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34話 城下町でございます!


「ついたぁーっ!」



 リンネちゃんが馬車を降りるなり、そう叫ぶ。



「本当、長かったねぇ…」

【まぁ、これでも、あの道は短い方らしいですからね】



 リンネちゃんに続き、ロモンちゃんと私も馬車を降りた。

 大体、今は昼の3時。

 おおよそ1日半の馬車の旅が終わり、いま、城下町に着いたのだ。



「ねぇねぇ、まずはどうする?」

「やっぱり、まずは冒険者として登録すべきじゃないかな。それから宿を探して_____」

【そうですね。おじい様から登録料金も頂いてる事ですし】



 私達はそう言いつつ、城下町の入り口前まで来た。

 ここで門番から止められ、身分証を提示するんだ。

 勿論、なんの問題もなくパスした。



 ガーネット王国城下町。

 その町並みは、まるでローマのよう。


 土色の家がずらりと立ち並び、多くの人で賑わっていて、お店で客寄せしている人の声、子供のはしゃぐ声、そして真昼間から酒を飲んでいる人達の笑い声等が聞こえてくる。


 そして、街の中心に見えるのが、この国の城だ。

 白く、大きいその城はまるでおとぎ話の中の世界に居るみたい。

 


「わぁ……」

「昔、お父さん達と来て以来だよね~、ここ」

「そうだね! 相変わらず賑やかだよね!」



 ロモンちゃんとリンネちゃんは辺りをキョロキョロと見回しながら、目的の場所である、冒険者ギルドを目指す。

 地図は馬車の中で頭の中に叩き込んでるんだ。



「あ! みて、これ可愛い!」

「本当だー!」


 

 そう言いながら、彼女らは服屋に入っていく。

 まぁ、仕方ないわよね、年頃の女の子だもんね。

 但し、無駄遣いはしないように見張らなくっちゃ。



「うーん、どれも高いよ……」

「そだね……残念」



 二人は10分程で服屋を出た。

 どれもこれも、中々に高かったんだよね、今のお店。

 確かに趣味は良いんだけど、一番安い服でも5000ストンって高すぎる。

 二人には、3ヶ月間どれだけお金が大切かを教えたから、無駄遣いはしなかったみたい。

 よかった、よかった。

 

 引き続き、街を歩いてると、なにやら甘い良い匂いがする。

 ついつい私達は足をとめ、その匂いの元を探る。

 その甘い匂いの正体は、屋台の焼き菓子屋さんが作っている、まるでカステラのようなお菓子の匂いだった。



「ふぁぁ…おいしそう……」

「うん……それに、一個80ストンだってぇ……」



 リンネちゃんとロモンちゃんは私の方をチラチラと、何かを訴えるような眼差しで見てくる。

 確かに、馬車で二人が食べてたお弁当は量が少なかったし、美味しくなさそうだったし……。

 しょうがないなー。80ストンしかしないし、二人分だったらいいか。



【よろしいですよ。私の分は要りませんので、お二人は一個ずつ買っても」

「「わーーい!」」



 二人はその焼き菓子屋台まで駆けていく。



「おばさん! そのお菓子2つ下さい!」

「あいよ!ポテラン二つだね! お嬢ちゃん達可愛いから10ストンまけてあげるよ」



 私の元に戻ってきた二人は、満足気な顔をして、持ち手が紙に包まれた、ポテランというお菓子を頬張っている。

 


「あ! アイリスちゃんにも一口あげるね!」

【おや、ありがとうございます】



 やった! 間接キス。

 私はあんまりロモンちゃんの食べる分を減らすわけにもいかないから、遠慮がちにちょびっとだけ一口食べた。

 口に広がる、ケーキのスポンジだけのような味と、見た目通り、カステラのような食感。

 まぁまぁ美味しいかな。


 ポテランを食べ終わった二人と私は、そのまま冒険者ギルドへと歩いていく。

 この大通りのような場所は本当にいろんな店がひしめいてる。

 見ていて楽しい。


 

「ついた!」



 リンネちゃんの言う通り、もうギルドに着いたみたい。

 多くの武装した人がその、他の建物同様のオレンジっぽい土色の外見で、とても目立つ大きめな看板に『冒険者ギルド』と書かれている建物の門から出入りしている。

 あの人達が、冒険者なんだろうね。

 私達はギルドの中に入った。


 中は、並べられてるテーブルに長椅子。

 そこに座っている髭面のおじさんや、ローブを着た女の人が酒や料理を飲んだり、たべたり、なにやら雑談したりしている。

 どうやら、お食事処と冒険者ギルドは一緒になってるみたいだね。

 それに、10代後半~の年齢からしか冒険者になれないと思ってたけど、どう見ても10歳位の子供も居る。

 お小遣い稼ぎかな?

 


 

「うっわー! 冒険者が沢山居る!」

「なんか緊張するね」


 

 私達は二つあるカウンターのうちの、金色の髪をしたお姉さんがいる方に足を運ぼうとした。

 その時、なにやら酒を飲んでいたレンガ色の髪をしたおっさんが声をかけてくる。



「がははは! お嬢ちゃん達、可愛いねー! 依頼か?」

「いえ、ぼく達は冒険者になりに……」



 そう、リンネちゃんが言うと、そのおっさんは私達が目指しとる方と別のカウンターを指差してこう言った。



「がははは! そうか、そうか。そういや仲魔を連れてるもんな…ゴーレムか。冒険者登録のカウンターはそっちの金髪のねぇーちゃんの方じゃなくて、向こうの銀髪のねぇーちゃんの方だぜ!」

「あ、ありがとうございます!」

「がははは! いいって事よ。んじゃ、頑張れよ」



 こう、悪い人に絡まれるような展開かと思ったけどそんなことなかった。

 普通に親切な人だったよ。息が酒臭いけど。


 私達はそのおっさんの言う通り、銀髪の女性が受付をしているカウンターに行くと、その女性は私達に話しかけてきた。



「お二人は、冒険者登録でしょうか?」

「「はい、冒険者になり来ました!」」

「冒険者やギルドの説明は御必要ですか?」

「お願いします」


 

 その返信をきいた銀髪の女性は、冒険者とギルドについての説明を始めた。

 約5分程の説明。

 まあ、内容を簡単にまとめるとこうだ。


-----------------


●冒険者ギルドは、冒険者登録や依頼を受けたり、頼んだりする場所であり、また、この施設の場合は食事もできる。


●正式な冒険者には、14歳からなることができる。それ以下の年は"御使い冒険者"として、基本的に小さい仕事しかできない。また、本人の種族は基本問わない。


●冒険者登録するには3000ストン必要だが、お使い冒険者になるには要らない。


●冒険者が受けられる仕事は主に3つ。特定の魔物の"討伐"、特定の物資の"採取"、雑用や売買代行や護衛などの"その他"に分類される。

::討伐の場合、その魔物の討伐部位を依頼主かギルドに提出すれば良い。

::採取の場合、指定された物を指定された数だけ納めれば良い。

::その他の場合、交渉は依頼主本人とする。


●冒険者にはF~SSの8つのランクがあり、そのランクより下か、一つ上までのランクの依頼しか受けられない。

::ランクは、仕事をこなした数などの業績や大会での活躍により上がる。


●二人以上の冒険者をパーティと呼び、そのパーティにも単独の冒険者同様ランクがある。

::実のところ、二人以上でないと受けられない仕事がほとんど。


●冒険者も依頼をすることができる。前例として、魔物が依頼をしたこともある。


●依頼は掲示板に貼ってある物の中から選ぶか、受付に直接問えば受けられる。


-----------------



 通りで子供がいたり、猫耳の人とか、耳が長い人とかも居たりする訳だね。

 それに、魔物が依頼できるってのも大きい。

 これは是非とも活用させて貰おう。



「説明は以上です。ご登録なさいますか?」

「「はい!」」



 リンネちゃんは登録料二人分である6000ストンを受付嬢に手渡した。



「では、こちらのクリスタルを握りながら、この用紙に氏名、年齢、出身、得意とする職業をご記入下さい」



 二人は渡された紙に言われた通りの内容を、片手サイズのクリスタルを握りながら書き込み、受付嬢に提出。



「リンネ・ターコイズさん、職は剣士。ロモン・ターコイズさん、職は魔物使いですね。年齢、出身は同じで、14歳のアクアム村……でよろしかったでしょうか?」

「「はい!」」



 受付嬢の確認に、二人は元気よく返事をした。

 というか、私は二人の名字とあの村の名前をここで初めて知ったんだよ。


 受付嬢は二人にカードを渡す。

 あれは冒険者カードと言って、身分証の代わりもなる、ランクや職が書いてあるカード。

 冒険者は全員持っている。

 これが無いと入れない場所とかもあるからね。



「それでは、登録は以上です! リンネさん、ロモンさん、ご武運をお祈りしております」

「「ありがとうございました!」」



 二人の冒険者登録が終わったみたいだね。

 受付嬢に同時に頭を下げている。



「さ、行こう。アイリスちゃん」

「まずは、素材を売れる場所に行かないとね」

【そうですね】



 私達はギルドを出た。


 

いわゆる第二部のスタートです(≧∇≦)


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[気になる点] 、私は二人の名字とあの村の名前をここで初めて知ったんだよ。 ↓ 、私は二人の名字とあの村の名前をここで初めて知ったよ。 あれは冒険者カードと言って、身分証の代わりもなる、 ↓ あれは…
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