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003サキュバスのペット

 サキュバスに飼われてから三年後――。


「今日はアタシがファムと約束してたっすよ!」


「違うわよ! ワタシがファムと約束してたの! ねえファム?」


 二人のサキュバスが一人の少年を取り合っていた。


 どちらも胸や尻は大きく、腰もほどよくくびれている美しいサキュバスだ。そしてその身体を惜しげもなく晒すように、娼婦が着るような性的興奮を助長させる露出度の高い服を着ている。ただ、金を払えば誰にでも身体を許すような安さを感じない。


 淫猥な美しさと、底知れぬ力が宿った肉体を持つ二人のサキュバスは、ヒーローサキュバスとアイドルサキュバスというサキュバスの上位的存在だ。


 ヒーローサキュバスはマントをたなびかせ、瞳だけを露出させた目の周りを覆うマスクをつけて、アイドルサキュバスはフリルがふんだんにあしらった可愛らしい格好をしている。


 共通していることは、どちらも胸や股間ぐらいしかまともに隠していないことだ。


 そのような二人のサキュバスが取り合うファムという少年は、元奴隷。三年前、サキュバスに飼われたあの奴隷だ。


 三年の月日が経った割には、あまり肉体的な成長はしていないが、心が壊れていたとは思えないほどに瞳には生気を宿していた。


「ちょ、ちょっと待ってよ二人とも! 今日はメイリダ様に呼ばれてるんだよ!」


「魔王様っすか……うー……それは我慢するしかないっすね」


 ヒーローサキュバスは渋々と引っ張っていたファムの腕から離れた。


「むうっ……魔王様相手じゃ、無理に引き止められないわね」


 続いてアイドルサキュバスも仕方ないと溜息を吐きながら腕から離れた。


 だが、すぐに二人は左右それぞれの腕に抱き着いて、彼の耳元に口を寄せる。


「それじゃあ……魔王様の用事が済んだ後はどうっすか?」


「ワタシが……ううん、いっそ三人でしましょうよ。二人っきりも良いけど、三人でするのもね……最高に盛り上がるでしょ? ね? いいでしょう?」


 熱い吐息とともに呟かれたねっとりとした言葉は、理性を蕩けさせる甘い蜜のようだ。異性であっても同性であっても、心に絡みつき、激しく揺さぶられるだろう。


 だが、ファムは二人の言葉に対して恥ずかしがったり、興奮したりせず、余裕の笑みを浮かべている。


「いいよ、たまには三人でしよっか」


 三年間サキュバスに飼われたファム。その見た目は三年前と変わらない幼さを感じるが、彼は色々と大きく成長していた。


 二人と別れるとファムは魔王メイリダのもとへと向かう。


 魔王。それは魔物の各種族の頂点に与えられる称号。魔王メイリダはサキュバスの頂点に立つ、クイーンサキュバスといわれる存在である。そしてここは彼女が管理する幾つかのダンジョンの一つ、強欲ダンジョン。その最深部にある屋敷だ。


 メイリダの執務室の扉をファムがノックすると、「入りなさい」と許可をされて入室する。


「失礼します、メイリダ様」


「いらっしゃいファム、よく来てくれたわ。さあ、こっちにいらっしゃい」


 メイリダは執務室にあるソファに座っていた。そして手を広げてこちらに来るように言うと、ファムは素直に従って彼女のもとへと近付く。


 そして彼女に背を預けるようにして、ファムの膝の上に座る。


「はぁ……やっぱり素晴らしい抱き心地……癒されるわー」


 後ろからファムを抱き締めて、彼の頭に顔を埋める。「すーはー」と深く息を吸う。


 彼の小柄の身体はちょうどいいサイズで、メイリダはよく彼をこうして抱き締めて愛でている。


 彼はすっかりペットとして、サキュバスたちに愛されていた。

読んでくださりありがとうございます。


もっと他の話も読みたい、面白かったなど思っていただけたら、☆で評価・ブックマーク・いいねをしていただけると嬉しいです。


よろしくお願いします。

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