散歩
毎週土曜日は海を連れて富田優一と澪の家に行く。
理由は、澪が海と散歩したい!と言ったからである。
親族(橋本家)で一番年下が澪なのだ。
澪の両親だけでなく、沙希子の両親も澪には甘い。
そして、甘えるのが似合う澪なのだ。
澪の職場に近い所に新居を構えた。
その新居が沙希子の家から徒歩で1時間ほどの所にある。
犬の散歩コースで1時間は歩いているので、澪の新居へ海と歩いて行っている。
今日も歩いて澪の家に着き、少し休憩してから、澪と近くの公園に散歩に行った。
着いた公園でベンチに座り、海に水を飲ませる。
「気持ちいい~。」
「うん、気持ちいいね。」
「一人でお散歩は楽しくないから、海が居てくれると楽しい!」
「優君とお散歩すればいいのに……。」
「優君とは、日曜日にお散歩してるからいいの。
海とお散歩したいもん。」
「海も喜んでいるから、うちはいいんだけど……
毎週じゃ優君に悪いから……。」
「気にしなくていいのに、今日なんか優君の友達が来るんだし……。」
「じゃあ、早く帰って支度しないといけないんじゃないの?」
「何もしなくていいって優君が……。」
「何もしなくていいっていう訳にいかないでしょう。」
「そう?」
「そうよ。もう帰ろう!」
「ええ―――っ!」
「ええ―――っ!じゃないの。帰るよ!」
澪の家へ帰って優一に挨拶して直ぐに帰ろうと思った。
「優君、今日、お客様がいらっしゃるんですってね。
ごめんね。遅くまで澪ちゃんと散歩して……。」
「いいよ。気にしないでね。
来るの悠だから……。」
「ゆう?」
「うん。悠!」
頬が熱くなったのが分かる。
「帰るね。」
「えっ? そんなに急がなくてもいいよ。
悠と同期なんだから、沙希ちゃんは………。」
「でも、帰るわね。」
「そう? じゃあ、またね。」
「また………。」
「心臓沈まれ!」と思いながら、海に「帰るよ。」と声を掛けて澪の家を後にした。




