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第69話 初の暗黒人戦

リーヴェ「ラソン!!」

クライス『キィ……』

セレーネ「わっ、クライス大丈夫」

リジェネ「セレーネさん、ナイスキャッチです」


 歌劇場内突入と同時に、クライスが敵の攻撃を食らって飛んで来た。反射神経のいいセレーネが慌てて受け止める。

 ぐったりと項垂れるクライスを敵から見えない位置に隠し、舞台上に立つ2人の人影と対峙する一行。地上人や天空人に似てはいるが何かが違う。

 慎重に前へ進みながらラソンの姿を探す。彼は舞台端で数人の人々と一緒にいた。明らかに様子がおかしいラソン達を見て確信を強める。彼らが連続失踪事件の犯人だったのか。


???「はぁ、最悪。招待してもいないのに客がゾロゾロと……」

???「おやおや、精霊人を仲間にしたのかい? 実に厄介な事だね」

リーヴェ「貴方達が連続失踪事件の犯人なのか?」


 一応、確認してみるリーヴェ。間違っていたら困るので、少しだけ丁寧な口調で話しかけた。

 リーヴェの言葉に、男のほうが「正確には彼女だけどね」と大仰に両腕を広げて会釈する。


???「初めまして勇敢なる諸君。ボクはホレスト領を治める、ライエル・ビル・ホレスト」


 そして彼女は、と続ける彼を軽く叱咤し、心底面倒くさそうに言い放つ女性。


???「敵へ丁寧に挨拶する気はないけど、名前だけは教えてあげる。サリナよ」

ホレスト郷「相変わらずだね、ホッヴォ郷」

ホッヴォ郷「煩い! 余計な情報を漏らすくらいなら手伝って」

ホレスト郷「はいはい、じゃあ……覚悟はいいかな?」



 ホッヴォ郷とホレスト郷が武器を構え襲い掛かる。ラソン抜きでの戦闘開始だ。

 戦闘開始直後、ホッヴォ郷はメガネを外してケースに仕舞い、ホレスト郷は種族特性「浮遊」を発動しする。ホレスト郷の俊敏力がブーストされ、移動速度が上がった。回避率は変化なし。

 ホッヴォ郷のほうは、見た目にはあまり変化がないように見える。だが、それは違う。


 彼女の種族特性は「洞察眼(サーチアイ)」といい、視認した対象に有効な状態異常やデバフを見る事が可能だ。つまり、視力は悪くない。眼鏡で能力を抑制していただけである。

 リジェネも笛でカナフシルトを呼び騎乗した。天井が大きく開いていて広さも十分だ。


リジェネ「あの人、翼もないのに浮きましたよ」

リーヴェ「どういうことだ?」


 気配からして精霊人ではない。ならば、彼らは。


クロ―デリア「落ち着いて~、あの人達は多分暗黒人ですぅ」

セレーネ「あれが!? 聞いてた話と違うけど」

ホレスト郷「んふふ、動揺してる動揺してる♪」

ホッヴォ郷「まったく、偏見も良い所だわ」


 リーヴェ達が動揺している隙に、ホッヴォ郷が歌を歌い始めた。


リジェネ「うっ、力が抜けていきます……」

リーヴェ「痛みはないが、この範囲の広さは厄介だな」


 一番前にいたリジェネが膝を折り、他のメンバーも脱力感を覚える。

 彼女のクラスは歌姫(ディーヴァ)。味方を鼓舞する事が得意なクロ―デリアとは違い、相手の力を奪う事に特化したクラスだ。また、状態異常にかかった敵に強力なダメージを与える事にも優れている。

 彼女の攻撃は通常も含めすべて遠距離、で且つ小~中の範囲攻撃だ。

 リーヴェ達全員の俊敏力がダウン。


ホレスト郷「隙ありだよ!」

セレーネ「きゃあっ」

ホレスト郷「はっはっはっ、踊れ踊れぇ」


 動きの鈍ったセレーネ目掛けて、ホレスト郷が闇の球体を連続で飛ばしてくる。魔法攻撃だ。必死に回避するセレーネを見て高笑いしていた。

 彼のクラスは暗殺者(アサシン)なのだが、さすが吸血鬼種(ヴァンピール)と言うべきか魔法もお手の物である。この世界の吸血鬼は魔法を使うのも得意な種族だ。


 しかも助けに入ろうとしたリーヴェを、黒い影を地から生やす魔法で拘束してしまう。束縛魔法から抜け出そうともがく間も敵の攻撃は続いた。


クロ―デリア「セラス・クラーレ・バラッド」

リーヴェ「よし、解けた。行くぞ」

リジェネ「ソニックエッジ……」

ホレスト郷「おっと」


 移動を諦めて龍スキルを放ったが、難なく躱されてしまう。何故だろう、リジェネだけ妙にデバフが長引いている。他の面々は最初に受けたデバフの効果が切れているのに。

 ホレスト郷は、魔法の前後にアホみたいなポーズをとっている。狙い目と感じたセレーネが懐に飛び込む。


セレーネ「空襲槌蓮!」

ホレスト郷「ぐあぁぁ!! くく、やるじゃないか」


 攻撃を受けたのにまだまだ余裕を見せるホレスト郷。

 彼は大きく広げた外套で全身を包む。次の瞬間、彼の姿がコウモリへと変身した。複数のコウモリがセレーネを襲う。


セレーネ「イタッ、ちょっ止めて」

ホレスト郷『止める訳がないだろ? ほらほら、体力が削られていくよ~』

セレーネ「この、えい、やあ……アレ」

ホレスト郷『はっはっはっ』


 コウモリ形態の時の彼は、物理攻撃を完全に回避してくばかりかHPを吸収する攻撃をしてくる。まさか変身能力まであるとは。

 セレーネの攻撃が当たらないのに気づいたクロ―デリアが援護に入った。何度か魔法を放って、上手く当てる事に成功。再び人型形態に戻るホレスト郷。しかし、奴のHPが十分に回復してしまった。


 一方でリーヴェとリジェネはホッヴォ郷と対峙している。こちらも苦戦を強いられていた。

 ホレスト郷とは違いこちらはサポート寄りの能力を持つ敵だが、最も恐ろしいのは……。


ホッヴォ郷「♪♪~」

リジェネ「が……」

リーヴェ「不味い、すぐにリカバリーを」

ホッヴォ郷「させない」


 リジェネが石化。解除のために詠唱に入ろうとするリーヴェを、短剣による攻撃が妨害した。

 そう、ホッヴォ郷は状態異常の中でも石化を多用してくるのだ。即死だけは使ってこないが。状態異常のオンパレードと、離れていても当たる攻撃で大苦戦である。

 リジェネの動きが想像以上に不調なため、敵に攻撃の隙を作ってしまう。詠唱も満足にさせて貰えない。


リーヴェ(仕方ない、ここは道具を使おう)


 予め購入しておいた状態異常の解除薬を、リジェネに近づいて使用する。石化が解除。


リジェネ「助かりました」

ホッヴォ郷「バカね。隙だらけよ」

リーヴェ「しまった!」

リジェネ「姉さんっ」


 背後から蹴りを食らい転倒するリーヴェ。リジェネもマヒの状態異常をかけられてしまった。

 このままでは拉致が明かない。戦闘の様子を観察し、リーヴェはある事に気づいた。もしかして、だが……。


リーヴェ「セレーネ、リジェネと敵を交代できるか?」

セレーネ「あたしは良いけど……」

リジェネ「僕も了解です」


 まずセレーネがホッヴォ郷に迫り、その間にリジェネへリカバリーをかける。動けるようになったリジェネがホレスト郷へ向かった。治癒魔法で対処できる内は、道具の使用はできるだけ控える。


ホッヴォ郷「♪♪~」

セレーネ「強行突破よ」

ホッヴォ郷「ひゃぁ、やりましたね」


 双方の攻防が繰り広げられた。思った通り、女性に対しては効果が薄いようだ。まったく効いていない訳ではないがゴリ推せる。

 ホッヴォ郷に歌う隙を与えまいと畳みかけるセレーネ。負けじと善戦する敵。短剣と拳の早業が連続で繰り出されていく。

 セレーネは連続攻撃系のスキルを中心に攻撃を繋げた。動きが滑らか過ぎて、どのスキルを使っているのかわからないくらいだ。


セレーネ(次、もっと早く次の技を!)


 何度となく拳と蹴りを続ける。そして――。


セレーネ「だあぁぁぁ!!」


 まるで流れるように拳と蹴りの計15連撃を一気に叩き込んだ。炎を纏ったその攻撃は、敵を勢いよく吹っ飛ばす。かなりの高火力。


ホッヴォ郷「きゃあぁぁぁ――」

リーヴェ「セレーネ、今の」

セレーネ「え……やったぁ、何か閃いた!!」


 咄嗟の出来事で反応が遅れるセレーネ。

 この技は「猛襲(もうしゅう)連撃衝(れんげきしょう)」といい、敵がガードブレイク時だとより大きなダメージとなる派生技だ。確率で火傷も付与する。

 ついに、あたしも新しい技を閃いた。すっごく嬉しい、けど今は戦闘に集中しないと。


セレーネ(これなら、行ける)

セレーネ「リーヴェ、まずはもう1人を先に倒して」

リーヴェ「大丈夫なのか?」

セレーネ「うん、今ならやれそうなの!」

リーヴェ「わかった。すぐに加勢に戻る」


 リーヴェはすぐにリジェネ達の加勢に向かう。戦力を集中させて、どちらか一方を先に戦闘から離脱させよう。

 リーヴェが移動した後、派手に吹っ飛ばされたホッヴォ郷が戻ってくる。セレーネはアイテムでMPを回復し、拳に力を込めて迎え撃った。


セレーネ「さぁ、あんた相手はあたしよ」

ホッヴォ郷「小癪な。あんまり舐めんじゃないわよ!!」


 再び彼女達の攻防が始まる。


 対ホレスト郷のほうは、大変な事になっていた。


ホレスト郷『ははははははっ』


 上機嫌で笑う彼の姿は、いつの間にか煙雲(スモッグ)形態に。いったい何種類に変身する気だ。一足先に公開するが、人型、コウモリ、煙雲の3種類である。

 気になる煙雲形態の効果だが、なんと攻撃がまったく効かない。物理と魔法、両方ともだ。ただし攻撃らしい攻撃をしてこない。


リーヴェ「急に攻撃が効かなくなった!?」

リジェネ「やあっ、ダメです。やっぱり効きません」

リーヴェ「諦めるな。手当たり次第に試すんだ」

クロ―デリア「スピラ・ケラヴノス……う~ん、打ち落とせませんねぇ」


 先程までは確かに効いていた攻撃が一切通用しなかった。他に試していないモノはないか。


リジェネ「懐迅槍」

ホレスト郷「ぬおぉぉ」

リジェネ「え、嘘。かかった」


 ダメージは入らなかったが、滅多にかからない気絶が付与された。途端、ホレスト郷の姿が人型に強制解除される。リジェネの状態異常攻撃はどれも確率が低い。偶然だろうか。

 ホレスト郷は懲りずに再度、煙雲形態に変身する。試してみる価値はあるか、リジェネがもう一度同じ技を繰り出した。次も気絶が見事にかかる。

 さすがにこれ以上は不味いと感じたらしく、他の形態で戦う事にしたホレスト郷。


リジェネ「何だかよく知りませんが、あの姿の時は状態異常の耐性が下がっているっぽいですね」

リーヴェ「よし好機だ。一気に行くぞ」

クロ―デリア「ええ」

リジェネ「はい」


 戦闘時の観察で、各形態時の対処法はだいたい判明した。

 人型時は攻撃の前後に動きが止まるのが狙い目。コウモリ時は魔法攻撃を中心に戦い、煙雲の時は状態異常を付与して人型に戻す。

 動きが速いから攻撃を命中させるのには骨が折れるが、3人で協力し合ってダメージを与えていく。

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