歓迎会
歓迎会がある店に着くと、主役の到着が遅れると連絡があった。
「待つのは辛いなぁ~。こんなに美味しそうな料理を眺めてるだけなんて!」
「待て!です。」
「犬じゃないんだからね。待て!は無いでしょう。」
「待て!です。」
「そう待て!ですよ。」
「あぁ―――っ! 早く来い! 空腹に耐えかねるぞ!」
「じゃあ、これ、どうぞ!」
貰ったお土産のお菓子を出すと、喜んで食べてくれた先輩。
「めっちゃ、旨い! ありがとう。」
「どういたしまして。……賞味期限はぁ~。」
「へっ? 食べたのに!」
「明日までです。OKですよ。」
「もぉ―――っ! 心臓に悪いって!」
「えへへ…。」
主役が来なくても笑いが絶えなかった。
そのうちに主役が登場して、お腹を空かせていた先輩たちを美味しい料理とお酒が満たしていった。
私の隣に座った主役の友田君は「おい、飲んでる?」と聞くので、「私は飲まない主義なんで。」と答えると驚いていた。
「へぇ~~っ。飲まないんだ。飲めないじゃなくて!」
「そうよ。飲めないじゃない。飲まないの。」
「なんで?」
「前に飲みすぎて介抱されている人を見たのよね。
あれ以来、人の迷惑にならないように気を付けてるの。」
「そうなんだ。……じゃあ、仕事も頑張ってよ。ねっ!」
「はいはい。鋭意努力しますです。」
「おい、友田。君、彼女いる?」
「居ますよ。見ます?」
「おう、見せてくれ!」
「めっちゃ可愛い♡ 友田には勿体ないくらい可愛い♡ 」
「可愛いんですよ♡ 」
友田悠はスマホの写真を私に見せた。
「何故に私に見せる?」
「どうかな? 可愛い?」
「めっちゃ可愛いですよ。」
「でしょう。」
「メロメロですね。」
「うん。」
「いいですね。」
「うん。君は? 彼? いるんだろう。」
「いないですよ。」
「えっ? そんなんだ………。」
「彼氏いない歴=年齢ですから。」
「嘘っ!」
「本当ですけど……。」
「そうなんだ……ごめん。」
「いいえ。」
決まりがまずいのか……友田悠は別の人の隣へ行った。
正直のところ、ホッとした。
⦅恋愛をしないといけないのか? 出来てない私は変なのか?
放っておいてくれよぉ~!
恋愛したくても相手が居ないんだから……。
仕事しかないんだから、あんたと違ってね。
私は仕事を頑張るわよ。あんたに言われなくてもね。⦆
……と、心の中で叫びながらも顔に笑みを張り付けて歓迎会を終えた。