マッチングアプリ
父が嫌っているマッチングアプリを従妹の澪から勧められた。
そして、ほぼ強制的に……勝手に……澪が私のスマホにアプリをインストールした。
「澪ちゃん、困るよ。」
「叔父さんには内緒で、ね!」
「もう…………参ったなぁ………。」
「どうした?」
「澪ちゃんが勝手にマッチングアプリを私のスマホにインストールしたのよ。」
「澪、それは駄目だ。」
「でもぉ、そのくらいしないと沙希ちゃんの結婚はないかもしれないと思うも
ん。沙希ちゃんにも結婚して欲しいの。」・・
「勝手は駄目!」
「でもぉ………。」
「もう、いいわよ。」
「そぉ~。」
「うん。」
「そうだ! ねぇ、ここで沙希ちゃんへ届いたメッセージを見るのはどう?」
「ここで?」
「うん。ここで男性代表として、優君に見て貰うの。
優君が『こいつは駄目!』って言った人には会わない!とか決めて……。」
「男が必ず男の嘘を見分けられるってことないと思うぜ。
俺が騙されたら……沙希ちゃんに申し訳ない。
だから、アンインストールして!」
「いいよ。」
「へ?」
「騙されたら、それは私の責任でしょ。」
「でもな………。」
「最終的に会うかどうか決めるのは私なんだから……ね。」
「でも………。叔父さん、ショックだろうし……。
友人の紹介とかと違って、ある程度の補償が無いと思うよ。
最初からだます気の人間が本当のこと書き込むとは思えないしな。
沙希ちゃんには、マッチングアプリ、合わないよ。」
「折角、澪ちゃんがインストールしてくれたアプリ。
もう、メッセージが届いてるから……。」
「えっ? 早っ!」
「取り敢えず、見てみる?」
「うん!」
「分かった。」
三人で見ても、嘘など見分けられない。
「もう、止めようぜ。
沙希ちゃん、アンインストールするから、いいよね。」
「うん。」
「澪、もうこんなことしない! いい?」
「はぁ~い。」
「これが、叔父さんの耳に入ったら怒られるのは、たぶん、俺。
だから、止めよう。」
「ねぇ、待ってよ。」
「だから、止めるんだよ。分かった? 澪。」
「でもね、この今届いたメッセージの人、どうかな?」
「えっ? また届いたんだ。」
「ほら、見て。沙希ちゃんと同じような会社に勤めてるって……。」
「それが本当だったらな。」
「一回、会ってみたら?」
「おい!」
「ねぇ、一回会ってみるの。」
「澪!」
「沙希ちゃんが怖い目に遭わないように、二人で傍に居るからね。」
「待った! それ、俺と澪が一緒に会いに行くってことなのかな?」
「そうよ。直ぐ近くで座って、話を聞くの。」
「それって、盗み聞きって言わないかい?」
「まぁ、そうなんだろうけど……。」
「止め止め! もう早くアンインストール!」
「………。」
「沙希ちゃん?」
「それ……やってみたいわ。」
「そうでしょ!」
「沙希ちゃん、何言ってるのかな?」
「私ね。変わりたいの。変わるために一度だけ冒険するわ。」
「沙希ちゃん………。」
「やったぁ―――っ! じゃあ、会おう。勿論、私たちが傍に居るからね。」
「本気かよ………。」
「うん。本気。優君、お願いします。」
「あぁ~~っ、叔父さんに怒られる。」
澪が率先して返信メッセージを送った。
会う日は優一と澪が傍にいる。
一人で会いに行くよりは安心できる。
会う日を楽しみに出来たら良いのだけれども、どちらかというと義務のような気持ちが勝っていた。




