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恋と嘘  作者: yukko
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同期入社

先輩たちの多くが誰かと付き合っていた。

社内恋愛も複数いた。

将来を誓い合っている人もいた。

ちょっと……いいえ、すっごく羨ましい。


1年経っても私には何ら変化がなかった。

私がモテない子なだけではない。断じて……。

周囲は既婚者ばかり、独身の男性は先輩とお付き合いしている……無理だ。

早くも恋愛が遠くなっている。

恋がしたかった。

憧れているのだ。

お付き合いするということに……。

頭の中は常に恋愛で……ではなかった。

仕事が一番だったのだ。当たり前だけど……。



1年半たった頃に一人男性が移動してきた。


「支社から移動してきた友田悠です。

 今日からこちらでお世話になります。

 よろしくお願いします。」


⦅ともだ ゆう………か。……いち が無いな。惜しい!って何で惜しいんだ?⦆


そう心の中で一人会話をしていたら、先輩に言われた。


「ねぇ、あの子、貴女の同期ね。」

「へ? そうなんですか?」

「聞いてなかったの? 本当に……。」

「すみません。」

「あの子、独身よ。独身。

 Chanceよ。頑張って、ね。」

「はぁ………。

 先輩、きっと彼女が居ますよ、ねっ!」

「まぁ、そうかもしれないわね。

 何といっても国公立大学ご卒業ですものね。」

「ひぇ~~っ、私とは大違いですやん。」

「やん、って……関西人じゃないのに。」

「上手でした? 関西弁。」

「まぁまぁやね。by関西人。」


「なんか、楽しそうですね。」

「ひぇっ!」

「そうなのよ。楽しい職場なのよ。友田君。」

「ところで……ひぇっ!って、僕は幽霊ではありませんので、悪しからず!」

「……すみませんでした。」

「これから、よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします。」


それからは、友田君の優秀さを見せつけられる日々だった。

珠算有段者だから、PCの画面を見て「どこの数字が違っているんだろう?」と間違いを探していたら、後ろから指さして「ここの数字、違ってるよ。」と指摘し、正しい数字を教えて貰った。

頭の中で計算できるって、凄いことだと思った。

でも、今時……珠算?……なぁんて思ったことは誰にも言ってはならない。

語学も堪能で……嫌味みたいな優秀さだ。

同期入社なのが嫌になった。


友田悠の後姿を見ながら「あんたの頭の欠片を私におくれ~。」と念じてしまったことも内緒だ。

そして、やって来たのが……歓迎会だった。

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