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第279話 三度目の進化でございます! 2

【あ、そういえばオイラ、人間になるところだったゾ】

「えぇ、そうなの!?」

【まあ、ダメだったけど】



 ケル君はしょんぼりすることもなくそう言った。ロモンちゃんとリンネちゃんは肩をがっくりと落としている。私もそう、ケル君が男の子になった姿を見てみたかった。きっと、いえ、ほぼ確実に可愛い系イケメンであるはずだから。お父さんもガーベラさんもイケメンだけど、残念ながら可愛い系ではないし。



「うーん、こればっかりは運じゃからな」

「でもあんまり残念そうじゃないわね。人間になったらできること増えるけど……?」

【んー、オイラ、ロモンとリンネとアイリスとは今のままの関係で居たいんだゾ。だからちょっと……】

「ケルは半魔半人になってもケルだよ? ケルの意思にもよるけど、私たちからケルを離すなんてことはないよ?」

「そうだよ!」



 ロモンちゃんとリンネちゃんが口々にそう訴えると、ケル君は幼体化しながらウルウルとした目で私たちを見て理由を話し始めた。



【半魔半人になったら恋愛対象が犬系の魔物だけじゃなくて、人間も対象になるゾ】

「うん、そうだね。アイリスちゃんみたいに」

「それがどうしたの?」



 まって、私は小石として意識を持ってからずっと恋愛対象は人間だったけれど……? ゴーレムを見てもときめくなんてことなかったし、多分これからもないわ。前世の記憶のおかげなのでしょうけど。



【三人とも美人なんだゾ。犬のオイラが見てもわかるんだゾ。だからね、その……きっと……】

「ケルならいいよ、私」

「うん、ぼくもケルならいいよ」



 幼馴染に告白された時と違って二人は明確に言われたわけでもないのにあっさりとオーケーした。いえ、あの幼馴染が嫌なんじゃなくて単純に「強い」っていう条件を満たしているからだと思うけど。ちなみにおじいさんは二人をみてギョッとした顔をしてる。普段のおじいさんの紳士ぶりからは考えられない顔ね。



【そ、そういうことじゃないんだゾ! その、一度でも人間になったら一緒にお風呂に入ったり、抱っこやおんぶしてもらったり、寝床に潜ったりができなくなるんだゾ! それが嫌なんだゾ!】

「た、たしかにそれはできなくなるかもね……」

「弟みたいなものになるとはいえね……」



 ふむ、たしかにそれは問題ね。半魔半人に一度でもなったら人間の時の感覚が魔物の時にも反映されるっていうし。特にお風呂なんて無理でしょう。こんな予想を立てられるなんて流石ケル君。とはいえケル君もしっかり男の子の部分があるのね。



「つまり今の関係のままがいいということじゃな」

「ケルの言ってることは最もね。人間になった魔物とその主人である魔物使いが付き合って結婚しちゃうなんてこと、それなりにあるみたいだし」

【そ、そういうことだゾ】

「ケルぅ」

「そうだね、なるべくこのままでいようね……!」

「まあなるもならないも運次第じゃがな」



 ロモンちゃんとリンネちゃんは二人で幼体化したケル君をギュッと抱きしめた。……ところでケル君、今回は幼体化しても大して姿が変わっていない。本人が言っていた通り、触り心地が良さそうな毛並みのままね。



「なんか進化してもこの姿が一番ケルって感じがする」

「だよね、ぼくもそう思う」

【じゃあ普段の生活では今まで通りこの姿でいるゾ】



 となるとダンジョンクリアしたばっかりだし、しばらくオルトロスの姿はあまり見ることがなさそうね。

 さて、次はケル君のステータスを確認するのかしら。それとも私の進化を先にしちゃった方がいいかな。きいてみよう。



「ロモンちゃん、次は私の進化とケル君のステータスの確認、どちらを先にしましょうか」

「あ、そうだね! ……んー、それじゃあアイリスちゃんの進化を先にしようよ!」

「わかりました、そうしましょう」



 というわけで今度は私が進化をする。今の姿には幼体化すれば戻れるけど本来の姿というわけではなくなるわ。さて、ここからどうなるか……リトルリペアゴーレムからエンジェルゴーレムになった際、主な色合いなどは変わらなかったけど模様や装飾が増えて背中に羽を生やせるようになった。頭の天使の輪っかも大きくなったし、通常のゴーレムの進化に習って体も大きくなった。腕から手が離れてて空中浮遊してるのは変わらなかったわ。



「次はAランクだよね? ケルと同じで! 極至種のAランク……一体どうなるのかな」

「楽しみじゃのう……!」

「ええ、とっても興味があるわ!!」



 魔物使いたちは興奮しているようだ。あとで私もケル君もこってり調べ上げられてしまうに違いない。このままいけば新種になるのは確定みたいなものだし。さて、じゃあそろそろ。

 私は人間態からエンジェルゴーレムになった。ここに入ってくれと言わんばかりに四人は輪を作るので、その真ん中に立つ。



【では、行きますよ】

「うん!」



 ちなみに、ごくごく普通のゴーレムならば、トゥーンゴーレムから始まってリトルゴーレム、ゴーレム、グランドゴーレムと続く。Sランクの通常ゴーレムも存在するから、もちろんこの先はあるのだけれど、とりあえず私は今回グランドゴーレムの段階に当たるわけだ。

 と私はステータスから進化することを選択した。すごく久しぶりに見る画面が表示される。今回の選択肢も四つ。



【進化します。

 結果予測:それぞれ25%の確率


エンジェルゴーレム→リスペアラムゴーレム

         →アークエンジェルゴーレム

         →ホワイトグランドゴーレム

         →ドミニオンゴーレム


 以上からランダムです。


 特別な進化です。

 ・極至種の続行 】



 ふむ、正直この中からならどれになってもいいかしら。正当な進化先はおそらくアークエンジェルゴーレムね。とりあえずこれなら安心かな。魔王になるかどうかや、人間になるかどうかなど重要な成分を含んでるわけじゃないし今までの中で一番気楽。

 よし、そろそろ進化ね。


【進化中……5%】

【進化中……21%】

【進化中……42%】

【進化中……63%】

【進化中……84%】

【進化中……99%】


【100%

 進化が完了しました。

 結果 ランクS→

 ドミニオンゴーレム〈極至種〉】


【レベルが1に戻ります】


 

 えっ……Sランク!? 

 いや、嘘。そんなまさかBランクの下位からSランクの中位に飛び級するだなんて。Aランクを飛ばしてしまうとは思わなかった。名前はドミニオンゴーレム……これが何を意味するのかはイマイチわからないけれど、とにかくものすごい力を持っているということよね。

 つまり私はベスさんとランクだけなら同じになってしまったわけだ。いやぁ、びっくり。びっくりしすぎてどの技がどう進化したのかとか、新しい特徴はなんだとか全然見てなかったわ。まあそれはあとでステータス確認すればいいとして。 

 意識はしっかりと私の新しい身体に戻る。さて、みんなの反応はどうかしら。



「おお……流石に大きいね」

「普通ならグランドゴーレムに相当するからの、当然じゃな」



 ロモンちゃんとおじいさんの声が少し距離を感じつつ聞こえた。目を開いて周りを見てみると、たしかに地上から遠い。えーっと、一般的なグランドゴーレムは5メートルか6メートルにはなるんだっけ。一体私はどれほどの大きさなのだろう。というか。



【あ、あの……ちょっと高すぎてこわいです】

「まあ普通の人間が普通の一軒家の屋根に登って寝そべってるくらいの視線の高さじゃからのう。半魔半人になっておるアイリスちゃんはそう感じるかもしれんな」



 えぇ、高すぎないかしらそれ。別に高いところが特別嫌いで動けないほど恐いってわけでもないけど、戦闘に支障が出ないか気になるわ。これはおいおい慣れるしかないとして、姿形の方はどうなのかしら。

 私はロモンちゃんに見た目に関して感想を訪ねた。



#####


お待たせしました!

いやぁ、だいぶ遅くなってしまって申し訳ないです。

ちなみにアイリスの進化は実に約二年半ぶりです!(前回は2016年11月に投稿)。いやぁ、長らく待ったという方も多いのではないでしょうか。先にケル君が怒涛の進化/強化ラッシュをしましたからね……。


次の投稿は3/26です!

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