桃の花
沙希子が富田優一と澪の家を出て暫くすると、父から電話が架かって来た。
車で母と一緒に迎えに来てくれているということだった。
沙希子と海を乗せて、家族で出かけようという話になって迎えに来てくれたらしい。
沙希子は現在位置を教えると、「直ぐ傍だ。」と父は言った。
車に乗せて貰う場所を決めて待っていると父の車が来た。
「海、お父さん寂しかったぞ!」
「はいはい。娘より海ね。」
「焼きもちは恥ずかしいぞ。沙希子。」
「はいはい。お父さん。早く出発してください。」
「分かった。海行くぞ。遊ぼうなぁ~!」
「はいはい。」
車を走らせながら父が言った。
「沙希子、桃の花が綺麗なんだ。見に行こう。」
「いいわぁ~。桃の花!」
「お父さんにしては……でしょ。」
「うん。そうね。お父さんにしては……ね。うふふ……。」
「なんだ。馬鹿にするなら行かんからな! 海だけ連れて行く!」
「お父様、流石でございます! 沙希子は付いて行きます!」
「馬鹿にして! 反省してるのか?」
「勿論でございます!」
「なら、連れて行ってやってもいいぞ……。」
「何を沙希子が言っても連れて行くのに……。」
「何か言ったか? お母さん!」
「いいえ、何でもございませんわ。おほほ……。」
「楽しみねぇ~。 お母さん!」
「本当に! 海も楽しみよねぇ~。」
「そうだろ、そうだろ!」
車は家族を乗せて、桃が美しい公園に向かって走って行った。




