#5 ツンデレ
冬休みと終わりに差し掛かったある日の事。
珍しく彩が事実ではなくリビングでアニメを観ていた。
剣と魔法のファンタジー物で、今日で最終回を迎える、「異世界に飛ばされて取り敢えずイチャイチャしようと思ったけど戦乱に巻き込まれたので戦います」という妹イチオシのアニメだ。
俺はGAT〇とからき〇すたなど好きなアニメのジャンルは結構広いが今彩が観てる「タイトル長いので省略」は手をつけてない。
「うぉぉぉぉぉ!いけぇぇぇぇぇ!仇をとれぇぇぇぇぇぇ!」
アニメが最後の決戦シーンに入り、テンションがヒートアップし叫び始めた彩の隣で、俺は藍から数学を教わっていた。
中学の頃、数学がちんぷんかんぷんで授業が頭に入ってこなかったからひたすら寝てたのが、高校入学直後に行われる実力試験に響くのを恐れて、藍に付き合ってもらってるのだが……。
「それで、ここのxの所がこうなると 」
「いいぞ!いける!いける!この戦い勝てるぞぉぉぉ!」
うるせぇ。
xが、どうなったら戦い始めるんだよ。
「あのさぁ。ちょっと静かにしてくんないかなぁ?こっち勉強してるのね?解る?」
彩は俺の声が聞こえてないのかCM時間を利用して鼻歌を歌いながらスマホの掲示板に書き込みをしている。
解るよ。好きなアニメの放送中に今の気持ちを書き込みたくなるよ。
でも俺の話無視しないでくれるかなぁ?
「おい。聞こえてるなら黙っててくれよ。まったく……」
彩にそう告げると俺は藍に向き直り、
「ごめん、最初から教えてくれない?」
「解ったよ。最初からね。ここのxがこうなると」
「おぃぃ!?何でそこで裏切るんだよ!仲間だと思ってたのに……何でだよ!?」
何でお前が主人公みたいになってんだよ。
「ぜビル=チャン・クリスティーン・ミッチェル・ローブオン・アルバート・ゴブリン……お前……あの時の約束を忘れたのかよぉぉぉ!」
タイトルだけじゃなくて名前まで長いな……。
「あのさぁ。いい加減に静かにしてくんないかなぁ?俺もうすぐ実力試験なの。少しは協力してくれよ。……それと、俺が喋り始めた瞬間スマホいじり始めるの何でかなぁ?」
まったく。スルースキルを何処で覚えたんだか……。
「んじゃ、頼むよ」
俺は再び藍に向き直り、
「本当ごめん。もう一回最初からお願いします。」
「あ、うん。解ったわ。で、ここのxの所なんだけどね、ここの数字を入れると」
「おおおおおお!!良くやった!良くやったよ!ようやく家族の仇うったなぁ!!いやぁ長かったなー!ここまでの道のり!裏切りや強盗、勘違いからの死刑宣告やセーブデータの消失なんか色んなのあったけど良くここまできたなぁ!感激感激。」
「お……い……。」
「あの、優也?息荒いけど大丈夫?」
「大丈夫な訳……」
「でも、やっぱりヒロインはツンデレに限りますねぇ!みんなの前ではツンツン。二人っきりの時はデレデレ……萌えるねぇー。」
その時、俺の中の歴史が動いた!
毛細血管が切れただけだが。
俺はゆっくりと立ち上がり、妹に今にも消えそうな程の声で問いかけた。
「いま……なんて言った?」
「え、ちょ。優也、どうしたの?さらに鼻息荒くなったけど……」
「そうだよおにぃ。なんか今日気持ち悪いよ……。」
「そんな事はどうでもいい……今なんて言った!?」
気づかないうちに俺の声量がどんどん上がってく。
流石に彩も少し震え始めた。
「お、おにぃどうしたの?ちょっと怖いんだけど……」
「いいかぁ?ツンデレはなぁ、最初ツンツン、後からデレデレなんだよ!ツンデレとは、時間経過によって生まれる絶対的な精神、もとい性格であるのだ!それをお前は……お前は……神聖なツンデレを間違った説明しやがって!許せん!」
「で、でも!ツンデレに正確な定義なんてないじゃない!」
「いいか!ツンデレはツンツンと時期にフラグがたつとデレデレになるのだ!プラグが立には遅かれ早かれ時間が経過する!つまり!ツンデレは時間経過による変化が起こす特別な性格なのだ!ギャップ萌だよ!」
「は、はぁ!?何言ってんのよ!それは鬼ぃの考えでしょ!?おにぃの考えを人に押し付けないでよね!」
「なんだと!?いくらお前でもツンデレの美しい定理を捻じ曲げる奴は容赦しないぞ!!!」
「……話聞いてて思ったんだけど彩さんって優也と喋る時だけ口調変わりますよね……なんかテンパってるって言うか……好きな人の前で喋ってる感じですよね……。」
その藍の一言で、世界が一瞬静止した。
「あ、あわわわわわわ。そ、そんな事ないんだから!おにぃのバカっ!」
「何で俺!?」
「知らないわよっ!」
彩は顔を超真っ赤にさせながら2階へ走っていった。
その日、彩は自室から出てこなかった。
べ、別に彩がツンデレなんて認めないんだからっ!
これを書いた時間帯が3時から4時なんですよ。夜の。眠い……。
来週もまたお会いましょ…う…zzz




