろ?⦆
「おう、駅前じゃないけど……いいかな?」
「うん。いいわよ。」
「ありがとう。」⦅ヨシ! やった!⦆
折角入った駅を出て、店に向かいながら沙希子は思った。
⦅私、何もしてないよね。
会ってないんだから、何もしてないよね。⦆
「良かったよ。橋本が電車に乗る前で……。」
「そう?」
「うん。……俺、運動不足だな。そんなに走って無いのに息が上がった。」
「そうなの?」
「うん。もう年なのかな?」
「どうだろう? 走れたから私より若いと思うけど……。」
「橋本と俺って同い年だぜ。」
「そうね。」
「あのさ……この店なんだ。ここでいいかな?」
「うん。私はどこでもいいわ。」
「じゃあ、入ろう。」
「うん。」
店の中に入って一番奥のテーブルの所へ行った。
「ここがいいな。」
「うん。」
何の話は分からない沙希子は怖いと思っていた。
何が怖いのかが、はっきりしなかった。
もしかしたら、再婚の話なのではないかと少し震えた。
怖くて震えた。
友田悠の声で「あのな。俺、再婚するんだ!」という言葉が聞こえて来たような気がした。
⦅諦めが悪いな……私。⦆
ずっと俯いていた。




