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5章 妹の家で一夜過ごします、女装姿で その14

「あの、宇折井サン。生流サンがセリカサンになった理由、わかったんデスカ?」

「それは全然でござる。ただ、このプレイで少なくとも、生流殿とセリカ嬢が同一人物かどうかはわかるはずでござる」

「えっ? でも、外見はまったく同じで……」

「目に見えるものがすべからく真実とは限らないでござる(キリッ)」

「……あ、なんか今、今日一番でほっとしたというか気が抜けマシタ」

「なぜに!?」


 お二人が何やら漫才をしている間に、ゲームが開始画面に切り替わりました。


『ランブル』は3Dデザインの最大4人対戦アクションゲームです。ステージを縦横上下自由に動き回り、敵を場外に押し出したら勝利です。

 体力の概念は通常モードではなく、代わりに攻撃をヒットさせると相手の吹っ飛び値を増加させることができます。

 キャラごとに属性が決まっていて相性がよければダメージや吹っ飛ばし力が高くなったり、『ティンクルパワー』が溜まると一発逆転の必殺技『乱舞ル』が使えるなどの要素がありますがそれは事前にオフにしてあります。


 カウントダウンが3、2、1と減っていきます。

 『Fight!』の文字が表示されると同時に、マリンが突っ込んできました。

「マリンの基本戦術は遠距離の光玉でチクチクダメージを与えてから、接近の投げから吹っ飛ばしを狙うのが定石なのですが……」

「甘いでござる! 先手必勝!!」

 反射的に防御したところにつかみを入れられ、そのまま前方に突き飛ばされました。


 そのまま脱出不能な流れるようなコンボを決められてしまいます。

「これって、理論上は最強だけど飛び位置と指捌さばき的に不可能とされた……」

「そうでござる、幻の即死コンボでござーる!」

 見やると、宇折井さんはコントローラーを表裏反対に持ち、親指をトリガーにかけて他の四指でスティックとボタンを操作していました。

「親指二本ではなく、四本×2=八本なら、四倍の速さで操作できるのでござる!!」

「そ、そんな無茶苦茶な……」

「ふひひひひひっ、これを見ても同じことがいえるでござるか!?」

 あっという間に場外まで運ばれて、ピース姫はそのまま撃墜されてしまいました。


 開いた口が塞がりません。

「アンビリーバボー……。まさか生流サンが何もできずに、1ストック取られるなんて」

「このまま残り2ストックもいただくでござーるっ!」

 復帰したばかりでまだ無敵状態なのに、マリンが突っ込んでくる。

「ずいぶん、血の気が荒いですね」

「ふひひっ、速攻勝負で決着、一撃必殺が武士の神髄にござるッ!」

「なるほど。でも」


 マリンが接近からのつかみ――と見せかけて、弱攻撃を繰り出してきました。

 おそらく弱コンボ二発で止めて、ガードした直後につかみ――という流れでしょうか。

 つまりダウン、ひるみを恐れる必要はありません。


「宇折井さん、あなたのプレイングはもう見切りましたよ」

「えっ――?」


 わたしはピース姫の下必殺、ガイアガーデンを発動し相手のつかみを阻止します。

「だ、ダメージランダム技の……最高打点でござるかッ!?」

「運を味方につけるのも、実況者のたしなみです」

 空中に打ちあがったマリンを追撃、そのままダメージを稼いでそのまま1ストックを奪います。


「くっ……、ならば!」

 宇折井さんは遠距離攻撃主体の、本来のマリンの戦術に切り替えてきました。

「残念ですけど、むやみやたらに遠距離攻撃を仕掛けたところで、わたしのピース姫は倒せませんよ?」

承知之介しょうちのすけでござる……!」

 回避で近づいたところで、ダッシュ攻撃……いいえ、つかみですか。

 バックステップで躱した後に右横に移動し、マリンの死角に入ります。

「貪欲なまでの猛攻、ここぞという時の勝負強さ。かてて加えて超人的なプレイングが宇折井さんの美点ですね。けれども――」


 相手の狙っていたつかみを決めて、一笑。

「わたしに勝つには、まだまだレベル不足ですよ」

 そのまま投げコンを繋いで、撃墜。

「下投げコンボは三発目で止めてから、一度フェイントを決めると簡単に撃墜コンボに繋ぐことができるんですよ。後学のために、覚えておいてはいかがでしょうか?」

 しんと場が静まり返ってしまいます。

 盛り上げるつもりだったのに、こんな空気になってしまうとか……。

 まだわたしも経験値が足りない、ということなのでしょう。


 マリンの三機目は、筆舌に尽くすのも呆気あっけなさすぎるぐらいに奪えました。

「わたしの勝利ですね。もう一戦やりますか?」

 宇折井さんは引きつった笑い顔で「い、いや……」とかぶりを振られました。

 残念です、それなりにお強い方でしたのでもう一戦手合わせしたかったのですが。


「……とても生流殿とは、ど、同一人物とは思えんでござるな……」

「デスネ……。なんというか、格というか次元が違う気がシマス」


 ひそひそお二人で何か、お話されています。

 仲間外れにされてしまいました。

 仕方ないから一人でCPと対戦します。

 全然、寂しくなんてないですから。本当ですよ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【次回予告!】


夢咲「あれ、ネット麻雀やってるんデスカ?」

生流「ああ。でも負け込んでて、ポイントがどんどん下がっててな。なんかムキになっちゃってるから、そろそろやめないと……と、立直か」

夢咲「それ、愚形になるから一旦待った方がいいデスヨ」

生流「え……? あっ、そうか。じゃあ、ハクを捨てて」

夢咲「……ん、槓材が来マシタネ」

生流「でも下手にドラを増やしてもな……」

夢咲「いえ、ここはカンしておきマショウ」

生流「えー……、あ、自摸つもった! ってことは、嶺上開花か!!」


夢咲「次回、『5章 妹の家で一夜過ごします、女装姿で その15』 デス」


生流「夢咲って、麻雀打てたのな」

夢咲「うーん、ルール程度しか知らないはずなんデスケド……?」

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