愛のキューピット
友田悠に連絡する術がなかった。
たった一つの術は、富田優一から連絡をして貰うことだけだった。
富田優一とは従妹・澪と結婚してから、従姉妹グループLINEに入った富田優一。
連絡は取れるのだ。
メッセージを送った。
指が震えていた。
それでも、約束したから間に入らないといけない。
「こんばんは。急にごめんなさい。
今日、本社で女子社員研修だったの。
それで、その研修で知り合った佐々木風花さんから……
友田君が気になるらしくて……
紹介して欲しいと頼まれたの。
それで、連絡を取って欲しいの。
無理を言って申し訳ないんだけど……
会う日時とか希望があれば教えて欲しいの。
優君、どうか、お願いします。」
直ぐに、返信が来た。
「ちょっと、待って!
沙希ちゃんの気持ちは?
俺は、その佐々木風花という人よりも沙希ちゃんの方が心配だ。
会わせていいのか?
心に蓋、ずっと出来ないよ。
いつか爆発してしまうよ。
間に入らなくていいんじゃないか。
放っておいたら? 駄目なのか?
沙希ちゃんの心が心配だから、俺は連絡取りたくないよ。」
優一の優しい言葉が心に響いた。
嬉しかった。
「ありがとう。
でもね、もう約束しちゃったから……。
お願い。連絡取って。」
「分かった。連絡取るよ。
その日は俺も一緒に居る。
それでも、いいかな?」
「迷惑だから……それに、澪ちゃんに何て言うの?」
「本当のことを言うよ。沙希ちゃんのこと、話すよ。」
「それは、止めて。お願い。私一人で充分だから……。
二人を会わせて、直ぐに帰るから……。」
「分かった。今から連絡取るから、日時、第三希望まで決めるね。
決まったら連絡する。」
「ありがとう。待ってます。」
優一はLINEで友田悠に連絡した。
「こんばんは。
悠、沙希ちゃんから連絡があって、『紹介したい人が居る』ってことで……
日時を決めたいそうだ。
第三希望まで聞くと沙希ちゃんには言ったから……
返信には、第三希望まで書いて!
よろしく!」
「優一、橋本からなんて言ってきたって?」
「今日、お前と本社で会ったんだってな。
その時にお前のこと気に入った女性が居たんだってさ。
その女性に頼まれて断れなかったみたいだ。
第三希望まで! よろしく!」
「嫌だよ。」
「第三希望まで! よろしく!」
「だから、嫌だって言ってるだろ!」
「お前、それくらい……
頼むよ。沙希ちゃん、約束させられたみたいで、身動き取れないんだ。
嫌なら、直接、言ってやってくれ。頼む!」
「……分かった。第三希望までなんだな。」
「うん。頼む。」
「後で連絡する。」
「頼む。」
優一は「これで本当に良かったのか?」と不安だった。
悠から優一へ第三希望までの日時を知らせて来たのは2日後だった。
希望する場所まで書かれていた。
そのまま、優一は沙希子に連絡した。




