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プロローグ-2:21時だよ、全員集合!~わたし、異世界転生するよ!

タイトル、絶対未来でなんで21時ってなって後悔するやつ


ユディール様によってこの白空間に呼ばれたわたしの家族たち。


やはり皆、悲しそうだ。

それもわたしの愛しい姪っ子は重症のようだ。

申し訳なさでいっぱいになりつつも、どこかうれしさも感じる。

わたしがみんなを愛していたように、みんなもわたしを愛してくれていたことが実感できたからだろうか。

こんな幸せ中々ない。


だが、そういつまでも浸ってはいられない。

どうもユディール様は本当に無茶をしているらしく、この場を用意してくれて以降、精神を集中しているのか麗しいかんばせをキリリとしぼり、額にじんわり汗をかいている。

あ、神様も汗かくんだ。


いや、そうじゃないそうじゃない。

さて、ユディール様の心意気を無にしないためにもいっちょかましますかー!


「いいのよ。あなたが無事でよかったわ」

「でも、私のせいでおじさんが・・・」

「おまえのせいじゃない!」

「そうよ、あの子笑ってたわ」

「ああ、最後にいい思いしたってな」


さすがわたしの両親と妹だ、ただしくわたしの最後を読み取ってくれたらしい

ならばここは乗っかるまで!


「そうだぞー。ドラマの主役みたいでなかなか悪くなかった。いや、むしろいい!」

「!?」

「だれ!?勝手にばかみたいなこと言わないで!おじさんならアニメの主役っていうもん!」

「たしかに!」


なんと!

わたしの愛しい姪っ子は私の両親や妹より私のことを理解していた!

うれしいね!


「いやー。愛しい姪っ子はわたしのことをよくわかっているね!」

「おじさん!」

「お兄ちゃん!」

「万仁!」

「かず!」

「かず義兄さん!」


みんながわたしに振り替える。

そう、わたしが


「え?だれ?」


なんですとー!?

わたしの愛しい姪っ子が、わたしのことがわからなくなってるー!

いま、死んでから一番の衝撃が私をおそっている!


「え?なにを言ってるのあなた?万仁おに、おじさんよ?」

「え?だって、おじさんはおじさんで、こんなおにいさんじゃないよ?」

「?」


あ。

そうか。

そうだった。

そう、体に負傷はなかったが異常はあったのだ。

愛しい姪っ子が混乱するってことはこれは予想以上にあれだな。


「あー。すまん。なんか手違いか、優遇措置とやらのせいか。どうも若返っているみたい。わたし。

だいじょうぶ。まちがいなく、みんなが大好きな鴻上万仁さんだよ!」


おー。

静寂。

空間が白一色なだけに静寂が一層染みるね。

大丈夫。おじさんになるとこの静寂も味を感じるようになる。


「うん。なんかまだいろいろわかんないけど。間違いなくお兄ちゃんだわ」

「そうだな」

「この残念な感じは間違いなく万仁ねぇ」

「おれは直接はこの時代に合ってないですけど、写真ではみてましたし、言動からしてかず義兄さんでしょうね・・・」


ありがとう。マイファミリー!

理解に愛を感じるよ!

でもなんでだろうなぜか涙が浮かんでくるな。


「うそ・・・ほんとにおじさん・・・なの?」


恐る恐る訪ねてくるマイ愛しい姪っ子

うん。怖い思いをさせてすまなかったね


「そうだよ。愛しい姪っ子。困った子だな。泣き止んだら、もう気にするなといったろう?」

「おじさん!」


わたしの妹である、愛しい姪っ子は私の愛しの妹であるところの母の腕をとびだし、今度はわたしの胸に飛び込んでくる。


「はっはっは。いけないぞぉ。愛しい姪っ子よ。子供のころならいざしらず、女子高生となったきみがそんなことすると、きみの父上がわたしをころしそうな目でにらんでるから!

もっとも、もう死んでるけどね!はっはっは!」


おっとぉ。さっき以上の静寂ぅ。


「おじさん、ほんとに死んじゃったの・・・」


わたしの腕の中で私の顔をみないように胸に顔をあてたまま問う、わたしの愛しい姪っ子。


「うん、そうみたいだ。

 神様いわく、復活はできないみたい。

 最後に、みんなに挨拶する時間をくれたんだ」

「そんな!」


おもわず顔をあげた愛しい姪っ子。

続けようとしたことばを満面の笑みで封殺する。


「みんな!神様も無理をしてくれていて時間がない。

だから手短にいこう!

いままで本当にありがとう!」


「父よ、結婚もせず家を継がず、ふらふらとやりことをやり続けたわたしを許してくれてありがとう!

でも愛しの妹が血を継ぐ子をのこしてくれたからいいよね!」

「ばかものが・・・許したわけではない。言ってもきかんとおもっただけだ。

それに、お前の人生はお前のものだ。

親であるわたしはお前のやりたいことを阻まず。ケツを拭いてやることが責務だと思っている。

それが人の道をはずれた行為でなければな。

そして、それに関しては私はやり遂げた。

そう自負できる。お前は自慢の息子だった。

だが、お前の子を抱いてみたかったぞ」

「うん。ごめん。ありがとう」


父は寡黙な人ではあったけど、その愛情に疑いをもったことなど一度もない。

本当に言葉通り、阻まず、ずっと後ろで山のようにささえてくれていたのだ。


愛しい姪っ子のを腕に抱えたまま、挨拶を巡らせる。


「母よ。生んでくれてありがとう。あなたの愛情のおかげでわたしはこの世界で満足いく生を送れた!

世には影が多いが、少なくともわたしにはこの世界はキラキラしていた!

それは家族がいたからだ。そしてなによりアニメやゲームがあったから!」

「あなたは、もう・・・」

「それも、あなたの子として生まれ、育ててくれたから出会えた。

本当にありがとう。

父にも言われたが、孫を抱かせてやれずすまない」

「いいのよ。わたしもこの人と一緒になってからずっとキラキラした毎日だったけど、

あなたはそこにドキドキやハラハラをもたらしてくれたわ」

「なにやらよくないことのような!?」

「違うわ。あなたは初めての子供で、子育てなんて右も左もわからない私たちにとって、あなたのすることなすことすべてが新鮮で驚きと学びに満ちていた。

もし、あなたから見て私たちが誇れる親であるなら、それはあなたがいてくれたおかげ。

あなたとともに私たちも親になっていったのよ。

いいえ、そうでなくても。ただあなたという存在がいてくれるだけで幸せだった。

ありがとう。万仁。わたしたちの子供にうまれてきてくれて。わたしは幸せよ」

「わたしもあなたたちの子供で幸せでした」


おもわず空を見上げる。

まさかいつも愛情ありつつもあきれた様子だった母からこんな言葉をもらえるとはおもわなかった。

本当につくづく自分は果報者である。

深呼吸を大きくひとつして、愛しの妹を視線にとらえる


「やぁ、愛しの妹。いろいろあったが。きみの最大のt」

「手柄は愛しい姪っ子を生んだことだ。でしょ。予想済よまったく。どんだけわたしの娘好きなのよ。」

「いや、おしい。それも勿論だが。きみの最大の手柄はわたしの妹として生まれてくれたことだ」

「!」

「わたしの人生は先ほども述べたが本当にキラキラしていた。だが、その輝きはあのとき君が生まれてきてくれたときにさらに輝きをましたのだ!

そうさ、わたしはアニメやゲームが大好きだ!でも、それは家族がいたからさらに輝いたのだ!

母の言葉ではないが、きみのすること一挙手一投足がわたしをドキドキハラハラさせた。それは幸せの鼓動だった!ありがとう!」

「なによ・・・最後にそんな不意打ち・・・ずるいよ、お兄ちゃん」

「はっはっは。兄とはずるいものなのだ!」

「ばーか!

 ・・・私もお兄ちゃんがお兄ちゃんでよかったよ。

 変わり者でいっつも巻き込まれて迷惑もかけられたけど、いつも困ったときに助けてくれたのはお兄ちゃんだった。

 この子も・・・

 ありがとう。お兄ちゃんのこと絶対わすれないから」

「はっはっは。うれしいことを言ってくれる。うん。わたしもわたしの家族のことはきっとわすれない」


妹よ。

これ以上は語るまい。

なにせ君が生まれたときから嫁に行くまでは一番一緒だったのはこのわたしなのだ。

一緒にバカもやった。

助けられたと君はいうが、わたしだって君に助けられたことは山ほどあるのだ。

だけれど、私が兄で君は妹だからきっとわたしのことを立ててくれたのだろう。

本当に愛しい妹だ。


さぁ、最後が近づいてきた。

ユディール様の限界も近いのだろう。

挨拶を交わした順にその姿にノイズが走るようになっている。


「義弟よ」

「はい。」

「まぁ、なんかあとはうまくやってくれ」

「おい!最後までそれかよ!」

「はっはっは。君は愛しい姪っ子を生む要因となった男だが、愛しの妹を奪ったおとこでもあるからな!」

「まだ根に持ってたんですか!お義父さんだってもうゆるしてますよ!」

「・・・本当にそうおもうか?」

「・・・え?」


ともに父をみるといい笑顔でうなづく父


「ああ・・・許している・・・とも」

「・・・な」

「うそだろ、おい。何年たったとおもってるんだ・・・」

「いや、わたしはさすがに冗談だったんだが・・・。うん、まぁ。がんばれ」

「はぁ・・・。はい。頑張りますよ。あとのことは俺がやっときます。

だから、かず義兄さん。いままでありがとうございました。」

「ああ。面倒な家族だが、かけがえない人たちだ。お前も含めて。だから、安心してまかせる!」

「・・・はい!」


うん。同年代の男同士なんてこんなもんだ。

長いくらい。

そうさ、こいつは愛しの妹が選んで、わたしと父が認めた男だ。

なにも心配することはない。

さぁ、おおとりだ!


「私の愛しい姪っ子」


呼びかけていやだというように額を胸にこすりつけてくる


「最後の時間なんだ。

わたしにとびっきりの笑顔を送ってくれないか?」

「やだ」

「こまったな。わたしとしてはずっとこのままでもいいんだが」

「じゃぁ、そうしよ。ずっとここにみんなでいようよ」

「それはできない。さっきも言ったけど、いまここでみんなと会えているのは、わたしのことを気遣ってくれた神様がすごく無理をしてくれているからなんだ。

だから、このままなにもしないでもこの時間は終わるし、わたしはこの奇跡の時間をそんなもったいない終わりにはしたくない。わかってくれないだろうか?」

「やだ、わかりたくない!」


やぁ、これはこまった。

本当にこまってしまって家族を見渡してしまう。

その表情でわかってしまった。

口にはださなかったけど、みんながこの愛しい姪っ子と同じ気持ちでいてくれていることを。

ああ、本当に私は幸せものだ。

でも


「でも」

「うん?」


驚いたことにわたしの愛しい姪っ子が顔をあげてくれた。


「最後が変えられないなら。

こんなの筋がとおらないって、おじさん怒っちゃうから」


ああ、なんてこと


「だから、ありがとう。おじさん」


ずっとわたしが与えてきたとおもっていた


「あたしを助けてくれて。いっぱい、いっぱい愛してくれて!」


なんという思い上がりだったのか


「あたし、おじさんのことわすれない。してもらったことも、おしえてもらったことも!」


愛しの妹で学んでいたはずなのに


「あたし、おじさんのことみんなに教えるね!教えてもらったことといっしょに!」


愛しい人たちはいつも


「だから、いままでありがとう。おじさん!だいすき!」


わたしがおもいもよらないすばらしいキラキラをくれる尊い存在なのだ!

なんと強い存在だろうか。

本当に、与えるなどとおごりが過ぎるというものだ。


「ああ、わたしも大好きだ。

 愛しい姪っ子。愛しの妹!

 尊敬する父よ母よ、そして友のような義弟よ!

 わたしはみんなを愛している!


「「いままで本当にありがとう!」」


わたしの声に合わせて家族の声も重なる。

ああ、本当になんというすばらしい家族だろうか。


そして最後にみんなの顔を見渡す。

みんな涙をながしているが、晴れ晴れした顔だ


うん、これで最後。


あ、そうだ。


「最後に、みんな。

 これからのことだけど。

 この時間のことは夢として覚えていられるとのことだ。

 でも、正直わすれてくれて構わない。」

「なに言っ」


さえぎろうとした言葉を視線でさえぎる


「この時間でみんなの中にわたしが息づいているのはわかった。

だからきっと忘れても大丈夫。

きっと、そこにはわたしのかけらが少しかもしれないけど存在している。

だから気楽に楽しくいきてくれ!

わたしも気楽に生きる!」


「でも、おじさんは・・・」


「あ」


「「あ?」」


「すまない。言ってなかったか。

 わたし、異世界に転生するよ!」

「「えーーーーーっ!?」」

さぁ、グダグダしてきたぞぉ!


なお姪っ子ちゃんは若干幼児返りしている模様


この時、ユディール様はみんなに見えない状態で頑張ってこの状態を保持しつつもこの光景に見入っています

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