表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
221/380

219話 Aランク2体同時討伐でございます!

「準備はよろしいですね?」

「「うん、元気いっぱいだよ!」」

【そりゃ、あれだけ食べれば元気ゾね】



 昨日のロモンちゃんとリンネちゃんのお腹の膨れ具合がすごかった。赤ちゃんがお腹にいたとして……臨月だったんじゃないかってくらい。

 もしかしたらレベルが上がるのと同時に食べる量も増えてるのかもしれない。

 あの蜘蛛との戦いでかなりレベルが上がってるはずだし。


 それはともかく、私も自分の身体をゴーレムにして、全員に補助魔法を最大まで掛けて準備は万端。

 岩陰から出て、このダンジョンの最奥地へと足を踏み入れた。



「気がついたみたいだね」



 私達が入った瞬間に、寝ている様子だった二匹がピクリと身体を動かしこちらをゆっくりと向いた。二匹とも動きがほぼ同時だ。  

 しまった、こうやって敵が動き出すの待つくらいならその前に最大火力の魔法を打ち込んでおくべきだった。


 リザードマンパラディンは剣を構え直し、私達に切っ先を向けた。グランリザードは口を開いて威嚇してくる。

 こちらも、もっとしっかりとした臨戦態勢に入る。

 大丈夫、昨日はしっかりと作戦会議をしたんだ。そう大きい被害が出ずに倒すことができるはず。



「くるよ!」



 リザードマンパラディンが、甲冑越しに鋭い目で私たちをにらみながら剣を前面に構えた。即座に剣は光り、そして炎まで纏い始め……それをリザードマンは私たちに向かって距離があるにもかかわらず薙ぎ払うような仕草をした。

 光属性と火属性が一緒になったヤイバの光弾が私達に向かって飛んでくる。



「うわぁ!?」

「すごい……属性を合わせた上でそれを放てるんだ!」

【これはめんどくさいですね】

「あ、でもやっぱりアイリスちゃんにはそんなに効果ないんだ」



 ちょっと効いてしまったみたいだけど、痛みを感じない上にミスリルでできているこの身体は、高い魔法耐性に加え光属性自体強い耐性があるから効きにくいのは当然。



「キェェェェェ!」



 私が余裕で耐えたのを見たグランリザードは、その場で自分の右前足を地面に叩きつけた。

 土属性の最上級魔法陣が出現する。



「やっぱりグランリザードも魔法を使ってくるんだ……」

「ていうかさ、あの隠し部屋にいたのと同じことしてくるってことは……」



 リンネちゃんが言いたかったことは正しいと思う。

 地形を直接変えてくるような攻撃をこちらに放ってきた。地割れのようなものがこちらに向かって進み、私達の足元までくると、そこから巨大な土塊が私たちを打ち出すようにせり出てくる。

 無論、普通に回避できたけど。



「厄介だね」

「また何かするみたいだよ」

【二匹同時に魔法を使うようです!】



 グランリザードとリザードマンパラディンは、同時に土属性の最上級魔法を唱えた。

 地面から土の柱が八本、彼らを中心に現れる。 

 それが済むとリザードマンは再び剣を光らせ、グランリザードはその柱の一つに向かって飛びついた。

 かなりの巨体なのに柱が折れないのすごい。というよりしがみつけるのもすごいけど。



【何をやりたいかわかった気がしするゾ。ロモン、盾のバリアを展開してその中に入った方がいいゾ。リンネもこっちくるゾ。……アイリスは多分大丈夫だゾ】

「「う、うん! わかった!」」



 人間に指示を出す魔物、ケル君。なんか珍しいものを見た気がするけどそれはさておき。

 確かにこの状況であの二匹が繰り出してくる攻撃といえば絞られているわよね。


 高い柱によじ登ったまま上からリザードマンパラディンは、先ほどと同じ斬撃を剣を振り回して何本も何本も撃ってくる。

 さらに、器用にもグランリザードはその柱を代わる代わる飛び移り場所まで変えてくる。



「斬撃の雨!」

「近距離タイプかと思ったのに、遠距離が主だなんて! 同じ剣士としてちょっと僕は複雑だよ!」

【勝てばいいという思考です。相手に騎士道精神なんてあるわけありませんよ。ダンジョンの魔物ですからね】

「それよりアイリスちゃん外にいて大丈夫なの? 盾の中入る?」

【いえ、ここから反撃を試みるので……そのタイミングをはかるため外にいますよ】



 痛くないし、回復魔法を唱えれば傷なんてなかったことになるしね。



「あ、じゃあ私、魔人融体するね!」

「ぼくは盾を代わるよ」

【ゾ……オイラは様子を見るんだゾ】



 宣言通りに、ロモンちゃんが私の中に入ってきた。倒れてるロモンちゃんの本体をケル君が介抱し、リンネちゃんが盾を持つ。



【お姉ちゃん、ケル! 私の体お願いね!】

「わかってるって!」

【任せるんだゾ!】

【よし、アイリスちゃん! まずはペースを私達のものにしようね!】

【はい!】



 確かにこうすれば百人力。

 身体に穴が空いたりしない限りロモンちゃんに痛みは伝わらないはずだし。



【まずはどうする?】

【あそこから引きずり下ろしちゃいましょう。そのために柱を破壊します】

【おっけ! 】



 破壊するのなら最上級魔法より爆発魔法をそのまま唱えたほうが早い。

 私とロモンちゃんは同時にエクスプローションを唱えた。魔人融体しているため、一気にいくつもの爆発を超火力起こすことができる。

 本体の管理ができるなら、魔人融体は本当に便利。



「お、やったぁ!」

【二匹とも落下するんだゾ!】



 うまい具合に、柱に飛び移る瞬間に根元から爆発させたため、足場をなくした二匹は勢いよく地面に衝突する。これは結構な快感。



【次はどうする?】

【隠し部屋の時と同じように、地面を凍らせてしまいましょう】

【でも全然広さが違うよ?】

【私とロモンちゃんの二人なら余裕ですよ!】

【そうだね!】



 リスヒョウラムを唱えた。

 もちろん、さっき同じように効果範囲や威力は倍以上に上がっている。このボスの部屋の9割5分は厚い氷で覆ってしまうことができた。

 その際に、地面に衝突して立ち上がりが遅かった二匹のボスの足も凍らせてしまう。



【ふふーん! 私達のペースだね!】

【ええ、こんなにうまく行くとは思ってませんでしたが】



 あんまりこの状態で実践したことないし、練習も周囲に被害が出ないようにほどほどにしてたから。お互いにかなりレベルが上がった現在の威力にはちょっと自分たちでも驚いてる。



「ようし、僕も攻撃に参加しよう!」

【なら、オイラはこのままロモンの身体を守ってるゾ】



 盾によるガードをやめ、リンネちゃんがロモンちゃん入りの私の元にやってきた。すでに剣を構え直している。

 


「剣は近接するからこそなんだ! 遠距離に使う道具じゃないんだよ!」

【ふふ、そうだねお姉ちゃん】

「まずは僕が斬る! その後にドッカーンと一発お願いね!」



 リンネちゃんは一瞬で私たちの元から消え、瞬間移動のように二匹の共にあらわれた。

 敵はさすがの素早さに対応できていない。

 その合間を縫い、リンネちゃんは連続で何度も斬りつける。全て技をつかって切ってるけど、その隙間もこうやって大きな戦闘をするたびに縮まっていってるね。



「よし、いいよ二人とも!」

【行きますよ!】

【うん!】



 魔流創気で手を作り、それを媒体にして魔法陣を発する。ロモンちゃんいるから今日はいつもより多く手を生やせた。



【【リスシャイラム!】】



 一気に放たれる、強化された私の必殺技。

 いや、必ず殺せるかどうかはわからないんだけどね。




#####


次の投稿は3/24です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ