2月20日:真っ白シーツの国
自宅に真っ白シーツがやってきた。
シーツがどうやって呼び鈴を押したのか私は気になって仕方がなかったが、
「呼び鈴なんて押してませんよ。」
の一点張りで埒が明かなかった。どうやら頑固な性格らしい。
真っ白シーツは私を真っ白シーツの国へといざなってくれた。
真っ白シーツの国では国民はみな真っ白シーツである。それ以外の色のシーツは異端として排斥される。ずいぶんと閉鎖的な社会だ。
「――ホントは真っ白シーツ以外の誰であれ入っちゃいけないんです、この国は。あなたは例外ですけど。」
真っ白シーツは言った。私はなんだか怖くなって、真っ白シーツをギュッと握りしめた。
「苦しいですよ、そうやって掴まれると。骨とか折れちゃいます。骨折です。」
真っ白シーツの悲痛な声に私は慌てて力を緩めたが、決して真っ白シーツを手放しはしなかった。放してしまったら帰れなくなると思ったからだ。
やがて、私たちは真っ白シーツの干し場にたどり着いた。
「ここは真っ白シーツしか干せない特別な干し場ですよ。」
手元の真っ白シーツが紹介してくれた。しかし近くから見てみると、所々真っ白ではなく、赤いシーツが混ざっているようにも見えた。目の錯覚だろうか、あるいは?
「赤いシーツは死んでしまいました。死んだ真っ白シーツは赤くなります。」
手元の真っ白シーツは簡潔に答えてくれた。シーツに生死の概念があったとは知らなかったので、私は感心した。
気づけば私は布団の中にいた。シーツはいつも通り真っ白だった。
よかった。彼もまた、生きているのだ。
夢日記が日付の変わった瞬間に投稿されるのはリアルタイム的におかしいような気がしますが、少しでも人目に付く時間帯に投稿するためにはこうするしかありませんでした。朝起きてから読めばきっともっとリアル。