2月23日:インド・ボンベイにて
わけあってマルコ・ポーロと話す機会を得た。
なにしろあの有名な旅行家マルコ・ポーロだ。聞きたいことは山ほどあるが、まず最初はインドについて聞くことにした。
「カレー、カレーが信仰対象なの。インド。」
彼は語り始めた。独特の口調は彼がヴェネツィア生まれであることに起因する。
「インドカレーはモンゴルのKhan(王)にみな支配されているの。神聖だから。あと豚は不浄だから食べちゃダメ。国じゅうにヒマラヤっていう山がたくさんあった。これも信仰対象ね。」
どうやらインドはずいぶん信心深い国家のようだ。私はインドのボンベイ市街地にいた。すごい喧噪だ。
ボンベイの市場では花が売られていた。これはインド人の主食だ。彼らは花をカレーに加工して食べる。
マルコ・ポーロは30ドルで花を買った(見た目的に菊の仲間だろう)。そしてそのままモシャモシャ食べた。誤った食べ方だ。これはカレーに加工してから食べるものですよ、と優しく教えてあげた。マルコ・ポーロは悲しみのあまり涙をポロポロ流した。
しばらく歩くとヒマラヤの前に着いた。ヒマラヤは想像よりも小さく、高さ10メートルくらいの円錐形をしていた。これは信仰対象だと聞いていたが、誰も崇拝している様子がない。みなヒマラヤを迂回して通り過ぎるのみである。
「これが信仰対象なの?」
と質問したところ、
「インド人は日常の中に信仰があるの。」
と返答された。流石だと思った。
ヒマラヤの周りをぐるぐる回っていると、観光客向けの音声解説パネルを見つけた。ボタンを押してみるとインド語(恐らく夢の中の私はヒンディー語と混同している)の民謡が流れてきた。意味は分からなかったが、マルコ・ポーロが解説してくれた。
「簡単に言うと鬼が島伝説ね。これ。鬼が島。モモタロスっていう人がヒマラヤ山に登って鬼を殺害する話。その際には、イニュ、サリュ、クィジを伴っていたの。これみんなフランス人ね。」
そう。要するに桃太郎の変形である。日本でお馴染みの民話がこんな異国の地にまで伝わっている事を思うと感慨深かった。私は、日本人で良かった、と思った。
World Tour......