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#3 映画 その1

「おにぃ。映画行くよ。」


こいつのこの一言で、映画行きが強制的に決定した。





藍が我が家にやって来てから一日が経過した日の朝。


早起きして、3人分の朝食を作っていると、彩が珍しく早起きしてきた。


いつもなら午前中ぶっ通しで寝てるくせに今日は着替えまで済ませている。


問題児が普段と違う行動をすると面倒な事が起こる。


そんな考えが頭をよぎる。


「おにぃ、映画行くよ。」


彩はそう言って映画のチケットを差し出してきた。


おはよう、の挨拶の前にその言葉かい。


「あー。だからこんな早いのか。」


「そうよ。悪い?」


「いや、悪くは無いが。」


俺はIHを切り、彩からチケットを受け取った。


映画のタイトルは「星間戦争〜ワン・ローグ」。


人気映画、星間戦争シリーズの最新作で、俺も前から観たいと思っていた映画なのだが……。


「お前、俺が観たい映画をなんで知ってるんだ?」


「おにぃのPC覗いたから。」


覗いたんかい。


どうりで最近PCが開きっぱなしになってるんだ。


「それで、行くの?行かないの?」


いやですね、藍はどうすんのよ。


シド目で彩を観ていると、彩はもう1枚チケットを出してきた。


「これ、藍さんの。」


「お、おう。」


なんだい、断りにくいじゃぁないか。


俺が藍の分のチケットを受け取ると、彩は「早く準備してよね。」と言って二階へ戻っていった。


「映画…か。」


映画なんて最近観てないからな…。


久しぶりに観に行くか。


俺はチケットをポケットに入れ、朝食作りを再開した。




それからしばらくして、


「オハヨー。」


眠たそうに目を擦りながら、藍が降りてきた。


「おはよう。朝食、出来てるから。」


藍が降りてくる少し前に朝食は出来ており、俺はテーブルのセッティングを行っている最中だった。


「うわぁ。美味しそうね。」


本日のメニューは、ご飯、味噌汁、焼き鮭、漬物、海苔。


ベーシックな和風朝ごはんである。


我が家は基本的にこんな感じの朝ごはんである。


理由は、俺がこれしか作れないから…ではなく健康を意識してるのだ。


健康を。


「いただきまーす。」


速攻に席についた藍は速攻で朝飯を食べ始めた。


「い、いただきます。」


俺が一口目を食べ始める頃には藍の茶碗からご飯と鮭が消えていた。


大飯ぐらいの女の子は2次元だけだと思っていた俺は、目の前の光景に唖然としていた。


瞬きする間に消えていく食材たち。


カチャカチャと鳴り響く箸。


この朝飯を作るのに掛けた時間と、食す時間の比率がおかしいのですがこれいかに。


「ごちそうさまでした。」


俺が二口目を口に運んでいる頃には藍は完食していた。


俺は恐る恐るあの言葉を聞いてみる。


「おかわり、いるか?」


藍は腹をさすりながら、


「いいや。」


と幸せそうに答えた。


俺の飯で笑顔になってくれるのは嬉しいが味わって食べて欲しかった。


複雑な気持ちで俺は朝飯を食べる事になった。


なお、彩はいつの間にか朝食を自分の部屋に持って行っていた。




朝飯が終わり、深夜アニメの録画状況をチェックしていると、着替え終わった彩と藍が降りてきた。


彩は白いワンピースに黒ニーハイ。いつものサイドテール。


藍の方は高校の制服だった。


しかも俺が入学する予定の高校の、だ。


「ななななぜお前がその制服を?」


あわてふためきながらの俺の質問に答えたのは彩だった。


「藍ねぇ、おにぃと同じ高校だってさ。良かったじゃん。」


いつの間にか藍ねぇ、って呼んでるし。


いや問題はそこじゃなくて…。


「そ、そうか。同じ高校か。」


「そうよ。宜しくね。」


「だからなんでお前が答えるんだよ。俺は藍ねぇに聞いてるんだ。」


彩の真似して藍ねぇと読んでみると、今まで真顔だった藍はあからさまに不機嫌になり、こちらを睨んできた。


何故か彩も同じ顔だ。


2対1とか。


なんか俺悪い雰囲気なんだけど…俺が悪いのか?


「ど、どれ。行きますか。」


これ以上こんな感じだと、面倒くさそうなので、テレビの電源を切り、半ば強引に彩と藍の腕を掴んで映画館へ向け出発した。


スターウォーズ楽しかった。


あ、次回は1月の第一土曜日の7もしくは8時を予定しています!

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