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3月1日:登山と贖罪

 私は罪を犯した。原罪だった。

 罪を償うため、私は贖罪センターへと向かった。自宅最寄り駅から電車で約1時間。

 

 贖罪センターのビルディングはすごく高い山の上にあった。たどり着くには長い階段を登るか、もしくは課金する必要がある。

 私はインターネットで『贖罪センター 階段』と検索して、他者の攻略法を見た。これがまた一つの罪となった。

 結局、多くの人が課金していることがわかった。カイダンジェム(KJと略された)は1個1円で、階段を1段ショートカットする権利が得られる。

 「君、30円がおすすめだよ。」

 という声がかけられたので、素直に30円を課金した。私は階段を30段登ったところにいた。

 

 私は贖罪センターの中に入った。どうやらここは不動産屋も兼ねているらしく、駅前の物件情報などが壁一面に貼られていた。

 「結局、階段なんて一段も登るこたぁ無かったんだよ。」

 などと言って出迎えてくれたおじさんから、私は免罪符を購入した。一枚1000円だった。これで、原罪はもう晴らされたという。そんな簡単に晴れるわけがないのに……。

 

 建物の外は酷い嵐だった。山の天気は変わりやすいのだ。

 それでも私には、早く帰ってやらねばならない事があった。すなわち人気ドラマの録画である。

 録画用のDVDを切らしている事を思い出した私は、コンビニに立ち寄ってヘビーポーションを買った。買う時にお金を払いそびれたせいで、コンビニは私の事を追いかけまわし始めた。

 

 でも、それでいいのだ。

 あんなに必死の形相で私を追いかけていたコンビニは、私の自宅の目の前でピタリと止まり、恭しく自動ドアを開いた。間の抜けた入店チャイム音で、私は目を覚ました。

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