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第37.5‐1話 サブイベント回収03

 【ヌアビス霊園に眠る財宝】※条件、財宝についての話を聞く。

 リーヴェ達は町の人々から聞いた情報をもとに、ヌアビス霊園にやって来ていた。ここからでもオアシスを眺めることができ、向こう岸には都の灯りが見えて綺麗だ。

 墓場と言っても割と整理されていて、夜中にアンデットが出なければ非常に美しい場所である。墓標さえなければ、庭園と言ってもおかしくない。


リジェネ「ど、どうして来たんですかっ」

セレーネ「いいじゃない。おっ宝、おっ宝♪」

リーヴェ「リジェネ、大丈夫だ。私がついてる」

リジェネ「は、はい……」


 リーヴェの傍にピッタリとくっついて歩くリジェネ。一行は慎重に霊園内を探索した。

 その間、アンデットの襲撃に何度か遭遇したが、来る前に教会で購入しておいた聖水とリーヴェの魔法、セレーネのスキルで効率よく対処していく。

 聖水は割と高価な物なので、ある程度温存していかないといけない。基本的にはスキルをメインに戦闘する。呪いを防ぐアクセサリーは、少なくとも地上界にはない。


ラソン「財宝なんでどこにあるんだよ」

クローデリア「全然見つかりませんね~」

セレーネ「まさか、ガセなんてことないよね?」


 だいたいの場所は調べ終わったが、噂になるほどの物は見つからなかった。


リーヴェ「諦めるのはまだ早い。もう少し粘ってみよう」



 探索を続けるリーヴェ達は、敷地の中央にそびえる記念碑っぽいものの傍までくる。本当に記念碑かどうかはちょっとわからない。

 けれど、後調べていない場所はこの辺りだけだ。財宝があるなら、ここに手掛かりがあるはず。全員で周囲に注意を払う。


クライス『キキッ』

ラソン「クライス? これはっ」


 ラソンが皆を呼ぶ。ラソンが記念碑の下から風がすると言うので、ぐるりと見回ってみると動かせるようだった。記念碑を押してみると下へ続く階段が現れる。


ラソン「お手柄だクライス」

クライス『キキィー』

セレーネ「さっすが、風使いなだけあるよね」

ラソン「ソレ、褒めてんのか」

リーヴェ「皆、先へ進むぞ」


 リーヴェ達は警戒を緩めずに階段を下りていく。階段は踏むと軋んだ音を上げる。

 階段を下りた先は天然の通路になっていた。階段は自然にできたものではなさそうだが、通路のほうはとても整備されていたようには見えない。


リーヴェ「まるで、もとからあった空間に階段を増設したみたいだな」

リジェネ「階段自体もかなり古いです。何十年……いや、もっと前の物そうです」

セレーネ「道理でこんなにボロボロで、ホント抜けるんじゃないかって不安だったわ」

リジェネ「大丈夫、その時は僕と姉さんで助けますから。ね?」

リーヴェ「ああ」


 忘れているかもしれないが、リーヴェとリジェネは空を飛べる。今はカナフシルトもいないし、長時間は無理だが地上に降りるくらいはなんとかできるだろう。

 クライスの力を借りれるラソンは、そこまで不安そうではなかった。クローデリアは「わたくしは水なので~」とか意味不明の事を言っている。


 持っている灯りを頼りに不安定な通路を進んでいくリーヴェ達。ここには魔物らしい影は現れなかった。風の音以外は殆ど聞こえない。


リジェネ「どこまで続いてるんでしょう」

セレーネ「出口がない、なんてことないよね?」

クローデリア「ここから戻るのは大変そうですよね~」

ラソン「なあ、なんか後ろのほうから変な音が聞こえないか?」

4人「えっ」


 全員が一斉に後ろを確認する。暗がりに灯りを向けて目を凝らすと……何かが近づいてきているような。て、あれはまさか――。


リジェネ「あ、アンデット!?」

ラソン「バカッ、声がでかいっ」

コール「うおぉぉぉー!!」

セレーネ「き、来たぁ」

リーヴェ「皆、走れ!」


 声を発すると同時に、走り出すリーヴェ達。どうやら開けっ放しの階段から降りて来たようだ。リーヴェ達を見つけたコールファンテ達が追ってくる。

 狭い通路を走りながら進んでいると、途中から地面が崩れだした。崩れた場所は穴になっていて岩が針山みたく尖っていた。後戻りはできない。いわゆる、強制横スクロールというヤツだ。

 足場がどんどん崩れていく。


クローデリア「皆さ~ん、待ってぇ」

リーヴェ「クローデリア頑張れ」


 しばらく歩いていくと地面が崩れるエリアが終わる。

 リーヴェ達はいったん立ち止まって息を整えた。後方を顧みる。さすがにもう追ってこないのでは? そう思ったが甘かった。


ラソン「あ、アイツら仲間を踏み台にっ」

セレーネ「嘘でしょ!?」


 コールファンテ達は穴に落ちた同族を足場にして渡っている。魔物が消滅するまでのタイムラグを計算に入れているかのような動きだった。同族が消滅する前に次の個体に乗り移ってこちらを目指している。アンデットに恐怖というものはない。


 リーヴェ達は再び走り出した。横スクロールはまだ続いている。

 足場が崩れるエリアを抜けた先は、落石が起きる場所だった。僅かな振動で脆い天井がつぶてを落としてくる。当たると結構痛いが、折ってくるアンデット達を足止めすらしてくれなかった。

 だが、リーヴェ達は当たるとどうしても走る速度が緩んでしまう。


リジェネ「どこまで逃げればいいんですかっ」

セレーネ「最近こんなのばっかー!!」

クライス『キキッ』


 クライスが風の流れを読んで声を上げた。ラソンが的確にクライスの意思を読み取る。


ラソン「ホントか! 皆、出口が近いぞ!」

クローデリア「はぁ、はぁ、本当ですかぁ~」

リジェネ「皆さんあれ、向こうに微かな光がっ」

セレーネ「やったぁ、出口ぃ」


 しかし、背後から以前とコールファンテ達の足音やうめき声が聞こえていた。このままでは追い付かれるかもしれない。

 リーヴェは周囲の様子に目を向けた。狭い通路、横道の類も見当たらない。


リーヴェ「クローデリア、氷の壁を作れるか」

クローデリア「え~はい、やってみますわっ」


 クローデリアが走りながら詠唱を行う。

 前方に外が見える出口が見えた。手前が緩やかな坂になっている。セレーネ、リーヴェ、リジェネ、ラソンの順に外へ出る。後はクローデリアだけだ。

 詠唱が終わり、足を止め背後に杖を向けた。厚い氷の壁が狭い通路に栓をする。これでしばらくは足止めできるだろう。


リーヴェ「クローデリア、早く」

クローデリア「はい」


 彼女も脱出した。だが、このままでは氷が解けてアンデットの大群が押し寄せてしまう。なにかないかと、周囲に目を向け大きな岩を発見した。アレを砕いて通路を塞げば……しかし、問題はどうやって運ぶか。


リジェネ「姉さん、カナフを呼びます!」

リーヴェ「そうか、頼む」

リジェネ「はいっ」


 リジェネが笛を吹いた。ほどなくして、カナフシルトがこちらを見つけて駆けつける。

 カナフシルトに大岩を持ち上げさせて通路の出入り口をふさいだ。

 本当にこれで大丈夫かが心配でリーヴェが大岩に触れる。するとリーヴェが触れた所から優しくて暖かい光が広がり、大岩が透明な美しい水晶へ変化した。

 この岩には光のマナを豊富に含まれていて、リーヴェの力に反応しマナ結晶に変化したのだ。岩だったものが綺麗な光を発している。光のマナ結晶ならば、アンデットは近づけないだろう。

 リーヴェ達は、そろって安堵の息を漏らした。


リーヴェ「ところで、ここはどの辺りなんだろう」

ラソン「ちょっと待ってな。クライスっ」

クライス『キキッ』


 リーヴェ達が今いるのはリーオ遺跡付近の岩山だった。随分遠くまで来たものだ。


セレーネ「ねぇ、財宝はどこにあるのよ」

リジェネ「アレじゃないでしょうか。なんか光ってますよ」

セレーネ「えっ、お宝~!!」


 セレーネが元気よく光の発生源に走り寄って行った。けれど近くまでいった途端、急にしゅんとしょげ返る。

 財宝の正体は七色に輝く透明な液体「霊油」だった。

 霊油とは地球で言う石油に似た資源で、様々な物のエネルギーとして使えるものだ。リーヴェ達は名所「霊油の源泉」を見つけた。


 まったく、噂というのはなかなか当てにならないものである。全然霊園の近くではないじゃないか、とツッコミざるを得ないリーヴェ達で会った。



         ☆    ☆    ☆    ☆    ☆



 【王子達の休息】※条件、セレーネ加入後~。

 再び王都パラムエールを訪れたリーヴェ達は、イセス王子と近くの森まで足を運んでいた。


イセス「皆さーん、早く早く!」

ラソン「おーい、待てって」


 上機嫌で森を走り回るイセス。普段はしっかりしている彼も、今日はなんだかはしゃいでいる。イセスのすぐ傍には、同じようにはしゃいでいるクルイスの姿もあった。

 イセスはともかく、クルイスは小さいので見失わないようにクライスが見張っている。


 イセスは肩から荷物の入ったカバンを下げていて、いつも来ているものよりは幾分か動きやすい格好をしていた。腰には小振りだが、護身用の剣を佩いている。

 リーヴェ達がいるので、護衛の兵も2、3人程度だ。あまり大勢で歩き回ると、周囲の魔物や動物を刺激してしまうかもしれない。それに、ここら辺の魔物は平原の奴らよりも弱い。


兵士A「殿下方、十分お気を付けください」

イセス「わかっています」

ラソン「たく、調子がいいな」

リジェネ「まぁまぁ、久しぶりにお兄さんとゆっくり過ごせて嬉しいんですよ」


 確かに、以前会った時は大して時間を作ってやれなかった。

 ラソンもそれがわかっているよので、注意はしてもイセスの好きなようにさせている。イセスは木々の間を進みながら、見つけたキノコや木の実を見ていろいろ解説してくれた。

 ラソンもそうだったが、この兄弟は食べられるの植物に詳しい。



 しばらく歩いていくと、天高くから水が流れ落ちている大きな滝に到着する。ムートリーフ王国の名所のひとつ「ジュラの滝」だ。滝の頂上が雲で隠れていて見えない。

 リーヴェ達は「ジュラの滝」を名所図鑑に記録する。

 言っていなかったが、王都のヴァンバオール宮殿も名所図鑑に記録してあった。


イセス「わぁ、壮観ですね」

兵士B「イセス殿下、この辺りは滑りやすいのでお気を付けください」

イセス「はい」


 一行はしばし、この滝の近くで休息をとることにする。

 兵士達が手際よく昼食の準備を進める中、ラソンとイセスは滝近辺を散策した。セレーネは兵士達を手伝い、リーヴェとリジェネは各々自由に時を過ごす。


ラソン「クライスー」

クライス『キキッ』

クルイス『キチュチュッン』


 ラソンに呼ばれて現れたクライスの背中にクルイスが乗っている。クルイスはいつもと違う景色にご機嫌だ。


イセス「クルイス、楽しそうですね。ぼくも兄様と一緒で嬉しいです!」

ラソン「そうか? クライス、クルイスと遊んでやれよ」

クライス『キキィー』

イセス「あんまり遠くへ行ってはダメですよ~」


 クライスは、背中の上で小さく跳ねるクルイスを連れて森の中へ飛んで行った。

 ラソンとイセスは引き続き散策を続ける。なんとなく滝の裏側を覗いてみた時だ。


イセス「兄様、これを見て下さい」

ラソン「ん? これは……魔法陣、か?」


 見たことのない魔法陣だ。この地上界に魔法を使える人なんて聞いた事がない。

 では、これは誰が作った物だろうか。古代の遺物、という感じもしない。魔法陣の周囲には目立ったものはなく、ただ岩肌の大穴が開いているだけだ。


 穴の奥がどこかに繋がっている訳でもなく、すぐそこは行き止まりである。遺跡などがあったという感じもなかった。

 魔法の事はラソンもイセスもよく知らないので、リーヴェとリジェネを呼んでくる。滝の裏に来たリーヴェ達は魔法陣を調べてみた。


リジェネ「どうですか、姉さん」

リーヴェ「うーん、私の使うモノとも違うから確証はないが……どうやらこの魔法陣は比較的最近に設置されたもののようだ」

ラソン「そうなのか?」

リーヴェ「ああ、多分な」


 結局、それ以上の事は分からず仕舞いだった。



 一方その頃、森の中のクライスとクルイスは――。


クルイス『キチュンッ(おうおう)!』

魔物「グルッ?」

クライス『キキッ(クルイスッ)』


 クルイスは自分よりも大きな、それでいて妙に厳つい獣型の魔物に喧嘩を売っていた。喧嘩を売られた魔物のほうは妙なチビ介がいるな、といった体で不思議がっている。特に襲ってくる様子はない。


 しかし危険なことに変わりはないので、クライスが素早く雛鳥を咥えて急速離脱した。離脱している最中も、しきりに挑発し続けているクルイス。

 クルイスは強そうな奴を見掛けるとすぐに突っかかっていく癖があった。喧嘩っ早いにもほどがある。


 それにしてもさっきの魔物、この辺りで見かける同種の中でも特に強そうだった。クライスは困った弟分に胸がヒヤッする。

 安全地帯まで飛んで来たクライスが、クルイスをそっと地面に下ろす。クルイスは邪魔をされてちょっと不満そうだった。クライスは気にせず、注意を促す。


クライス『キキッキィ、キィーキキッ(オマエ、どうやってさっきの奴を見つけたんだ)?』


 クライスはちょっと気になったことをクルイスに聞いてみた。聞かれたクルイスは自慢げに胸を反らす。


クルイス『キチュ、キキチュキチュチュンッ(ヘン、スキルを使ったに決まってるだろっ)』

クライス『キキィ(スキルか)』

クルイス『キキン、キチュンキチュチュ~ン(そうだ、教え合いっこしよ~よ)』


 ふたりは互いに技の教え合いっこをして時間を共に過ごした。

 ラソン……正確にはクライスだが、スキル「ヴィンド・ソナー」を習得。

 これは一定時間、高個体の魔物を出現させやすくする技だ。高個体とは、倒すと少し多めに経験値を得られる存在である。その分、ちょっとだけ強いのだが。


ラソン「クライス~、そろそろ帰るぞ~」

イセス「クルイスも帰っておいで!」


 遠くで自分達を呼ぶ2人の声が聞こえてきた。2羽が元気よく返事をする。

 クライスとクルイスは仲良く、大好きな相棒のもとへ戻っていくのであった。



         ☆    ☆    ☆    ☆    ☆

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