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恋と嘘  作者: yukko
37/92

見送り

富田優一と橋本澪の結婚式が無事に終わった。

「どうして幼馴染の友田悠が居ない」のか分からなかった。

会いたいけれども会いたくないような自分でも訳が分からない感情だった。

友田悠を追いかけて来た彼女が羨ましかった。

今は帰したということだけれども、そのうちに……たぶん、二人は結婚するのだろうと漠然と思った。

追いかけるほどの激情がある女性にNo.と言える男性は居ないように思うから……。


新郎新婦の晴れ姿を目に焼き付けて、「おめでとう!」の言葉をいっぱい降り注ぐように……言葉を掛ける人達。

誰もが新しい旅立ちの二人を祝福していた。

勿論、私も………。

二人が新婚旅行へ発つ日、空港へ見送りに行った。

澪の零れるような可愛い笑顔を見て、心から良かったと思った。

その隣で笑顔を見せている富田優一のこれからの幸せを願った。

今までの諦めても諦めきれなかった誰にも言わなかった言えなかった恋から、愛される喜びを感じているであろう恋が永遠に続くようにと願った。


この場に友田悠が居れば、富田優一も嬉しいのだろうに、忙しくて結婚式も来れなかったのか?とぼんやり思っていた。

二人が旅立っていくのを搭乗ゲートで見送って、両親と帰宅した。

帰宅すると、葉書が来ていた。

葉書は訓練士の馬場大和からだった。

・アメリカへ訓練の勉強に行くこと。

・愛犬は高齢なので連れて行かないこと。

・今までの感謝

それらが書かれていた。

父が馬場大和に連絡を取って、旅立つ日時を聞いた。


「行くぞ! 先生の見送りに!」

カイは?」

「無理だから諦める! 僕たちだけで見送ろう!」

「行きましょう。」

「うん。」


その日も晴れていた。

澪と優一を見送った時と同じ良い天気だった。


「旅立ちに最適なお天気ですね。」

「はい。今日は橋本さんご家族にも来て頂けて本当に嬉しいです。」

「先生、お元気で! それから、頑張ってくださいね。」

「はい。」

「ワンちゃん、連れていけなくて残念でしたね。」

「ええ、でも仕方ないんです。海外へ連れて行くのは大変なので……。

 それに、高齢ですから……。」

「保護なさったワンちゃんでしたよね。」

「そうです。うちの子、お話してなかったんですけど……

 実はバスの中に捨てられていた子なんです。」

「バスの中?」

「そんなとこに?」

「ええ、バスの後部座席に段ボール箱に入れられた子犬が3匹でした。

 捨てられたんです。

 ゴールデンレトリバーの子犬なんですけど、純血種だとの獣医の診断です。

 たぶん、産ませたけれども、売れ残った子なのだと思います。」

「そんな……。」

「だから、カイ君にも去勢手術をお願いしたんです。

 こういう捨てられる犬を減らしたくて……。

 そんな子ですが、本当に愛らしくて、離れたくないんです。

 でも、チャンスなので行くことにしました。」

「どなたがお世話を?」

「実家で暮らしているので、そのまま両親が見てくれます。」

「じゃあ、安心ですね。」

「はい。望みは僕が帰国するまで元気で居て欲しいことです。」

「幾つなんですか?」

「10歳です。1年間、元気で居て欲しいです。

 大型犬なので、小型犬と比べると少し早いので平均寿命が……。」

「元気で待ってくれていますよ。」

「ええ、それを期待しています。

 すみません。他の方にご挨拶を……。」

「こちらこそ、申し訳ない。どうぞ、ご挨拶なさってください。」

「ありがとうございます。カイ君によろしく!

 では、失礼します。」


他の方々に挨拶する馬場大和を見ながら、カイにも会わせたかったと家族全員が思った。

搭乗ゲートへ入って行く馬場大和を見送った。

帰ったらカイを抱きしめたいと思った。

「バスの後部座席にゴールデンレトリバーの子犬が段ボール箱に入れられて捨てられていた。」

これは、実際にあったことです。

バスの車庫でバスの運転手さんが気づいて、飼い主を探してくださいました。

小学校などに張り紙を出してくださったそうです。

幸いにして子犬は全て飼い主が見つかりました。

この話は小学校の張り紙を見て、申し込まれた今の飼い主さんからお話を聞きました。

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