「ディナーは日高屋、服はメルカリ中古、家賃は月7万以下」は、「絶望」なのか?
コンビニで見かけた雑誌に、「プア中流の絶望! ディナーは日高屋、服はメルカリ中古、家賃は月7万以下」とかいう見出しが載っていた。
中身は見れていないので想像だが、「プア中流」なる方々がコロナ禍の影響で収入が激減し、「衣食住の質の低下」に絶望するという記事なんだろうけど、
「おいおい、それ全然プアでも絶望でもないだろ!?」
と思ったのは自分だけだろうか?
まず「日高屋」のどこが絶望なのか。安さか?
だったら「日高屋の中華そば390円」より「吉野家の牛丼並352円」の方が安いし、関東圏なら「山田うどんのハーフうどん200円」なんてのもある。
言うほど安くはないのだ。
そもそも、「外食」に行っている時点でちっとも絶望でも何でもない。
自炊した方が全然安く済むからだ。
業務スーパーに行ってみれば、そばやうどんが「19円」で売っている。
クックパッドで調べれば手軽で美味しいレシピが大量に載っているし、日本は安くて美味しい食事の仕方が無数にある。
それに外食は自炊より割高とは言え、日本の飲食チェーンのコスパの高さは世界有数で「国の宝」だとすら思う。
あの味をあの値段で提供している企業努力は尊敬に値するし、「食」においてこれほどの高コスパを実現してる国はそうそうないんじゃないか?
それがどれだけ恵まれていることか、今一度見直すべきだ。
ちなみに美味しんぼ28巻で山岡士郎は言っている。
「美味すぎる料理は飽きる」と。
基本は自炊、たまに外食、その外食が日高屋であっても自分は全く絶望とは感じない。
ある時レストランでそれなりに高いステーキを頼んでみたらゴムみたいな肉が出てきた。
それだったら、日高屋の「唐揚げ定食」の方が遥かに美味い。
次に「メルカリの中古(古着)」だが、自分の彼女もしょっちゅうメルカリで服を買っているが一体何が絶望なのか全く理解不能。
メルカリには福袋の余り物や一度も着用しないままタンスで眠っていた服など、新品同様の未着用品が安価に大量に出回っている。
自分の彼女は中古を嫌がるどころか、むしろ「高いブランド服が格安で買える」と喜んでメルカリを利用している。
それにメルカリは売る時もリサイクルショップより段違いに割りがいい。
例えばキングファクトリーやオフハウスに大量に服を持ち込んでも、初めての人はあまりの査定額の低さに絶句するだろう。
自分はリサイクルショップは「処分に困った品を有料で引き取ってくれる所」だと思っている。
ちょっと脱線するが以前、実家の母が冷蔵庫や洗濯機を数万円出して粗大ゴミ処分するというので調べてみたら、トレジャーファクトリーは発売から10年以内の家電は買い取ってくれると知った。
そこで冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ3点の出張買取を頼んでみたところ、「1000円」で買い取ってくれたそうだ、ありがたい。
本来なら「マイナス数万円」だったのだ。
対してメルカリは需要のある品なら定価かそれ以上で売れることもある。
子供の頃に遊んでいた少年少女向けの玩具が「数万円」で取引されることもザラだ。
つまり「売却利益」をちゃんと計算できるし、「匿名配送」でやり取りすればプライバシーも完全に守られる。
リサイクルショップで買い取りする時はこちらの個人情報を店員にがっつり見られるのだ、あまりいい気はしない。
メルカリでの出品や発送も最初は苦戦するかもしれないが、慣れてくると梱包詰に楽しささえ覚えるし、落札者とのやり取りもシステム化されていてすごくわかりやすい。
自分の彼女はメルカリで自分の服を売り、その利益で欲しい服を買い、今ではすっかり「物々交換」状態でほとんど服にお金を使っていない。
それが「みすぼらしい」かと言えば全くそんなことはない、買うのは未着用品や元々1着数万円の服ばかりだからだ。
自分も時々不要品を売っては、その売り上げを「メルペイ」で、日用品の買い物等で使っている。
ちなみに、「金融リテラシーの高い人はメルカリを推奨している」傾向がある。
もしどうしても中古が嫌なら、ユニクロやGUがあるじゃないか。
運営会社の「ファーストリテイリング」はH&Mを抜いて売り上げ世界2位を伺う勢いで、アパレル業界人が「あの値段であの品質を提供されたら太刀打ちできない」とため息を漏らすことをご存知だろうか。
他にも「しまむら」「西松屋」など、コスパ抜群のアパレル企業が乱立している日本は、「衣」に関しても大変恵まれていると思う。
最後に「月7万円以下の家賃」だが、月7万のどこがプアなのか本当に謎だ。
自分はURに住んでいるが、試しにURで月7万以下の物件を調べてみたら1LDKどころか地方の物件なら2LDK、3LDKもゴロゴロある。
割高と言われるURでそれくらいあるのだから、普通の賃貸ならもっとあるだろう。
と思って家賃7万円以下で検索したら、ワンルームなら東京23区内にもいくらでもあるし、関東圏でも3LDKや戸建ての賃貸もわんさかある。
「どうせ築数十年だろ」と思われるかもしれないが、築年数は古くても「リフォーム」されていて、最新の給湯設備にモニター付きインターフォン、浴室乾燥機や高速インターネットまで完備されていたら全然アリではないだろうか。
「家賃7万以下しか選択肢がない!」ではなく、「7万も出せるなら全然いい所に住めるのでは?」と自分は思ってしまう。
ちょっと脱線するが「フルーツバスケット」という作品で、主人公の「本田透」という女の子が最初は「テント暮らし」をしていた。
家賃月7万どころではない、テントだ。
しかし透は絶望に思うどころか、笑顔を絶やさずに生きていた。
透がお母さんとアパートで暮らしていた頃も決して裕福な感じではなさそうだったが、二人はとても幸せそうだった。
あんな良い子が現実に存在するかはさておき、「絶望」かどうかを決めるのは住宅の立派さどうこうよりも、住んでる人の心次第なのかなと思ったりする。
以上のように、自分は「日高屋、メルカリ、家賃月7万以下」に全く絶望を感じない。
あの記事の筆者はきっと、「日高屋、メルカリ、家賃月7万以下」を「質の低い生活の象徴」としたかったのだろうが、実際に足を運んでみたり、アプリを使ってみればそれらはてんで的外れなことがわかる。
調べが足りないのではないだろうか?
「会社に勤めて、車を買って、家を買って...」という「テンプレ」が当たり前だった時代はとうに過ぎ去った。
無駄な出費を減らし、その分自分が価値を感じるものにはしっかりとお金を使う、そういう時代だ。
たまに、「今の若者が車も家も買わなくなったから経済が回らなくなった」などと言う大人がいるが、ITが普及し規制が緩和され、より経済的なものをチョイスできるようにしたのはその大人たちだ。
サブスクでHD動画見放題の環境がある人が、今更TSUTAYAにいちいちDVDをレンタルしに行くだろうか?
価値観やニーズは時代によって変化していくものだし、古い価値観に固執し凋落する会社がある反面、しっかりとニーズを掴み毎年最高益を叩き出す会社も多数存在している。
それに、下手な商売をすればすぐ口コミに書かれたり悪評が広まる昨今、必然的に「安かろう、悪かろう」は淘汰されていき、生き残りをかけて売り手側は努力してきた。
結果、今まで見てきたように調べればいくらでも「高コスパの衣食住」が見つかる。
そしてその「高コスパ」は、そこで働く沢山の人達の絶え間ぬ尽力や犠牲の上に成り立っている。
それを「絶望」などと称するなんて、侮辱も甚だしいと思うのは自分だけだろうか?
もし実際に記事を読んで、「ちょっと意味違ってますよ」というご意見があれば是非教えてください。
なんだかこんなこと書いてたら日高屋の「唐揚げ定食」が食べたくなってきたけれど、外出はちょっと控えておこうと思った年の瀬でした。