カプセルホテル
そのまま直ぐ帰宅できなかった。
笑顔を張り付ける気力もなかった。
私が思いつくことすら出来なかったことを佐々木風花は簡単に言った。
「彼女が居ても関係ない!」と……。
「自分の方を好きになって貰えればいいのだ。」と……。
そういうことを思い浮かばないくらい最初から諦めていたのだと気づいた。
帰路に就いても帰られない。
私は行く先が無いことに気が付いた。
どこに行けば誰にも気を遣うことなく泣ける?
どこにも、そんな場所は無い……。
思いついた場所は女性専用のカプセルホテルだった。
ネットで探して向かう。
その前に両親に連絡をした。
「お母さん、私。
あのね、今日、友達と食事するって言ってたよね。」
「ええ、聞いてるわ。」
「あの後にね、カプセルホテルに泊まってみようって……
で、今、カプセルホテルなの。」
「大丈夫なの?」
「女性専用のホテルなの。」
「そうなのね。だったら、安心ね。」
「あのね、場所は………。」
カプセルホテルの場所と名前を伝えた。
まだ、心配だろうと思ったので、カプセルホテルの中で自撮りした写真を送った。
母は確認できて安心したらしい。
「終わった……。
もう、笑顔でなくてもいいんだ……。」
布団を頭から被って声を殺して泣き続けた。
カプセルホテルを翌朝、早くに出て帰宅した。
父と母の顔を見た。
一晩、心配した両親だったことは顔を見たら分かった。
もう心配かけない娘でいたいと思った。
着替えて出社した。
出社してから暫くしてPCに佐々木風花からのメールが届いていることを知った。




