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国王陛下の私室にて、王子達の処遇について軽く説明を受けたレーノ。
「では、グーシャ殿下とシュアーク殿下の処罰は、デスワー嬢次第なのですね」
「あぁ、デスワー嬢が元老院へ話をつけに会議場へ乗り込んでいるようだぞ」
そう言いながら可笑しそうにニヤリと笑う国王陛下。
「それは……元老院の方々は大変そうですね……」
あの勢いで突撃された方はたまったものではないだろうな……とレーノは会議場にいる人達にちょっとだけ同情した。
「まぁ、頭に血が上って紛糾した論争を繰り広げていた連中にはいい薬だろう?」
「はぁ……」
「決定権を持つデスワー嬢の意見も待たずに勝手にすべて決めようとしていたようだからな、長老が必死で止めていたようだがあのままだと神罰に当たってもおかしくなかったんだから問題ないよ」
うんうん、と頷きながら腕を組む国王陛下。
「さて、そろそろ来る頃かな?」
「え?」
次の瞬間、家令が
「ご歓談中失礼いたします、元老院長老とデスワー・アークヤーク公爵令嬢がお越しになられました」
と声をかけてくる。
「入ってくれ」
そういった瞬間音もなくスルリと開いた扉より、真っ赤な美しいドレスの裾を翻し
「失礼いたしますわ!」
と入室してくるデスワー嬢、その後ろから不機嫌そうに顔をしかめつつ眼鏡をかけた若い男性が続く。
「王国の太陽たる……」
「いや、挨拶はいらないから君たちも座ってくれ。レーノ君、デスワー嬢は知っているだろうから省略するよ、その隣にいる男が今代の元老院の長老だ、長老という名の役職であって別に長命種族とかではないから見たままの青年だよ!」
楽しそうに説明する国王陛下を嫌そうに見つめながら、勧められたソファへ腰かける長老とその様子をみて
「国王陛下は相変わらず冗談がお上手ですわねー、ほほほっ」
と楽しそうに国王陛下へ笑いかけるデスワー。
「レーノ・マキコマ子爵子息、昨日ぶりですわね! ……顔色も良くなったようで安心いたしましたわ!」
レーノの顔を見てホッとしたようにデスワーが言う。
「ご心配おかけして申し訳ありません……パーティーの準備に張り切りすぎて寝不足だったもので」
そう言いながらえへへと頭をかいて誤魔化すレーノ。
「……自らの体調管理もできないとは……」
眼鏡をクイと上げつつボソリと相変わらず不機嫌そうな顔で言う長老。
「長老!愛し子様に対してなにを……」
「事実ではありませんか、御身を大切にしていただかねばいつ神の逆鱗に触れるか分からないのですよ! 愛し子の皆様は皆こういう方々ばかりなのですから、キチンと言葉にしてご自覚いただかねばいけないのです!」
「う……すみません気を付けます……」
「分かってくださればよいのです、昨日の今日ではありますが、他に具合が悪いとかなにかおかしい感じがしたりなどはございませんか?」
ズイっと顔を近づけてレーノの顔を覗き込む長老にビクッとするレーノであったが
「は、はいぃぃ……なんともありません……」
と何とか答える。
「長老……やりすぎだぞまったく……。 すまないなレーノ君、長老の父親も愛し子であられてなぁ……繋がりがそこまで強くない為に力を使った後よく体調を崩すそうでな……君もそうなるのではと心配してるんだよ」
「えぇ!そうだったんですか……ご心配ありがとうございます」
「いえ……私もやりすぎました……申し訳ありません」
二人同時にペコリと頭を下げる。
「ところで二人そろってやってきたということは、結論は出たということで良いのかな?」
「はい陛下【一つ、王家に対しての弾劾はしない】【二つ、王子二人の処罰はデスワー嬢に一任する】【三つ、愛し子様に対しての本件に関する直接のやり取りは必ず国王陛下、もしくは長老を経由して行われること】……とりあえずはこの辺のみ決定いたしました、その他の件については後日ご報告いたします」
「そうか……ご苦労であった。長老は下がっていいぞ」
「……畏まりました。 レーノ君、もし体調などに不安を覚えたりしたらすぐ専門医にかかるんだよ?君さえよければうちの専属医を紹介するから遠慮なく相談しておくれ」
「ありがとうございます……」
困惑しながらお礼を言うレーノに満足そうに去っていく長老。
「あの……陛下……」
「どうしたんだい?レーノ君」
「すいません……長老様のお父上って……」
「あー先代の『御子様』だね」
「ですよね……なのに繋がりが強くないって……」
「うん、外で働いている愛し子様方に比べたら確かに強いんだけどね……神おろしまでいくと酷く消耗されるそうなんだよ、だから君もそうなるんじゃないかと心配されたってわけだ、実際ピンピンしてるから安心したみたいだねぇ……これはいよいよ今代の御子様誕生も近いかな?」
「いやいやいやいや! 勘弁してくださいっ!」
「陛下……」
家令から冷気が飛んでくる。
「ただの冗談だよ!」
「陛下ったらお人の悪い冗談はいけませんわ!」
デスワーも家令の味方をする。
「すまない……さて、そろそろ真面目な話に移ろうか」
「殿下方の処遇の件ですわね?」
「あぁ、デスワー嬢はアレらをどうするつもりだい?」
キラリと目を光らせながら国王陛下はデスワーを見つめるのであった。
長老の名前が思い浮かびませんでした……。
ツンデレにしようと思ったのにただのオカンになってしまったのです……なぜだ。




