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第138.5‐2話 未回収サブイベント03

 【モアとの遭遇】※条件、モアとベルルを達成済み&ダーマ・ヤッカ族の里到達後~神樹編最後まで。

 ダーマ・ヤッカ族の里でのひと時を過ごす一行。ふとタール湖のほうまで足を運ぶ。タール湖はダーマ・ヤッカ族のすぐ北にある。天気もいいし、ゆっくり水面を眺めたり読書をして時間を過ごす。

 これで明るかったら申し分ないが、明かりで照らされた水面も非常に幻想的できれいだ。近くではセレーネが軽食や菓子を作っている。美味しそうな香りが鼻をくすぐった。


カナフ「ピィ~」

リジェネ「ははっ、カナフ気持ちいですか?」

カナフ「ピィ」


 広々とした場所を選び、リジェネがカナフシルトの身体を手入れしている。白龍は気持ちよさそうに寛いでいた。

 その傍らではクライスとエルピスが、クロ―デリアの奏でる曲に耳を傾けている。ラソンは昼寝だ。


 ――ズボーンッ!!

 唐突に湖の水面が揺らいで盛り上がった。昼寝をしていたラソンが飛び起き、他の面々も各々を止めた。水の中から何か大きなモノが出てくる。


???『こんにちわ、だも~ん』

全員「しゃべった!?」


 しかも変な語尾だ。一行は口を揃えて叫ぶ。

 現れたのは全身に苔のような毛が生えた生物だった。まん丸と太った身体には髭があり、紺色の胴体に緑のヒレを持つ。人が5・6人は乗れそうな大きさだ。

 突如現れた謎の生物は、テレパシーで語りかけてきた。


???『初めま~して。ボクちんはモアだも~ん』

ラソン「お、おう。オレはラソンだ」

ラソン(なんか、スゲーのが来たな)


 口調から大分キャラが濃い気がする。

 ラソンに続き、他のメンバーも順に自己紹介をしていく。


クローデリア「あの、モアさんはどうして現れたのです?」

セレーネ「それになんでこんな所にいるのよ」

モア『んん? 君達はボクちんの事知ってるも~ん? まぁいいけど、美味しい匂いがしたも~ん』

リーヴェ「ああ、食べ物の香りに誘われたのか」


 同時に別の質問をされたのに、特に気にした風もなく答える。というか性格的に大分大雑把な気さえした。こちらが知っている事に、疑問は抱きつつも聞いてくる気配がない。

 詳しい話を聞くために自分達から事情を説明した。それを聞いたモアが「もも~ん」と鳴き声を上げる。


モア『それボクちんも~ん! 凄い、伝説になってるも~ん』

リジェネ「ちょっと待って下さい。ズレてますよ」

モア『もも~ん?』

セレーネ「わかってないみたいね」

リーヴェ「ははは……」


 能天気というか、気楽というか。おとぎ話の感じからは酷い目に合ったと伺えるのに、全然それを感じさせない性格をしているようだ。ある意味でよかったのかもしれないな。

 とにかく、リーヴェ達は彼から森を離れた後の話を聞いてみる。


 モアの話では、密猟者に捕まったのは事実。

 その後町まで連れて行かれた彼は見世物小屋の店主に引き渡される。しばらくは見世物小屋での生活が続き、ある日の事。1人の客が高額でモアを購入したという。

 購入した客はアズガルブ帝国に住む貴族。必然的に貴族の屋敷で暮らす事になる。屋敷には幼い子供がいて仲良くなったらしい。


 けれど、数年後に問題が起こる。

 モアが成長するにつれて貴族一家の態度が変わって行ったのだ。彼らが与える餌は、モアにとって栄養価が高過ぎてみるみる肥満体形に……。

 結果、最初こそ親切に育ててくれた貴族も最後には放置。困り果てた末に、彼らはモアを近くの川に放流してしまったのである。


セレーネ「ええー!! じゃあ、散々振り回された挙句に知らない場所へ逃がされちゃったのっ」

リーヴェ「なんて無責任な……」


 飼えなくなったらなったで、もっと他に方法はなかったのだろうか。

 逃がすにしても、本来の生息地以外で手放すなんて酷い。一行は素直にそう感じた。密漁するほうも問題だが飼い主も大概である。

 怒りさえ覚える一行だったが、当時者であるモアは全然気にしていない様子だった。いや、これはわかっていないだけなのかも。


モア『も~ん? ボクちん可哀そうなの?』

クローデリア「あらあら、これはかなりの天然さんね~」

セレーネ「うぅ……頭痛くなってきた」

ラソン「オレも……」


 クローデリアとモアの会話を聞いて頭を抱える2人。


モア『あ、で~も』

リーヴェ「どうかした?」

モア『君達、ボクちんのお願い聞いてくれるも~ん?』

リーヴェ「困っている事があるんだな。別に構わないぞ」

モア『やった~! じゃあ、ボクちんを故郷の森に連れて行って欲しいんだも~ん』


 想像通りのお願い内容だった。

 まぁ、帰りたいよね。普通に考えて。リーヴェは快く承諾する。


モア『ありがとう。なら、準備ができたら声をかけても~ん』


 準備が必要かもしれない、と配慮してくれたのだろう。準備ができたら、またタール湖を訪れて彼に話しかけてみよう。

 言い忘れたが、成長したモアは「ゴルゴアウオカヅラ」という種類の生物になっているぞ。



         ☆    ☆    ☆    ☆    ☆



 【モアの帰還】※条件、モアとの遭遇を達成&ダーマ・ヤッカ族の里到達後~神樹編最後まで。

 タール湖にてモアと出会った一行。彼の「故郷に帰りたい」という願いを聞き入れ、さっそく準備に取り掛かる。地図と取り出してルートを確認。


ラソン「デカいからなぁ。ちゃんと道順を考えておかねーと」

リジェネ「それ以前に水場じゃないと進めないんじゃ」

リーヴェ「ああ。ならば川を通るのが早いか」


 意見を出し合って道を模索する。


セレーネ「い、嫌よ! あの激流の中を進むなんてっ」

クローデリア「セレーネさん落ち着いて下さい」

セレーネ「これが落ち着ける訳ないでしょ。船だって嫌なのに」


 話の流れからして一緒に行くんでしょ、と反論してきた。こんな不安定な生物に乗るのは嫌だと言いたげだ。

 でも、確かに激流を進めるのかは疑問だ。モアに確認してみないとダメだな。モアに聞いてみると、愛からず「も~ん?」と返答。確認じゃだめだ、試してみないと。


 流れのある川まで行き様子を見てみる。すると、大きな体の割にスイスイと泳ぐ。意外と流れは平気そうだ。少し激しい所でも試せば、速度は落ちるが進めない訳ではないようだ。

 モアの了承を得て背中にも乗せて貰う。うん、ちゃんと進めてるぞ。


モア『こんな感じも~ん?』

リーヴェ「ああ。モアこそ、辛かったり重くかったりしないいか」

モア『全然平気、まだまだイケるも~ん』

リーヴェ「そうか。タフだな」

モア『もも~ん!』


 十分な検証も済ませた所で、いよいよ帰還作戦が決行される。思いつく限りの道具を調達してモアの上へ――。

 あ、セレーネはリジェネと一緒に空から行く。上空からも監視して貰えれば助かる。


リーヴェ「出発だ、モア」

モア『行くんだも~ん!』

ラソン「うおっ」

クローデリア「ひゃっ」


 勢いよく動き出したモア。一瞬だけ激しく揺れた事に全員が身構える。危うく振り落とされるかと思った。すぐに安定した航行になったので安心する。

 タール湖から出て川を下り、最初の難所である川同士の合流点まで行く。ここは流れが複雑で激しい。細かい方向は上から指示して貰いながら慎重に進む。移動速度は本当に遅いが、激しい流れに負けない力強さを見せてくれた。


リーヴェ「いいぞ、その調子だ」

モア『も~んっ』

リジェネ「皆さん前!」


 じきに難所を越えようという時に上空から警告が飛ぶ。

 声に従って視線を向けると、前方に見覚えのある大岩が――。以前船で通った時にもあった障害物だ。


ラソン「来たな。行くぞクライス」

クライス『キキィー!』


 ふたりで意識を合わせ、岩の前に風のクッションを生成する。これはスキルではない。だからか、違った意味で気を使う。

 モアがクッションに乗り、大きく跳躍。岩を飛び越えた。着水時に凄まじい量の水飛沫が上がる。乗っている存在が生物という事もあり、船の時はまた違った方法で難を逃れていく。


 アズガルブ帝国との国境である山を越え、公国内に入った一行。

 ここまでくれば大分楽な道中だ。分岐点を北アズラシア山道方面に進み、山道の傍を通ってベベルの密林がある所までやってくる。北側にはスニの塔が遠目に見えた。

 さて、問題はここからである。その理由は――。


ラソン「おい、密林に入る川がないぞ」

リーヴェ「どこかに中へ通じる水路はないか」


 リーヴェはリジェネに頼んで上から確認して貰う。

 しかし、一回りしてもそれらしいモノは見つけられなかった。水辺がなければモアは進めない。想定外の事態に頭を悩ませる。1本くらい川が流れていると思っていただけに困り果てた。

 そう思ったのも、テールル村での話を聞いていたからだ。ベベルの密林には「モアの泉」と呼ばれる場所がある。だから、てっきり泉に通じる川があると勘違いしていた。


クローデリア「でしたら地下ですわ。地上には見えずとも下を通る水路があるかもしれません」

リーヴェ「確かにその通りだがどうやって探すんだ?」

クローデリア「お忘れですか? わたくしは水精人種ですわよ」

ラソン「そうか。クローデリアなら息継ぎなしでも水中で活動できるな」

リーヴェ「よし。クローデリア頼む」

クローデリア「は~い」


 クローデリアが元気よく川に飛び込む。人魚形態になった彼女は水中をくまなく探し、近くに密林側に流れる水路を発見した。近づいて水路の広さを確認。十分に通れそうな程に大きな広さがあった。

 奥を進み、泉まで出られるとわかった所で引き返して状況を伝える。広さを考えても水路でUターンは期待できないからだ。


 戻って来た彼女の報告を聞いて、地下の水路から泉を目指す事にした。上に乗っていたリーヴェ達が地上に降り、別ルートでそれぞれ泉を目指す。

 モアはクロ―デリアが先導する。モアの前を泳ぎ、地下水路へ導いていく。

 所々に分かれ道があったが迷わず進む。暗い水路を照らすのは、リーヴェの魔法を込めたマナ結晶だ。それを持ちやすいように柄のついた容器に入れて携帯している。


クローデリア「これは、ちょっと狭かったみたいね~」

モア『も~ん……』


 想定よりも狭かった場所に行き当たった。奥はまた広くなっているから、通り抜けさえすれば問題ないが……。

 落ち込むモアを励ましてクロ―デリアは楽杖器を構えた。


クローデリア「ちょっと離れていて下さいね。え~いっ」


 ズボンッとマナの塊をぶつけて道幅を広げる。全体が崩れる可能性を考慮して加減には注意だ。魔法はできるだけ使わずに対処した。

 崩した部分の土を適度に広げて通れるスペースを確保。


クローデリア「よし、もう大丈夫ですよ~」

モア『も~ん』


 再び進行を始めた。この調子でその後も進んで何とか泉まで到達。

 水面に顔を出せば、既に皆が到着していてこちらに合図を送っている。


リーヴェ「お疲れ、クローデリア」

セレーネ「お疲れ様」


 皆が彼女を労う。それを嬉しそうに受け取り陸に上がった。


モア『ああ、懐かしいも~ん。ありがとうだも~ん!』

クローデリア「それはよかったですぅ」

モア『よかったら今後も遊びに来てくれだもんっ』


 喜ぶモアと別れ、一行は旅を再開するのであった。



         ☆    ☆    ☆    ☆    ☆

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