家
亡くなった妻・麻美の物を送り出す日、友田悠の両親も来ていた。
麻美の物を送り出すのを悠と一緒に見送ってくれた。
見送った後、暫く茫然としていた悠に母が話しかけた。
「行ってしまったわね。」
「うん。」
「これで良かったんだ。麻美さんのご両親は我慢されてたんだと思う。」
「うん。」
「返して欲しかったんだろうね。愛娘を……。」
「そうよね。あれだけ大切なお嬢さんだもの。」
「うん。」
「それにしても、この家、こんなに広かったか?」
「本当! 麻美さん、病気のこともあって花嫁道具も少なかったわよね。
それでも、こんなに広く感じるほど……寂しくなったわね。」
「うん。」
「悠、寂しいだろうけれど、これからの人生のことを考えなさい。」
「そうよ。貴方には貴方の人生があるんだから……。」
「うん。」
「あちらのご両親が仰ってくださったように、自分の人生を生きなさい。」
「はい。」
「さぁ、久し振りに私の作ったご飯でも食べる?」
「頂くよ。母さん。」
「食材は持ってきたからね。今から作るわ。」
「うん。ありがとう。」
両親が来てくれて良かったと友田悠は思った。
麻美の物がなくなり広くなった部屋に独りで居たら辛かったと思う。
両親はその日泊ってくれた。
それが大人として情けないと思った。
なんとなく……麻美はもう居なくなったんだと実感した日だった。




