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恋と嘘  作者: yukko
38/92

本社

女子社員対象の研修があり、本社に来た。

同期の女子社員が支社からやって来ていた。

隣に座ったのは、佐々木風花。

涼しい目元の愛らしい女性だ。


「よろしくね。」

「こちらこそ。」


午前中の研修が終わり、社員食堂へ向かった。


⦅居ないよね。友田君。

 居ないでほしい。会いたくない。

 ………会いたい。けど……会うのが怖い。⦆


社員食堂で食事をして、友田悠に会えなかったことをホッとしている反面、会えなかったことが苦しかった。

社員食堂を出る時に前を見て無かったので、誰かにぶつかった。


「すみません。」

「大丈夫ですよ。」

「……橋本?」


そのうちの一つ……その声は懐かしくて……涙が出そうになるほどだった。

前を向けなかった。


「うん。

 あの……ぶつかって、すみませんでした。」

「いいですよ。気にしないでください。

 友田、知り合い?」

「はい。同期です。」

「ねぇ、橋本さん、どなた?」

「うん、同期で一緒に仕事してたの。」

「そうなんだ。………私も同期です。

 今日は橋本さんと一緒で女子社員の研修で本社に来ました。」

「女子社員研修ね。毎年あるね。」

「そうなんですか?」

「うん。」

「悪いね。早く食べないといけないから、これで……。」

「はい。」

「失礼しますぅ。」


友田悠がどんな顔をしていたのか見られませんでした。

見る余裕はなかった。


「ねぇ、……。」

「何?」

「あの人……友田っていう人、独身?」

「うん。」

「独身なんだ!」

「うん。」

「ねぇ、友田さん、彼女居る?」

「……知らない……。」

「そっか……。ねぇ……お願いがあるんだけどぉ………。」

「何?」

「友田さんと会わせてくれる?」

「えっ?」

「いいなぁ~!って思ったのよ。だから、間に入って……!

 ねっ、お願い! この通り……。」


そう言って両手を合わせたのです。

どうしていいのか分からなくなった。

ただ、「愛のキューピットになりたくない!」そう思った。

それを顔に出してもいけない!と思った。


「ねっ、お願い!」

「……分かった。人を介さないといけないから、時間が掛かるけど……。」

「本当に? ありがとう。」

「時間が掛かるけど……。」

「いい。いい。……じゃあ、連絡先の交換、しよ。」

「うん。」


スマホの連絡先に「佐々木風花」が加わった。

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