遅かったのかい
同僚と居酒屋で酒を飲んでいる時だった富田優一からLINEメッセージが届いたのは……。
内容を見て……胸に甘い痛みが……友田悠はそのことを無視したかった。
内容を見て動揺した自分の気持ちを無視したかった。
⦅そんなはずはない!⦆
前に橋本沙希子の心を聞いたから「まだ愛されている。」と思っているからビックリしたんだと思うようにした。
同僚と居酒屋を出てスナックに入った。
初めての店である。
同僚が何度か来たことがある店だった。
カラオケが無い店で、売りはオーナーのギターだということだ。
「そうなのよ。
オーナーは若い頃に流しをしてたのね。
それで、この店でもオーナーは流しをしてるのよ。
ただ、昭和の曲でないと弾けないのよね。」
「若い者が知らん曲ばかりだけどな。
お兄ちゃんたちも知ってる曲があったら一緒に歌おうぜ。」
常連客が友田悠たちに声を掛けてくれた。
「ありがとうございます。」
ギターが曲を奏で始めた。
すると、常連客達が歌い出した。
「♪遅かったのかい 君のことを 好きになるのが 遅かったのかい
他の誰かを 愛した君は 僕をおいて離れていくの
遅かったのかい 悔やんでみても 遅かったのかい 君はもう居ない♪」
胸が苦しくなってきた。
友田悠は自分の心の移ろいを無視できないと思った。
⦅もう、無理なんだろうな……。
今更……だ……。⦆
歌は続いた。
「♪今は幸せかい 君と彼は 甘い口づけは 君を酔わせるかい
星を見つめて 一人で泣いた 僕のことは 忘れていいよ
今は幸せかい 悔やんでみても 今は幸せかい 君はもう居ない♪」




