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HalloweeN ✝︎ BATTLE 〜僕が夢みた150年の物語〜  作者: 善法寺雪鶴
仲間を探しに
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全員集合


「みんな⋯⋯遅くなってごめん⋯⋯。」


 手を振りながらヒショウの帰還を喜んでいた俺達だったが、それに対してヒショウは俺達の目の前に来ると頭を下げながら謝罪をした。


「謝ることねーだろ!」

「そうにゃ!女の子を連れてきてくれたにゃ!」

「感謝してもしきれません。」


 俺達の言葉を聞き安心したのか、ヒショウの強ばっていた表情が少し緩んだようだった。


「君も、来てくれてありがとう。」


 俺はヒショウの少し後ろに立っている女の子に声をかけた。

 女の子は俺と視線を交じ合わせると、ハッキリと言った。


「私は貴方達のように強くない。」

「⋯⋯え?」


 女の子が俺達と面と向かって初めて口にした事が自己紹介等ではなく予想もしていなかった言葉だったため、賑やかだった俺達は一瞬で口をつぐんでしまった。


 それは、どういうことだろうか。


 女の子はヒショウの前に1歩出ると、俺の目を見つめたまま続けた。


「私は強くない。確かにガーディアンをしているけれど、攻撃に特化してない。防御しかできない弱者なの。」


 女の子は俺から目線を外すと、ぐっと唇を噛み締めた。

 そして目線を戻した女の子の目からは悲しさが伝わってきた。


「⋯⋯それでも、仲間にしてくれる?」


 何故悲しそうなのかは分からない。

 でも、俺の答えは⋯⋯いや、俺達の答えは1つだった。


「もちろん。大歓迎だ。」

「あったり前だろ!」

「ガーディアンですもの。拒否する理由が無いわ。」

「防御もカッコイイにゃ!」

「攻撃が全てではないですからね。」

「守れるって、簡単に出来ることじゃないからな。」

「君みたいな子がいたら俺達も安心して戦えるよ。」

「俺達さっきまで壁壊すの時間かかってたんだぜ!」

「あんなレガロ出されたら敵もビビるだろ。」

「自分を卑下する必要は全くございませんよ。」

「十分つえーよ。」

「⋯⋯パンプキンパイも、凄かった⋯⋯。」

「私達動けなかったよね〜!本当、弱者なんかじゃないよ!」


 俺達全員が女の子に微笑み返した。

 すると、ヒショウは女の子の背中に向けてニコッと笑った。


「ほら、大丈夫って言ったでしょ?」


 後ろにいるヒショウから声をかけられた女の子はヒショウの方を振り向くと⋯⋯


「うん⋯⋯そうだね。」


 微笑みながら涙を流した。




 俺達は女の子の気持ちが落ち着いたところで、自己紹介を始めた。


「俺は吸血鬼のビアだ。」

「俺は「スティッチ」から来たフランケンのグレイだ!」

「私は「サーペント」の姫。メデューサのミオラよ。」

「「ガット」から来た化け猫の吉歌(きっか)にゃ!」

「「ネーヴェ」から来ました、雪女の牡丹(ぼたん)です。お兄様の双子の妹です。」

「雪男の椿(つばき)。牡丹の双子の兄だよ。」

「俺は鴇鮫(ときさめ)。「オープス」でスピルウィルをしているよ。」

「俺は「オーガ」一の剣の達人!鬼の和倉(わくら)!よろしくね!」

「天狗の椰鶴(やづる)。」

「僕は華紫亜(かしあ)と申します。「ルナール」の代表をさせていただいております。」

「ランド。狼男だ。」

「⋯⋯魔女のホワリ⋯⋯医者の娘。」

「サキュバスのシュロだよ!アイドルやってますっ!」


 俺達の自己紹介を1人1人の目を見て真剣に聞いていた女の子は、最後にヒショウの方を振り返った。

 ヒショウは突然の出来事にビクッとしていたが、女の子の方をしっかりと見ながら言った。


「と、透明人間のヒショウです⋯⋯。」


 ヒショウの自己紹介を聞き女の子はニコッと笑った。


「ヒショウ。貴方のおかげで素敵な人達と出会うことができた。私の事、最後まで説得してくれてありがとう。見捨てないでくれて、ありがとう。」


 ヒショウは少しだけ顔を赤く染めると俯いた。

 女の子はそんなヒショウに微笑むと、全員が見渡せるように立った。


「私はジャック・オ・ランタンのメロウ。さっきは逃げちゃってごめんなさい。防御しかできないけれど、私なりに頑張るから⋯⋯。だから、よろしくお願いします!」


 頭を下げたメロウを見て、俺達は口を揃えた。


「こちらこそよろしく!」


 メロウは顔を上げた。メロウの目はキラキラと輝いていた。


「うん!よろしくね!」


 その時だった。俺の後ろに立っていた鴇鮫が小さな声で呟いた。


「へぇ⋯⋯。」

「んにゃ?トッキー?」

「ふふっ。可愛らしい子だなぁと思ってね。」

「そうにゃね!メロウ、可愛いにゃよね!でも、トッキーがそんな感じで言うのは初めて聞いたにゃ。」

「そんな事ないよ。いつも本気だよ。吉歌ちゃんだって、どんな時も可愛いよ。」

「やだにゃ〜、照れちゃうにゃ〜!」


 吉歌に話しかけられる直前、何かに気がついたような反応を見せた鴇鮫。

 その瞬間の鴇鮫の目は、ほんの一瞬だが鋭い目付きをしていた。

 しかし、吉歌に話しかけられてからはいつも通りの穏やかな目付きに変わった。


 あの一瞬の間、鴇鮫の目には、何が見えていたのだろう。

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