#4 映画 その2
「今日の映画ってどんな話なんです?」
映画館がある駅へ向かうバスの中で、藍が聞いてきた。
今日見る映画、星間戦争は昔からあるシリーズ物の映画の最新作で、今までの謎が解き明かされる、番外編のような作品らしい。
俺もネットでちょっとだけ調べた程度なので詳しいことはわからない。
だから、
「番外編……みたいなやつ……?」
としか答えられなかった。
すると、答えを聞いていた彩がはぁ……と溜息をつきながら言った。
「おにぃ。馬鹿じゃないの?今回の作品は、一番最初に公開された、エピソード4の前に起きた出来事を作品にした奴なの。エピソード4では7.8行でしか表されなかったやつだから楽しみだわ。でも、制作してる会社が色々変わってディ……」
「止めろ。なんかそれ以上は怖い。」
なんか変なネズミが頭の中で中指立ててるからそこまでにしとけ妹よ。
「あー。なんか変なネズミが……」
妹よ。お前もか……。
「さっきから話についていけないのですが……。」
「おっとすまんすまん。取り敢えず、凄い宇宙超大作だということだ。」
「宇宙超大作って説明力不足ふももももっ!?」
何か言いたそうな彩の口を無理やり抑える俺と、必死に抵抗する彩、いまいち状況と話の内容が理解出来ていない藍を乗せて、バスは駅へと向かった。
今日行く映画館は、全国的に有名な映画館で、東北初出店の影響もあってか、多くの客で賑わっていた。
特に、4Dシアターは大人気で、彩いわく、「ほんとは4Dがよかったんだけど満席だからやめたわよ。だって一週間先まで満席なのよ。ありえないわ。」らしい。
そのため、映画館に着いた俺らは、ポップコーンと飲み物を買い、まっすぐ2Dシアターへと向かった。
「なんか暑くない?」
そう藍が言ったのは、俺らが座席に着いた時だった。
上映開始時刻より少し早めに着いた為、広告を眺めていたが、確かに、少し暑い気がする。
どう考えても一月の室内の気温とは思えない。
入口でもらったパンフレットで仰いでると、後ろが騒がしい事に気が付いた。
何があったのかと三人で恐る恐る振り返ると、泥だらけになったユニフォームを着た高校生の一団がいた。
部活帰りなのか、五、六人の生徒が汗やら何やらが付いたユニフォームを脱いでいる。
はい熱源見つけたー。
汗臭さが漂ってきたため、鼻をつまみながら一団をジロジロ見ていると、シアタールームが暗くなり、映画が始まった。
それから2時間程が経過し、映画が終わり、スタッフロールが流れ始めると、俺ら三人は急ぎ足でシアタールームを出た。俺らの後に続いて、ほかの客もぞろぞろと、急ぎ足で出てくる。
その光景はまるで火災現場から避難しているようにも見えた。
映画館を飛び出し、外に出た俺ら(三人+二十人程)は新鮮な空気を大きく吸っていた。
「何よあれ…もうテロじやない!テロよ、テロ!」
彩がそういうと、周りにいた客たちも次々に文句や愚痴を言い始める。
「流石にあれはちょっと…臭すぎじゃないですかね?」
「映画の内容が頭に入って来なかった…。」
「それじゃおにぃ、チケット代無駄になったじゃない!」
「だって…臭かったから…。」
後日、俺は別の映画館でもう一回見直した。
この話は多分フィクションだと思います。
次回も来週の土曜日夜7時にお会いしましょう(テレビ風)