本社
女子社員対象の研修があり、本社に来た。
同期の女子社員が支社からやって来ていた。
隣に座ったのは、佐々木風花。
涼しい目元の愛らしい女性だ。
「よろしくね。」
「こちらこそ。」
午前中の研修が終わり、社員食堂へ向かった。
⦅居ないよね。友田君。
居ないでほしい。会いたくない。
………会いたい。けど……会うのが怖い。⦆
社員食堂で食事をして、友田悠に会えなかったことをホッとしている反面、会えなかったことが苦しかった。
社員食堂を出る時に前を見て無かったので、誰かにぶつかった。
「すみません。」
「大丈夫ですよ。」
「……橋本?」
そのうちの一つ……その声は懐かしくて……涙が出そうになるほどだった。
前を向けなかった。
「うん。
あの……ぶつかって、すみませんでした。」
「いいですよ。気にしないでください。
友田、知り合い?」
「はい。同期です。」
「ねぇ、橋本さん、どなた?」
「うん、同期で一緒に仕事してたの。」
「そうなんだ。………私も同期です。
今日は橋本さんと一緒で女子社員の研修で本社に来ました。」
「女子社員研修ね。毎年あるね。」
「そうなんですか?」
「うん。」
「悪いね。早く食べないといけないから、これで……。」
「はい。」
「失礼しますぅ。」
友田悠がどんな顔をしていたのか見られませんでした。
見る余裕はなかった。
「ねぇ、……。」
「何?」
「あの人……友田っていう人、独身?」
「うん。」
「独身なんだ!」
「うん。」
「ねぇ、友田さん、彼女居る?」
「……知らない……。」
「そっか……。ねぇ……お願いがあるんだけどぉ………。」
「何?」
「友田さんと会わせてくれる?」
「えっ?」
「いいなぁ~!って思ったのよ。だから、間に入って……!
ねっ、お願い! この通り……。」
そう言って両手を合わせたのです。
どうしていいのか分からなくなった。
ただ、「愛のキューピットになりたくない!」そう思った。
それを顔に出してもいけない!と思った。
「ねっ、お願い!」
「……分かった。人を介さないといけないから、時間が掛かるけど……。」
「本当に? ありがとう。」
「時間が掛かるけど……。」
「いい。いい。……じゃあ、連絡先の交換、しよ。」
「うん。」
スマホの連絡先に「佐々木風花」が加わった。




