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HalloweeN ✝︎ BATTLE 〜僕が夢みた150年の物語〜  作者: 善法寺雪鶴
仲間を探しに
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真の勇者の帰還


「⋯⋯全く取れねー⋯⋯ムカつく。」

「まぁまぁ!ベトベト同士抱き合っちゃう?」

「⋯⋯何言ってんだお前。遂に頭やられたか。」


 俺達の体を縛っていた輪はヒショウが追いかけて行ってから消えたが、パイは消えていなかった。

 椰鶴(やづる)和倉(わくら)はこの状況でもいつも通りの会話を続けていた。


「いや〜、2人は仲良いね〜!いいな〜!幼馴染!」

「⋯⋯でも、椰鶴迷惑そう⋯⋯。」

「あははっ!それは言えてる〜!」


 ベトベトになりながらも、2人の様子を暖かい目で見守っているシュロとホワリ。

 この4人と一緒にいると、今からオスクリタと戦うなんて嘘のように感じてしまう。


 それだけ平和なのはいいことか。


 だが、それ以上に俺には気がかりなことがあった。

 それは、ヒショウの女性恐怖症だ。

 なかなか戻ってくる気配が見られないため、どこかで倒れてるんじゃないかと不安でいっぱいだった。


 しかし、今はこのベトベトをどうにかして他のメンバーと合流することが先だろう。

 あの女の子のことはヒショウを信じるしかない。


 俺がヒショウの行った方を眺めていた時だった。


「あっ!すっごい!これ、少しずつだけど消えてきてない!?」

「⋯⋯ほんとだ。」

「あぁ。これで動けるな。」

「やったぁ!!ベトベト解消!!お祝いのハグ〜!」

「調子にのんな馬鹿和倉。」


 身体にまとわりついていたパイが少しずつではあるが消えてきたのだ。

 動けるようになってきたため、俺達は来た道を戻りグレイ達と合流することにした。




「あっれー?ここは消えてないのか!」

「だな。」


 和倉と椰鶴の言う通り、壁のように反り立つパンプキンは消えていなかった。

 俺達5人はこれを超えて反対側へ行くことが出来るが、行ったところでこの壁があったら今反対側で足止めされているメンバーは結果的にこちら側へ来ることが出来ない。


 壊すしかないだろうか⋯⋯。


 その時、壁の向こうから微かに声が聞こえてきていることに気がついたため耳をすました。


「これ、消えんのか!?」

「いや、知らないわよ。」

「これだけ時間経ってるから消えないんじゃないかな。」

「そうですね。鴇鮫(ときさめ)さんの言う通りだと思います。」

「ビア達のところ早く行かないといけないけど、どうする?」

「食べたら美味しいのかにゃ?」

「流石にお腹を下してしまうと思いますよ。それはおやめになった方がよろしいかと⋯⋯。」

「まだ腹減ってたのか。華紫亜(かしあ)くんの言う通りだし、それ以前にこんな量食えねーだろ。」


 ⋯⋯壁をめぐって何やら揉めているようだ。


「な〜んか、すっごい内容の会話してるよね!面白すぎ!」

「⋯⋯食べるって聞こえた⋯⋯。」

「⋯⋯そうだな。」

「馬鹿は和倉だけにしてほしいんだけど。」

「ちょっと待って!流れでディスるのやめて!?」

「ていうか、私思ったんだけど。」


 ニコニコしていたシュロが真剣な顔で俺を見てきた。


「これ、壊せばいいよね?周りに建物ないし人もいないし、壊しても周りに影響はでなさそうだよ?」

「そうだな。壊すのが1番早いよな。」

「やっぱりそう思うよね!よかった〜!拒否されたらどうしようかと思った!」


 俺が案を受け入れたため安心したのか、シュロは笑顔に戻っていた。


「それじゃあ、反対側に行って早速壊そう。」


 俺達5人は高く飛び上がると、反対側へ降り立った。


「あ!戻ってきたぞ!」

「ビア〜!おかえりにゃ〜!」

「あぁ。ただいま。」

「女の子、捕まえられたの?」

「いや、それが⋯⋯。」


 壁を越えた後、パイや輪を出されて足止めされたことや、ヒショウが1人で女の子を追いかけて行ったことを説明した。


「ということは、ヒショウさんは今女の子と2人きりってことですよね?」


 牡丹(ぼたん)は難しそうな顔をしていた。


「そうなるな。」

「あの⋯⋯つかぬ事をお伺いしますが、ヒショウさんって女性恐怖症では⋯⋯?」


 恐る恐る聞いてくる牡丹。やっぱりそこが気になるらしい。


「ヒショウが追いかけて行ってから俺も心配なんだ。だから早く迎えに行かないととは思ってるんだが⋯⋯。」


 俺と牡丹の会話を聞き、和倉が勢いよく俺の肩を掴むと、自分の方へ半回転させ向き合った。


「待って!そうじゃん!女性恐怖症じゃん!ヤバいじゃん!!」

「ビアの肩壊れるだろ、やめろ和倉。」

「でもー!ヒショウ1人じゃヤバいじゃん!!」

「それはそうだけど。」

「そうですよね。僕達もそのことをすっかり忘れていました。ヒショウさんをお見かけできないという話はこちらでも出ていたのですが、まさかお1人で向かわれているとは夢にも思いませんでした。」

「女性恐怖症なら泡吹いて倒れてんじゃねーか?」


 ランドがサラッと言った一言に、全員がランドの方を振り返った。


「な、なんだよ。俺変な事言ったか?」


 全員の目線が集中したためランドは顔を引きつらせている。

 そして、少しの間の後⋯⋯。


「やべーじゃねーか!!」

「ヒショウなら有り得るわね。」

「倒れてるにゃ!?大丈夫にゃ!?」

「早く助けに行かないといけませんね。」

「まずいな。牡丹やミオラと歩いてるだけでも震えてる奴なのに。」

「1対1で話をするなんてヒショウからしたら拷問だよね。」


 ヒショウのことを考えると、何としてでも壁を壊さないといけない。


「みんなに話がある。」


 俺は、先程シュロが言っていたことを踏まえつつ「目の前の壁を壊す」という提案をした。


 全員が快く提案を承諾してくれたため、誰がどのようなレガロを放つのか簡単に話し合いをし、行動に移すメンバーを決めた。

 崩れ始めた時に崩れたパンプキンが降り注いでくる可能性があるという点から、先にホワリが俺達の上部にバリアを張ってくれた。


「それじゃあ決めた順番に壁に攻撃をしてくれ。長居はできない。一発勝負だ。」

「分かったわ。私からね。」


 対象者は壁の前に立つと、ミオラから順にレガロを放った。


「スネークバイター!」


 ミオラの髪の蛇達がミオラの指示で勢いよく壁に伸びると壁に噛みつき毒を出した。広範囲に噛み付いたからか、毒を吸い込んだ部分が合体し早い速度で紫に変化した。

 パンプキンが脆くなっていくのが一目で分かった。


「「砕散凍壊(さいさんとうかい)!!」」


 色の変化を見た椿(つばき)と牡丹が即背中合わせで片手を組み、もう片方の手をパンプキンの方へ伸ばした。

 パンプキンが凍りつくと同時に、脆くなった位置から砕けだした。


「⋯⋯エラージングラスト。」


 ミシッという音とともに一気に崩れそうになったタイミングを見計らい、ホワリが杖をパンプキンに向けて伸ばし術を唱えた。

 既に地面に崩れ落ちていた物も含め、全てのパンプキンがどこかへと消え去った。


 4人の放ったレガロの威力により、あれだけ硬く高くそびえ立っていた壁が一瞬で無くなってしまった。

 これでやっと先に進める。


 俺達がヒショウを追いかけるため先へ進もうとした時、道の先に見知った影を見つけた。


 あれは、もしかして⋯⋯。


「ヒショウが戻ってきたにゃ!」

「⋯⋯あの子も一緒⋯⋯。」


 そう。ヒショウが逃げて行った女の子と共に戻ってきたのだ。


「女性恐怖症なのに女の子を連れて帰ってくるなんて、ヒショウこそ勇者ね。」

「あぁ。そうだな。」


 ヒショウ⋯⋯頑張ったな。


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