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そう宣言するのと同時に、会長の証であるバッジを上に放り投げた、するとバッジが淡く光りながら鍵の形へと変化し、天井へと吸い込まれていく。
その瞬間カッと天井が眩い光を放ち会場にいた人々は、あまりの眩しさに目をつぶる。
何秒後かにやっと目が見えるようになった人々は、パーティー会場が突然大法廷になっていることに仰天する。
「な……なんだここ……ていうかなにがどうなってるんだ?」
ざわざわと法廷内が騒がしくなりかけた瞬間
『静粛に!』
カンカンと音がする方へ皆の視線が注がれる、その先には真っ白な法衣をまとったレーノ会長がいる。
「これより学院法廷を開廷します!なお、この法廷は神明裁判であり審判を下すのは私ではありません。この学院の創設者である大賢者イーシャ・テンセが審判の神である『テンビーン・ハカルー神』との契約により開発された魔法なので、裁判中に何があったとしてもそれはテンビーン・ハカルー神の思し召しだということを肝に銘じておいてください」
その言葉にどよめく場内
「そんな……ではこの場でなにか不用意な発言なんてしたらどうなることか……」
そう言いながら青ざめる人々へ
「ご安心ください、聴衆の方々は契約魔法の対象外ですので何も起きません。ただし裁判の進行を妨げるような行為は罰を受けますのでご注意ください」
その言葉に安堵した聴衆は落ち着きを取り戻し、裁判を見守る体制に入り始めたようだ。
「それでは早速裁判を始めます、被告人を席へ!」
その言葉と共に、グーシャ王子とネートリーが席へを姿を現す。
「な……なんだこれは! おいお前一体これはどういうことだっ!きちんと説明しろ!」
「……被告人は余計な発言を慎むように、ここには現在審判の神がおわします! 不用意な発言は慎むように重ねて忠告しますよ……とはいえ、なんの知識もない殿下方には公正を図るためにご説明いたします」
そういうと、裁判長はグーシャ王子の前に魔法でできた光る文字を映し出した。
その1 この法廷の中では審判の神であるテンビーン・ハカルー神の加護によって聴衆以外の者は真実しか話すことが出来ない。
その2 判決が下るまでは聴衆以外の関係者すべてが外へ出ることが出来ない。
その3 裁判長に聞かれたことには必ず答えなくてはいけない。
その4 この法廷の特性上個人間における不敬や無礼は問われないものとする。
「以上がこの法廷のルールになります。 これだけは本気で忠告しますが、くれぐれも神を冒涜するような発言だけは命にかかわるので慎むように、学院の中で死者がでるなど面倒でしかありませんし私の経歴に傷がつきますので」
「ぐ……この場に勝手に連れてこられて拒否権すらないのか……」
「すべては殿下の行いの結果ですから、学院法の中に『学院法廷』については記載されているのにきちんと把握してない時点で王族としてありえないと思いますが」
「なっ……そ、そんなことよりあの性悪は呼ばないのか! 俺もあの女が愛するネートリーにした数々の嫌がらせや暴力について告発するぞ!」
「殿下に学院裁判を請求する権利がございませんので却下します。 ですが告発者であり参考人でもあるデスワー公爵令嬢にもおいでいただきましょう」
その宣言とともにデスワー嬢の姿が現れる。
「これが伝説の学院法廷でございますか……なんと荘厳で美しい……そして圧倒的なオーラを感じますわ……」
そう言いながら、デスワーは裁判長の後ろ側を一瞬だけ見てすぐさま視線を下に向けつつ美しいカーテシーを披露する。
「審判をつかさどる『テンビーン・ハカルー神』のご降臨を賜り恐悦至極にございます。アークヤーク公爵が嫡女デスワーお召しにより参上いたしました」
デスワーの口上に反応したのか、デスワーの周りにキラキラとした美しい輝きが生まれた、その美しさに観衆もウットリと見つめるのであった。
「コ……コホ……。で、では早速ではありますが『審判』を始める!」
うっかり見とれていた裁判長であったが、すぐにカンカンと木槌を打ちながら宣言を行う。
すると、関係者一同の一人一人の足元に青い円が生まれた。
「この円の中からは、審判がおわるまでは動けません、そして先ほど殿下方に説明したように真実しか声に出せなくなります。では、早速始めていきましょうか、では第五王子グーシャ裁判長たる私レーノ・マキコマの問いに簡潔に答えなさい」
こうして第五王子グーシャと男爵令嬢ネートリーの審判が始まるのであった。




