佐々木風花
PCのメールを開けられなかった。
怖かった。
「お付き合いします!」という文章を見たくなかった。
佐伯陽菜が声を掛けて来た。
「どうしたの? 沙希子?」
「えっ? 何でもないわ。」
「そう……。」
「あ……今日、早く帰るんでしょう。
私、手伝うわよ。」
「いいよ。いっつも保育園から電話が架かってきたら、仕事代わってして貰ってる
のに………。」
「私、予定なしなのよ、ね。
独り身の辛さを分かってぇ~。
仕事させてよね。」
「ありがと。でも……独り身でも……忙しく出来るんじゃないの?」
「忙しく……仕事!」
「仕事以外で! 趣味を持つとか……。」
「趣味……ないなぁ……。」
「だから、作るのよ。趣味を!」
「うう~~ん。探さないといけないな。頑張る!」
「うん。」
陽菜との会話で元気を貰ったと思った。
勇気を出してメールを開けた。
「こんにちは。結果報告。
駄目だった。
相手にして貰えなかったし、断るつもりで会ったんだってさ。
また、エリートと知り合ったら紹介してね。
よろしく!」
「えっ? 駄目だった? 嘘………。」
そういう言葉が口から出ていた。
周囲を慌てて見回した。
誰も居なくてホッとした。
そして、嬉しかった。
佐々木風花には悪いけれども、私は嬉しかった。
ただ、それはちょっとだけ先に伸びただけだと分かっていた。
いつかは、再婚することを分かっている。
それまでの時間は僅かだと分かっている。
もう一度、諦めることを自分に言い聞かせねばならない!と思った。




