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半分の半分の肉まん


 僕は残りの昼休みをより有意義にすごすために、部室に向かった。


 さて、歩きながら肉まんでも食べようかな。


 そんなふうに思っていた時、


「あ、先輩。こんにちは」


「こんにちは」


 後輩の由愛ゆめがやってきた。


「めっちゃおおきい肉まんの半分ですね」


「そう。クラスメイトからもらったんだ」


「へー、そんな感じのノリに先輩が巻き込まれるとは。ちなみにその肉まんをくれた人は女子ですか?」


「女子だね」


「え? あ、それほんとですか? おおー、先輩にも女子の友達がいたんですね。あ、というか付き合ってます?」


「いやいや。その女の子は、残りの肉まんを持って彼氏とどっかいったよ」


「ええ……そうなんですか? てことはそれ、あまりに肉まんがおおきすぎて押しつけられたって可能性もありそうなのですが」


「ありそうだね」


「どんまいな先輩です」


「……半分、いる?」


「え、いいんですか?」


「うん、半分でも大きいもん。半分の半分くらいがいい」


「たしかに。でも半分の半分だと流石にちょっと小さいかもですね」


「そうかもな。まあでも部室に向かいながら食べるのにはちょうどいい」


「はい」


 僕は由愛ゆめと、肉まんを食べながら廊下を歩いた。


 そして、部室棟に渡れる渡り廊下を通り、部室に到着。


 僕たちの部活は新聞部のようなもんである。


 新聞の発行頻度が反比例のグラフみたいになってるから、「ようなもん」とつけといた。


「そうだ。この超特大肉まんについても新聞に書こうかな。これ確か新発売ですよね?」


 僕の向かいに座った由愛ゆめは、そう言った。


「そうそう。学校の前のコンビニで売ってる」


「ならちょうどいいですね。書く内容は……『とてもおいしかったです。多分普通の肉まん三個分くらいの量です……』」


「うんうん、たしかにおいしかったし、三個分くらいだな」


「書くことなくなりました」


「まじかよ」


「これはコラムレベルです。やはり記事にするにはもっと大きなイベントが必要ですね」


「そうかあ」


「というわけで先輩。取材にいきましょう。明日くらいに」


「行くか」


「はい」


 由愛ゆめは少し嬉しそうに僕の隣まで椅子と一緒にやってきて、そしてスマホの画面を見せる。


「これが取材先候補です。先輩はどこに行きたいですか?」


「うーん。まあ、由愛ゆめが行きたいところで大丈夫だよ」


「そうですか。ありがとうございます。じゃあお礼というわけではないですが、取材に行った時は、肉まんを半分こしましょう。ちゃんとした、お互いの望む半分こです」


「いいね。ありがとう」


 由愛ゆめと半分こするなら、少し大きすぎたとしても、超特大肉まんがいいな、と思った。


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