屋上
友田悠と社員食堂で会った後、佐伯陽菜に屋上庭園まで連れられた。
引っ張って連れて行かれて驚いた。
「沙希子、どうして? どうして嘘言ったの?
あんな嘘、いう必要あった? デートしたとか……。」
「なんとなく……自分の気持ちを終わりにしたくて……。」
「あんなんで終わりに出来ると思ったの?」
「しないといけないと思った!」
「もう、お昼休みが終わっちゃうから……これ以上話せないけど……。
なんとなくだけど……友田君、なんて思ったのかな?」
「……良かったって言ってた……。」
「言ってた時の友田君の顔……沙希子、あんた見た?」
「……見てない……。」
「ショックだったみたいよ。」
「まさか!」
「私には、そう見えた。」
「……そんなはず無いわ。
友田君、奥様のこと、たぶん今も……誰よりも愛してる。」
「その奥様が亡くなって、もう時間が経ったんじゃないの。」
「それでも! 愛してると思う。誰よりも……
そんな友田君だから好きなんだもん。」
「沙希子……。この話は、また今度ね。
お昼休み終わるわ。行こう!」
「うん。」
その日は、もう陽菜と友田悠のことを話さなかった。
あの嘘を、私は……何故、嘘をついたのか分からない。
本当は分からないのだ。
ただ、自分の気持ちを終わりにしたいと思っていたから、陽菜にその気持ちを伝えた。
終わりにしたいという気持ちでついた嘘かどうかが分からないままだ。
そして、本当に終わりに出来るかどうかも分からない。




