報告
佐伯陽菜には話せなかった。
富田優一と澪には話した。
澪は反対した。
優一はその澪を制して「沙希ちゃんが相手と話して、この人なら大丈夫だって思ったんだろうから、沙希ちゃんの気持ちが最優先!」と言ってくれた。
その日が楽しみなのだと伝えると二人は驚いていた。
「生まれて初めてのデートだから……好きな人じゃないけれども、デートってどんなものか興味があるの。」という私の返事が理解できなかったようだ。
「好きな人とじゃないのはデートじゃない!」と澪は言ったが、優一は無言だった。
「心配しないでほしい。」とだけ伝えて電話を切った。
富田優一はLINEでメッセージを送るかどうか悩んでいた。
⦅あいつ、どうなんだろ?
前のは……何も動かなかったということは、沙希ちゃんのこと何にも思ってなか
ったのか……。
万が一に……かけたんだけどな。
あいつが愛してたのは麻美さんで……。
だから、麻美さんの病状を知った俺が話して、そしたら、めっちゃアプローチか
けた。
あいつは、好きだったら動くはずなんだ。
留学した後、沙希ちゃんの名前出てたのにな……。
動かなかったってことは違ってたのか……万が一も無かったんだ。
悠に何も言わない方がいいんだろうな。沙希ちゃんにとって……。
あいつの気持ちが沙希ちゃんに向いてないんだからな。⦆
優一はスマホを手にしたが、何もしないままテーブルに置いた。




