2月24日:霧に包まれた教会
辺りは霧に包まれていた。私はヤマザキの教会という場所にいた。
私は美少年おじさんが窓ガラスを割る現場に遭遇した。どうすればいいか分からなかったが、私の存在に気づいた美少年おじさんは「フギャ」と言い残して逃げて行った。私は安心した。
「お待たせしました。貴方の親御さんです。」
などという声が聞こえてきたのでそちらに向かうと黒い箱が置いてあって、各辺長さ50センチくらいだった。牧師さんによって箱が開けられると、箱の中に黒い繊維のようなものが詰まっていた。
私は、これが大根の沢庵漬けであることを確信した。しかし、これが私の両親であることもまた確信した。私の両親は黒い繊維のような沢庵になってしまった。これもみんな、ヤマザキの教会の仕業である。もはや手の打ちようがなかった。
風の強い日だった。私は新聞を通じて美少年おじさんについての知識を得た。『天使の一種』だそうだ。驚くと「フギャ」と鳴く。寿命は100年。
『ピアノソナタ第3番 ”フギャ”』はまさに名曲だった。私は何度もCDを巻き戻して聴いた。
第1番と第2番は何か気になったが、よく思い出してみれば第1番は”繊維”で第2番は”ヤマザキ”だった。私は失われた両親の事を思い出し、ひとり泣いた。
混沌とした中両親が失われたという事実だけが突きつけられる